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バーチャルウォーター

 昨日の新聞で、餃子の王将が、『お客さまの「おいしい」という、安心のために』というフレーズで、餃子に使用している素材を全て日本産に切り替えると一面広告をうっていた。すでにほとんどの素材を日本で調達していて、生姜と皮に使用される小麦粉だけが輸入だったそうだ。そして、今回生姜と小麦粉も国産にするという。

 この動き、他のチェーン店でも試みられている。確かリンガーハットも目指していたと思う。考えてみれば、お米以外の主食は、ほとんど小麦粉を使用している。従って、日本の今の食生活を考えると、小麦粉を使用する限り食糧は輸入に頼らざるを得ない。

 もし、日本国内で使用する小麦粉を日本で自給自足できる環境ができるのであれば、こうしたチェーン店の動きは、食の安心というだけではなく、食糧の安定供給という意味で、非常に重要になってくる。

 ところで、バーチャルウォーターというのをご存じだろうか。バーチャルウォーターとは、他国で生産された食物を輸入したとき、その食物を育てるまでに使われた水のことをいう。輸入された肉や野菜の水分ではなく、その食物を育てるのに必要とした水だ。その水は、当然消費国の物ではなく、輸出した国の水である。従って、食物を輸入するということは、生産国で食物を育てるときに使われた水も同時に輸入したことになる。

 日本のカロリーベースでの食糧自給率は、40%前後なので、残りの60%の食糧を日本は他国から輸入している。日本は、食糧を輸入するのと同時にバーチャルウォーターも輸入しているのだ。

 日本が海外から輸入しているバーチャルウォーターの量は、環境省のホームページによれば約800億m3(2005年度推定量)。

 これは、日本で使用されている生活用水、工業用水、農業用水を足した量とほぼ同量。

 日本は、水が豊かな国といわれているが、実際は、バーチャルウェーターとして大量の水を輸入していることになる。そして、輸出した国々で水不足が起これば、その影響は日本にも及ぶ。

 そう考えていくと、小麦粉の自給自足は重要になってくるのだ。この間のニュースで報道されていたのだが、日本の風土にあった小麦粉が北海道で開発されたらしい。価格の問題は残るが、土台は出来上がりつつある。

参考
 環境省のHP
 国土交通省のHP

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