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リアリティの在り処(2)

製作する時には最初に自分の中でお約束を決める。
例えば1/100の飛行機は動翼以外にスジ彫りをしないとか、1/700の艦船には手摺はつけないとか、そういうお約束。マイルールというか、省略の閾値みたいなもの。
これがその人のスケールなりのリアリティの基準だと思っていて、この基準が部分部分でバラバラだとあまりよろしくない出来だよねって思う。
だからこの基準を決めておかないとその先に進めない。工作も塗装も基準がある作品のリアリティはわかりやすいと思う。
あえて一部だけより作りこむ事で主題をアピールする、なんていうのを上手い人はやっていたりするんだけど、これは相当難しい…。例えばフィギュアなら、肌の表現は血管まで描く勢いなのに服の質感は造形まかせとかペインターとしては耐えがたいし、睫毛は植毛するけど髪は彫刻とか、眼にウエイトを置くのはわかるんだけど個人的にはアンバランスだと思う。そういうのにはリアリティを感じないの。テクニカルだな、とは思うけど。

雑誌作例なんかだと担当編集(勿論その先にいる読者)との間に、この基準に著しいギャップがあると残念なことになる。
まあ最初からリアリティなんぞ求められていないってことも多々あって、それはこちらが勝手に悶々としているってだけなんだが…。

スケールモデルは本物に見えるっていうのがひとつ目標だと思っているんだが、あんまり求められていないのかもしれないと思うとやるせなくなってまた手が止まる。

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