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百首会のこと(実録編)


※このトピックは2017年7月1日から2日にかけて行われた百首会の主観的メモです。

(2017年5月7日 23:00すぎ)企画発動

 文フリ打上げで残った4名で「最近歌ができなくてー」という話題になる。「そういう人は百首会では?」と提案したらあっさり「やろうやろう」となる。
 私は4~5回ほど社内有志のに参加したことがある他、「題詠マラソン」は百首一晩というマイルールを設けてやっていたくらいの「百首会は気分転換にときどきやるべき」派。ひとりは2回経験あり。

 4名のうち2名が経験者、2名が「できなくてー」という状態。
 この時点では「この4人でやればいーや」という雰囲気。

 その後、大田区内の一軒家の宿泊施設をみつけてもらって「もう少し人数いたほうがいい」ということになる。とはいえ多すぎてもいけないので、たまたま少人数で会ったり、やりとりした人に声をかけるにとどまる。最終的に9名に。

(7月1日 00:00)スタート

 いつもだったら集合後にメモくらいはつくっても本格的に作り始めるのは宿についてからーというカンジで今回もその認識でいました。
 が、はじめてという人が多く、そもそもが「百首ムリムリ」という人のためにやることになったイベントです。夕方からじゃ寝られないにちがいないということでチェックイン前に集合してつくろうという話が出て、結局当日になったら作り始めてもいいというルールに。

(7月1日 10:30)

 起床。
 2名は都内の公園で吟行中。すでに7首できたという報告あり。

(7月1日 14:30)出発

 ネットにつなぐと10首、3首などの報告あり。吟行組は何首かは不明ながらも調子よくつくっている模様。

 自宅を出発。

 自分が飲むものとパソコンとUSBメモリを持参。後は一般的な宿泊道具。
 私は書いているときは大量に飲むので、2リットルのお茶と500mlペットのジュースを持参しましたが、後に買い足しました(お茶の一部は他の人も飲んだ)。
 途中でみんなで食べるケーキを買っていく。

(7月1日 16:00)集合

 宿のもより駅で6名集合。宿へむかう途中にケータイをポチポチしてつくっている人もいたり。
 チェックイン後、ひととおり探検。コンビニで買い出し。

 各自PCやノートを広げだす。この時点で30首台が3名くらい? 経験者1名がぶっちぎりで早く、50首超えていたと思う。

 この時点は私はゼロ。

(7月1日 17:00)

 2名合流。その後はみんなまじめに作歌。あきたら散歩に行ったり、しゃべったり。いろいろ。

(7月1日 19:00)夕食

 おなかすいたーということで、夕食の相談。外に食べに行く案も出つつ、ピザをとることに。Lサイズピザ3枚が届いて盛り上がる。ここでビールが入った人も。

 このころになると何も思いつかない時間も増えてきて、いろいろやりだす。

 まずは1人がハマっているという物の名。

 「なつやすみ」「ひゃくしゅ」の題でその場にいた人たちで物の名(お散歩行っている人もいた)。

 私は題詠マラソンに参加していた時、いくつかそのまんまで使いづらかった題を物の名で処理したりしています。↓こんなカンジ(このころは新かな)(当日こういうのつくったことあると出そうとしたけど例示できなかったため断念。今だします)。

http://www.sweetswan.com/daiei-2003/log.cgi
[782] 037:とんかつ 花笠海月 2003年02月02日 (日) 11時27分
おおげさにかけ声かけてはじめたりふとんかついで春のひっこし

[841] 062:渡世 花笠海月 2003年02月02日 (日) 13時12分
おいついてまたぬかされる競渡(ふなくらべ)世紀のはじめの夏のまひるま

(7月1日 21:00)

 1名が百首達成。
 このころは早い人で50首台くらい。私は40首台でした。2位3位争いをしていたふたりにはあと10首くらいのところまでは割と早くいって「追いつけるのでは?」と思ってましたが、結局、80首あたりまで追い抜けず……。

 このころ「3分題詠」というのも。「カーテン」「メール」「ピザ」「歌舞伎」「ビール」「リモコン」など。目の前にあるもの以外をあげる気力がなくなってきています。

(7月1日 22:00)温泉へ

 蒲田温泉へ。宿にお風呂はありましたが、銭湯好きなんです。
 都内らしい黒いお湯の温泉。高温は私には熱すぎました。低温のところはスルリと肌になじむすばらしいお湯でした。

(7月1日 24:00すぎ)

 仕事だったという最後のひとりが合流。ひとりで60首くらい作ってきたそう。人がいるところでは書けないそう(鶴タイプ)で、飲食する以外は別フロア。

 私はもとからつくった百首は捨てるつもりなんで、テキトーなテンションで書き、テキトーに遊んでいたのですが、このころになるとなにも考えられなくなり、手が止まる時間が長くなってきました。
 いちぬけした人に題を出してもらって書く。「座布団」「歯ブラシ」「みがく」「エビアン」「紙コップ」「のど飴」「しぼる」「ティッシュ」「つまむ」「財布」「レシート」「ひまわり」「バスタオル」「額縁」「秒針」「降りる」「網戸」「火災報知機」「はだし」「ミスド」「カフェオレ」「キーボード」「てぬぐい」。ほぼ1分以内に作成し、ここで前にいた人たちをおいぬけました。

