【ブリッジ】JAPAN CUP⑤スラムではリードの約束を守らないのはなぜか?

PokerStarsのレーキバックプロモに釣られ5NLzを鬼打ちしてます。韓国で実力試しができる日を待ち望んでいるKKTです。


最終ラウンドはオポーネントが岩佐佐分利の裏ペア、パートナーが後輩の東北大学テーブルになりました。早速振り返っていきます。

PREするしない?

あなたはNorth。

41番ボード、they vul 1番手

84
AQT9843
J95
Q

1番手のアクションはどうしますか?











実際の展開です。

画像1

パートナーは1Hオープンを選択して2Hで買切れたので当たりでした。選択の理由を聞いてみると2Hリビッドのバリューはあると考えたのと、このバルの3Hには強く3Hオープンするとゲームルーズしやすいからと言ってました。自分たちのゲームを意識して建設的にビッドすることを優先したということです。


たしかにこのバルの3Hには強いものの、自分は3Hオープンが良いと思いました。理由は、
・they vulでは自分たちのコントラクトを守るより敵の妨害を優先したいから広く積極的に仕掛けたい。
・相手に1Sをビッドされたくないので3Hオープンしてバーを上げたい。
・3Hオープンからでも4Hにレイズしてくれる手があるので、3H4メイクはそれほど多くなさそう(10回中2回程度?)。
・1Hオープンした場合にも13点の噛み合っていない手でFGがかかって4Hをプレーして落ちるという裏目がある。

妨害性能は3Hの方が有力で、建設的かどうかは1Hが良いという訳ではないハンドだと思うのでバランスを考えたら3Hとなりそうです。

ただ今回みたいに噛み合っていないときに2Hで買い切れる可能性もあるので1Hという選択も有ります。このあたりのバランスは難しいところですね。



続いて、

システムの盲点

あなたはSouth。

44番ボード、We vul 4番手

J54
7543
43
A953

(P)-1C-(P)-1D;
(X)-XX-(P)-?

1C=16+
1D=0-7
X=Both M

自分のアクションが回ってきましたが、1C-(P)-1D-(X);?のビッドについては取り決めをしていないor自信がありません。どうしますか?













実際の展開は下です。

画像2

システムの盲点の部分でした。テーブルではパスを選択しました。XXがダイヤを示していたとしたら1Dxxくらいは作れそうな感じがしますし、バリューを示していたとしても1Dxxくらいならなんとかなりそうと思いました。


後から考えてみると、パスは事故りにくい実践的なアクションだったと思いました。自分の手は何か主張したいことがあるわけでも無いということが伝わりますし、1Dxxくらいなら受けられそうだというのも大きく外れていないと思います。

おそらくパートナーも同じようにシステムオンなのかオフなのか分からなかったはずで、XXしておくことでパワーと1Dxxをプレーしても良いということを示すという実践的なアクションを選んだのだと思います。ビッドしてしまうとシステムオンなのかオフなのか分からないまま続けることになってしまうので、できるだけビッドしないで事故りにくいアクションに寄せたんだと理解しています。

テーブルではどうしても盲点だったり自信の無い場面だったりが出てくるのは仕方ないことです。一方で、こういう場面でパートナーがどんなアクションをしてスコアを守ろうとするかを理解するのは大事なパートナーシップです。これがうまくできるかどうかでディザスターの頻度は大きく変わると考えています。

もちろん自信の無い展開を減らすためにビッド練習をしたり、試合中は相手の特殊なビッドに対するディフェンスビッドを共有したり、試合で盲点の部分が出てきたらその都度システムを整備するような工夫が必要です。

特にスタンダードから外れた複雑なシステムを使うならば、そのシステムを使ったことで得られるエッジを実現するためにも事故率を減らす努力をするべきだと考えています。

ということで次に同じ展開が出てきたときは、ビッドしたらほぼ全てNATという取り決めをパートナーとしました。介入された後はなるべく早く手の雰囲気を伝えたいからです。次は自信もってビッドできる気がします。



続いて、

スーツプリファランスの精度

あなたはNorth。

45番ボード、both vul 1番手

K3
T86
QJ7
KT987

(P)-1S-(P)-3D;
(P)-4S///

3D=S4+,Const

パートナーのオープニングリードはCQでした。ダミーは

JT9765
743
964
A

T1:CQ-A-?

スーツコントラクトでダミーがシングルトンのときにはスーツプリファランスが優先される取り決めです。何を出しますか?










