蔵開き
先週の土曜日、10月25日に奥多摩に紅葉の写真を撮りにいったのだが、この日は、「澤ノ井」という日本酒の酒蔵である小澤酒造の蔵開きの日でもあった。
小澤酒造は、JR青梅線の澤ノ井駅前にある。青梅駅から発車する電車の中は、通勤ラッシュとまではいかないものの、人と人の肩が触れ合うほどの混みようで、身動きできない車中から、普段は、それほど人影がない澤ノ井の駅に大勢の人が降り、酒蔵へと消えていった。
紅葉の写真を撮るため、次の駅である御嶽駅で下車した。御嶽山の入口である御嶽駅でも結構な人が降りる。御嶽山へお参りに行く人、川辺を散策する人など目的は皆まちまちだ。
駅前の中華ソバ屋で昼飯を食べ、川沿いの遊歩道を歩いてみる。最初は、川上に向かって歩きはじめた。人気はそれほど多くない。カヌーを持った人が上流からこぎ出すのだろう、川上に向かって黙々と歩いていく。それ以外は、散策を楽しむ家族連れがゆっくりと移動しているぐらいだ。
十数分歩いたところに人だけが渡れる橋があり、そこを対岸へと渡る。渡った先には駐車場があり、カヌーや登山をする人たちがここに車を止めているのだろう、結構な数の車が留まっていた。
車道沿いの歩道をさらに川上へと向かう。御嶽山の大きな鳥居のある交差点まで行った。この道をさらに上っていけばケーブルカーの駅があるが、今日はここまでにして引き返すことにした。
御嶽駅への近道と書かれた看板に沿って、御嶽方面へ戻る。そして、御嶽駅前を通過して、酒蔵のある澤ノ井へと向かう。御嶽駅を越えたあたりから人影が増え始めた。
澤ノ井方面から御嶽方面へ向かう人の方が圧倒的に多い。かつ、足取りが変な人が多い。心なしか顔も赤ら顔だ。中には、ひとりではまっすぐ歩けない人までいる。まるで、お花見の季節に遭遇する酔っ払いの一団みたいだ。
おそらく蔵開きを見学して、酒をしこたま飲んだ人たちが、酔い冷ましに歩いているのでだろう。時計を見ると、午後二時を回っていた。快晴で気持ちがいい。
しかし、すれ違う酔っ払いを見ていると、どうにも危なっかしい。遊歩道はようやく人がすれ違うぐらいの幅しかない。そこを千鳥足で歩いてくる。すれ違いながら、この人ちゃんと帰れるのかと入らない心配をしてしまう。そんな一団が次から次へとやってくる。
小澤酒造のガーデン近くまで行くと、もうそこは宴会場だった。賑やかな声が響き渡る。トイレ待ちをする行列が見える。
実は、この蔵開き、去年までは千円で何度でも再入場できたらしい。ところが、泥酔する人が続発したため、今年から再入場出来なくした経緯がある。しかし、再入場出来なくなっても、酔っ払いは自分で金を出して酒を呑み、ガーデンで酔っ払う。再入場禁止の効果があったようには見えなかった。
あまりの人手に、蔵開きに入るのはあきらめ、お土産の四号瓶を買って早々に帰宅した。
おみやげのお酒には、下記が記されていた。
未醸造 しぼりたて 平成16年新酒
ほとばしる新酒の荒々しさを欠点というのは簡単
しかしこれが魅力
初物は刺激的であってこそうまい
アルコール度数 17度以上18度未満
まるで、ボジョレーヌーボを意識したようなメッセージ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?