(7月2日 01:25)

 百首達成。

(7月2日 01:35)印刷用データを作成開始

 もうひとり百首達成。
 ここから印刷用データを作成。入力しながらの作成なので、番号をふってワードに移し、2枚におさまるよう調整しました。相互評をする場合は歌に番号をふったほうがよいと思います。
 1位の人は手書きだったので、私の作業終了後、PCで入力。
 今回は9名いて、PC4台、ポメラ1台の持込みでした。私はPC+USBメモリ。宿に無料Wi-Fiが飛んでいたので、記録用メディアをもっていかなくてもネットプリントでも可能でした。
 3位の人とふたりでコンビニへ行き、プリントアウト。この時点でサラッと感想を言い合う。

(7月2日 02:00)

 何時かわからないけど2時台のうちに就寝。

(7月2日 08:30)全員完成

 起床。2時半から8時くらいと時間バラバラながら7名の百首達成を確認。
 ひとりで作るタイプの人は寝ていたのでこの時点では確認できず(できていました)。

 皆が起きているときに最後の一首を完成させたいという人の完成を確認して皆で拍手。

 私が寝た後、集まってつくっていた3名はもう寝たいーということしか考えられず、そんなカンジの歌がたくさん。

(7月2日 11:00)チェックアウト

 印刷用に入力したりしているうちにチェックアウトの時間。とりあえず駅まで移動。

(7月2日 12:00)相互評開始

 駅前のカラオケボックス(2.5時間で5000円くらい)で完成している人は相互評。入力・印刷がまだの人は作業作業。

(7月2日 14:30)

 全部の評が終わらないうちに時間切れになったのでさらに移動。ファミレスに入れず、そのとなりの居酒屋へ。

 100首つくって800首を読むイベント……といっても、批評はそんなに厳密ではなく、「あの時こうだった、わかるー」みたいな話も多かったです。9名900首だと思っていたら、捨てた歌が発生した人もチラホラ。プリントアウトは百首でしたが、116首、111首、101首作成の人がいました。歌集何冊分なのか?

 この「量」を扱うのが百首会で、普段とぜんぜん別の感覚が生まれます。滝行とかハードマッサージみたいなもんかと思います。麻痺するまでやると危険。

(7月2日 17:00)解散

 夕方の用事を入れている人が何人か途中でぬけ、たまたま連絡ついた近所の人が飲みに(批評しにではない)まざったりしてから、解散。16時集合組とは25時間一緒にいたことに。

(7月2日 17:30)

 遠方の人と東京駅まで御一緒する。これで完全解散。

(7月2日 18時台)帰宅

 帰宅。


(感想)

 経験者が早かったのは何を捨てるかがはっきりしているから?
 はじめての人は百首それなりのレベルで作ろうとしてしまい、そこからどんどんあきらめていって、30~40音のなにかみたいなのものになっていく体験がおもしろいと私は思っています。
 私はいつもだったら上の句一緒の歌を五首連続などの汚い手口を使うのですが、今回はそれを使わずにすみました。題詠だけで20首はかせいでいるので、その効果?
 

 話題に出たのは「みんなもっと百首会をすべき」ということでした。とはいえ、宿泊を伴うので、歌会ほどは気軽に開催できないのも事実。

 今回は宿泊+買い物で各自5000円くらいの負担でした。その他、自分の飲食、批評場所の代金、交通費などあり、安くなるようがんばったと思いますが1万円コースになってしまいました。遠方参加だともっとかかる訳で。むずかしいところです。
 近隣開催+次の日の相互評が確定ならば公共の会議室などおさえておいたほうが無難かと思います。近くなら午前(とりやすい)でいいと思います。昼食をはさんで移動して午後をおさえても。
 われわれはファミレスでなんとかなるんじゃないかと思っていましたが、日曜昼の駅前をナメてました……。

 吟行とちがうのは、それぞれが勝手にやっていいところです。吟行も決められた時間内で個人で作るものではありますが、基本見聞したものを作品化するという制約があると思います。
 それをより自由にしたのが百首会だと思います。さぎょイプのリアル版といってもいいかもしれない。
 スタート自由、中抜け自由。散歩ok、勝手にすごしていいとはいえ屋内の場を共有するイベントなので、他人が歌をつくる時、どういう行動をとるのかが見えるのがおもしろいです。本(歌集、写真集、辞書などいろいろ)をひろげだす人、体を動かす人、食べる人、飲む人……。ひとりでしていることを(他人の目があるのでセーブしているとは思いますが)見ることができるというのはおもしろいです。
 究極的には「百首作成」以外のルールは存在しないので、集団行動が苦手な人でも割となんとかなると思います。

 今回、個人的におどろいたのはいったん寝た人がちゃんと起きてつくり続けたことです。これはこれまで見たことなかったです。「寝る場所があると寝たくなってしまう」という感想もあり、「寝る場所のない百首会」というのも試みてもいいのかもしれません(どういう場所なのか想定しづらいですが)。

 歌合せが頭脳を使う遊びなら、百首会はバカになる遊びです。「こんなの短歌じゃない」「そんなことないよいいよいいよ」っていうピースフルな空間は、得難いものと思います。


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