ハンドは下です。

画像3

以下のように展開して1ダウンでした。

T1:CQ-A-7-6
T2:SJ-3-A-C2
T3:C5-3-S5-9
T4:H3-8-Q-K
T5:D5-4-J-A

パートナーのC7はダイヤのSPで、今回はダイヤを攻めるのが正解の形だったのでT5のダイヤシフトは成功でした。

しかし、ディクレアラーのハンドが下記であればダイヤシフトは外れです。

AQxxx
AQJx
Kx
xx

この配置ならT5ではハートを出しておけば落ちますが、ダイヤを出すとDKが生還してメイクです。


要はNorth視点で、パートナーがDAならダイヤを打ってほしくないが、DKならダイヤを打ってほしいと考えるのが正しいと思います。

だからT1ではダイヤの猛烈なカモンを出すことになるC7はまずいと思いました。C7を出すダイヤのホールディングはDAK,DA,DKQ,(DK)くらいなのかなと思います。

でもハートを出して欲しいかというとそれも違います。ダイヤと同じように一番上を出すホールディングはHAK,HA,HKQ,(HK)になりそうです。

だから今回はC9かC8を出すのが良さそうです。ちょっとダイヤ寄りなのでC8がベストだと思いますが、ホールディングがはっきり分かることが無いかもしれないのであまり差がないと考えてます。



最後に、

スラムへのオープニングリード

あなたはNorth。

46番、both non vul 4番手

------
95
KQT985
QJ642

(1S)-P-(2H)-2NT;
(3S)-5C-(6H)///

2NT=unbid 2 suiter

右の6Hになりました。オープニングリードは何を打ちますか?



















実際のハンドは下です。

画像4

パートナーはCQを選びメイクでした。反省でクラブはエスタブリッシュの見込みがないからダイヤをリードするべきだったと言っていました。


後から考えてみると、たしかにエスタブリッシュするのはダイヤしかないですが、だからと言ってダイヤ一択では無いと思いました。

クラブリードはCA,Sラフのディフェンスを狙うことができます。パートナーはAを持っているならクラブが多そうで、クラブリードからならHAで勝ってスペードを出すディフェンスに気づく可能性がダイヤリードよりは高いです。


だからここで比較するのはクラブリードからスペードラフを発見できる可能性と、ダイヤリードからダイヤの二個目を取れる可能性になると思います。

この二つをオープニングリード時点で比較するのは難しいような気がしていますが一応やってみます。

(i)DKリードからD二つ目を取るのが正解のとき
・自分にエントリーが無いのでパートナーにダイヤ二枚以上必要。またダイヤを取るので全員のダイヤが2枚以上必要。
・パートナーに一つウィナーが必要。それはDAかSAかSKだと望ましい(CAやHAならスペードラフのディフェンスで落ちるから)。


(ii)CQ(CJ)リードが正解の時

・パートナーにCAがあって、かつそれが取れて、スペードラフに気づいてくれる。


条件付きで比較するとどっちも厳しいですが(i)の方が有ると思います。スペードのアナーは裏にいるからSASKどっちも大丈夫そう、DA持ってるときもOK、HA持ってる時もダイヤ取れたら大丈夫です。

(ii)の方は一番持ってそうなAとはいえ一番取れなさそうなAですし、スペード短い方がディクレアラーなのでスペードラフに気づくか微妙です。

ただ、CJを打ってパートナーのAが勝つときはCQ持ちながらCJを打ったと分かる場合もあり、ちょっと気づきやすくなりそうです。だからクラブを打つならCJが良さそうと思います。CAが無かったときもHAがあれば、なぜCQを打たなかったかを考えてHA上がってスペード出すディフェンスをしてくれるはずです。

つまりパートナーにCAやHAを期待するときはCJが良い、それ以外のキーカードを期待するならDKが良いとなると思います。総合して考えればDK>CJ>CQが自分の考えです。


追記:twitterでアンケートを取ったらHプロから、「僕DQに投票したんですけどそっちの方が良くないですか?」とコメントがありました。テーブルでも反省でも気づいてなかったですが、じっくり考えてみるとDQは良いリードでした。

DQだとパートナーがHAの時に上がってスペード出やすく、DAのときもあがってスペード出してくれるのが良いです。SAかSKのときにDKが見えなくてクラブに逸れることもありますが、スペードのショーアウトが見れるのでDK持ちながらDQを打ったと気づけるかもしれません。そう考えるとDQのリードはCA以外の全てを拾っているからDQがベストになりそうです。

スラムでは通常のリードの約束よりも優れたリードがあると勉強になりました。テーブルで出来るとかっこいいですね。


このラウンドは6H作られてしまったのが大きかったのと全体的に力負けして大敗、最終順位は5/6でした。試合結果的にはあまり冴えなかったですが、感動の6Hなどパートナーの良いジャッジ、プレーが見れた試合だったので良かったです。

次は勝ちます。

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