地球の成り立ち(10)

 前回に引き続き、藤岡換太郎著「海はどうしてできたのか」(ブルーバックス)をもとに、地球の成り立ちについて述べてみたいと思います。

 前回の最後で、スノーボールアース現象で、凍りついてしまった地球では、ほとんどの生物が大量絶滅してしまい、生物たちの活動が極端に抑制され、いみじくもその結果、海には生物が必要とする栄養分が十分に溜まっていきます。

 それを利用して、雪解けとともに光合成で二酸化炭素を吸って、酸素を作り出す、シアノバクテリアが爆発的に増えた話をしました。

 大発生したシアノバクテリアは、大量に酸素が作くり出します。そして、酸素原子が三つ連なったオゾンが作られました。それが大気圏に移動していき、オゾン層を形成し始めます。

 できあがったオゾン層が、太陽から来る光の中で、紫外線の中でもエネルギーが高く、生物にとって非常に有害な波長の短い領域をカットし始めます。通常の酸素は酸素原子が二つです。前にも書きましたが酸素原子二つの酸素でも、すぐに何かとくっつこうとします。酸素原子が三つそろったオゾンは、さらに反応する力が大きく、紫外線のエネルギーを吸収し、反射しながらその反応性の高さを成層圏で維持し続けるのです。

 こうして、生物が海から陸上へ進出できる環境が整っていきます。生物が陸上に進出するまでにはもう少し時間がかかるのですが、それは、生物にとって十分に有害な紫外線を遮断してくれるだけのオゾン層の厚みがまだ、この時期できあがっていなかったからです。

 海の中では、クラゲのような殻をもたない軟体動物が現れ、増殖します。しかし、これらの軟体動物もやがて大量絶滅してしまいます。

 そのあと、登場するのが外殻をもった生物たちで、代表的なのが三葉虫だそうです。このころの生物の一つの特徴は、「眼」を持ったことです。「眼」を持つことで、獲物を眼で探して捕らえることができるようになりました。

 この頃、繁栄していた生物たちも海底の地滑りで大量絶滅してまったそうです。海底の地滑りといってもかなり大規模なものだったらしく、プレートのちょっとしたひずみがもとで巨大地震が起こることを考えると、その地滑りの規模も相当のものだったのでしょう。

 ちなみに地滑りのきっかけは、現在、天然資源として有望視されている海底に貯蔵されていたメタンハイドレート(メタンと水が凍結して固体になった結晶)からのメタンが流出したからだったらしいです。

 このように、生物たちは増殖と大量絶滅を繰り返しながら、進化してきました。そして、少しずつ我々の知っている生物の姿に近づいていきます。

 このあと、我々が知っている生物たちがいくつか誕生します。そして、恐竜のような巨大生物の出現が起こります。その辺の話を次回したいと思います。

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