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化合物は日常で日々作られているけど、元素は簡単には作られない。(2)

 前回、元素は簡単には作られないという話を書きました。今回は、元素と元素が化学反応して化合物(もの)になることについて述べたいと思います。

 化合物というと、聞き慣れないかもしれませんが、化合物とは化学反応でできたものという意味です。従って、「化合物」は「もの」の一部です。代表的な化合物は、水、酸素分子、鉄、タンパク質、でんぷん、ブドウ糖などです。

 もともと、元素の最小単位である原子は非常に小さいので、普通原子一つで存在することはほとんどありません。最低二つ以上の原子が結合して存在しています。水素は、水素原子が二つ結合して、水素分子として存在しています。ここでいう分子とは、原子がいくつか化学結合してできた構造物をいいます。原子自体は、水素分子のように同じ元素の原子である場合もありますし、違う元素の原子たちが結合する場合もあります。例えば、水は、酸素原子一つと水素原子二つが化学結合した分子です。また、鉄は結晶として、たくさんの鉄原子が集まって結びついて我々が知っているあの形をしています。タンパク質も、ブドウ糖、すべて違ったいくつかの元素の原子が化学結合して分子を作った構造物の名称です。

 こうしてできた分子は、この世界に無数に存在しています。その種類は、元素(約百数十種)とは比較にならないぐらい多い。ただし、宇宙レベルでいえば、4%しかありませんが、地球上にある質量のあるものは、すべてこのたくさんの分子が集まってできているといっていいと思います。そして、これらの分子は、条件によって組み合わせが変わったりします。永久的に同じ姿をしているわけではないのです。化学反応によって姿を変えるのが分子の特徴のひとつと言っていいでしょう。

 このように、地球上では当たり前のように日常的に化学反応が起きています。「化学物質」とか、「化学反応」という言葉は、地球上で当たり前に起きている現象を説明できるように人間が作った言葉で、現象自体を人間が作ったわけではありません。 もちろん、人が積極的に関わって、化学反応を起こす場合もあります。しかし、日々地球上で起きている現象もほとんどが化学反応なのです。

 人が呼吸して酸素を取り込み、二酸化炭素をはき出す場合でもそこに化学反応が起きています。植物が太陽のエネルギーを利用して地中から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素を利用して酸素を作る過程でも化学反応が係わっています。地球の生態系で繰り広げれている営みは、化学物質と化学反応でほとんど説明がつくのだろうと思っています。

 人間が手を出せる範囲は、この化学物質と化学反応までなのだろうと思っています。つまり、原子を作ったり、壊したりするのではなく、すでにある元素の原子たちを繋いだり、離したりするまでだと思うのです。この境は、反応に使うエネルギーの差でもあります。化学反応の方が明らかに使うエネルギーが少ない。従って、取り出せるエネルギーも小さい。

 もちろん、手に終えない化学物質や化学反応もあるでしょう。ものによっては、取扱いが難しいため、国際的に規制がかかっている化学物質もあります。それはそれで規制をかけていけばいいのだと思います。全ての化学物質や化学反応を使う必要はありません。人間にとって、必要と思われる範囲で使用していけばいいのだと思います。

 人間も地球上の生物と考えれば、この範囲内であれば、人間の営みも自然現象といっていいのかもしれません。人間によって起こされている環境破壊も見方を変えると自然現象なのです。しかし、人間には、未来を予想する力があり、この自然破壊が将来的に、我々を含む地球上の生き物に悪影響を及ぼすことを理解する力があります。そして、それを回避するにはどうすればいいかを考える力もあります。人がそれを利用して環境を変えていけるのも自然現象なのでしょう。

 ものの探求のために、原子をもっと砕いて見識を高め、新たな発見から新しい知識を得、それを応用して現代社会に応用していくことは有意義だと思います。しかし、原子力発電のような原子核の構造変化をともなう反応を利用した技術を地上で活用することは、今の科学技術では難しいと思います。地震などの地球内部の動きが完全に解明できていない現状を考えるとそこで発生するエネルギーが大きすぎるため、いざ地震や津波などの自然災害が起き、コントロール不能になった場合のリスクが高すぎると思うのです。

 東北大震災で発生した津波は、100年に一度の規模だそうです。人の寿命からすれば確かに一生に一度会うか合わないかの出来事かもしれません。しかし、地球規模で考えれば地球が誕生して46億年といわれていますから一瞬の出来事といってもいいと思います。地球から見れば鼻水を出したくらいのことなのかもしれないのです。
 福島原発の事故を教訓にするのであれば、原子力発電を凍結して、石油や石炭、そして天然ガス以外の自然エネルギー供給方法を真剣に考える必要があると思っています。

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