第一日記

心電図をとるための電極をつけられながら横たわり、横に看護師の人の気配だけを感じている。直接見るのは恥ずかしいしなんか申し訳ない気がしたので天井を見つめている。病院の、カーテンで仕切られたベッドに横たわりながら「壁ではありません、寄りかからないでください」という貼り紙が見えた。なぜか「ラノベのタイトルみたいだな」と思った。看護師は僕のお腹から胸にかけてタオルをかけて「この下で服をまくってください」と言った。なるほど男にもそういう気を使うのか、確かに嫌な人もいるだろうしね。電極なんていうから多少ビリっと来たりするんだろうかと思ったらあっさり「はいおしまいでーす」と言われ、看護師はこの後の工程を早口で説明し、僕が把握したことを確認するとカーテンの外へ出て行ってしまった。1人取り残されたベッドの上で服を直し、靴を履き上着を着るときに今度は「ベッドの上に立たないでください!」という貼り紙が見えた。なぜか頭のなかに青空が浮かんだ。
帰り道、歩く飼い主に抱っこされている犬とすれ違った。多分散歩に飽きて動かなくなったんだと思う。うははと思ってすれ違いざまに見つめてみたけど、まるで親には甘えてわがままを言うけど、それを人に見られるのは恥ずかしい子供のように、俺から目を逸らしてたのがとても可愛かった。本当に泣いた後の子供みたいな目をしていた。

あの時助けていただいたJolt! Recordingsです