【コントラクトブリッジ】逸れた後の軌道修正について考える【2023渋谷カップ③】
いつスマホ買い替えるか検討を加速しているKKTです。
引き続き渋谷カップフライトAを振り返っていきます。1日目は上位シードに4連勝して1位で折り返しました。2日目の朝のラウンドから。
2日目
R5 vs5番シードチーム
朝のラウンドは裏がたくさん稼いで19.31VP取って快勝。我々のテーブルで印象に残ったハンド
自分はウエスト。サウスから1D-1H-2D-2NT;P-P-P。2NTがハート4枚以上のINVを示すレイズなのか、NATなINVなのか分からず、NATなINV予想でパスしたら外れたハンド。一応コンベンションカード見てから試合に臨みましたが、1ページ目左上の確認が漏れていました。
お昼を食べて切り替えてR6へ。
R6 vs6番シードチーム
ディフェンス判断
あなたはイースト
#13 both vul 2nd
(1C)-P-(1H)-P;
(2D)-P-(2H)-P;
(3C)-P-(3NT)///
サウスの3NTになってパートナーのオープニングリードはS4。
T1:S4-5-?
ディフェンスの方針はどうしますか?
実際のハンド
S8出してS9の勝ち。クラブが出てCAで上がってSA、S2と出してスペード打ち抜いてワンダウン。SA上がってS8を返すとウエストにはスペードダックするか、SK上がってハートを攻めるかのゲスが発生します。イーストはCAを抑えていてスペードダックする余裕があるので、ウエストにゲスを発生させないようT1でダックしました。
上がってたら実際ウエストがどうディフェンスしたか分からないですが、イーストでダックするのは良いディフェンスだったと自分は思ってます。パートナーも「こういうの分かりやすくて有難い」と言ってました。ビッドもそうですが、より分かってる側が分かりにくい側を助けるような親切心も大事と考えてます。
R6は29-29で引き分けて10.00VP。ラストラウンドを迎えた段階で5勝1分の1位。2位には15VP程度差ですが、最後の対戦相手が2位だったので優勝するには5VP以上取るのが条件となりました。
R7
逸れた後の軌道修正の難しさ①
最終ラウンドはサウスに座っていて下のハンド
ビッドはP-P-1C-1H;1NT/// で自分の1NT。オープニングリードはC4。ウィナーが4つしか無くてかなり厳しいコントラクト。EWのコミュニケーションを切ってから、ダミーに入ってハートを引いてイーストにスローインする方針が良さそうです。とにかくクラブを打ち抜かれたくないので、T1はC4-3-6-Aとしました。次にクラブが出たときにCKを上がってくれれば、相手のクラブのコミュニケーションが切れるからです。
CA勝った後はダミーのDJに向けて打ってイーストのDQ勝ち。C7リターンでCQを出したらウエストは長考してから正しくダック。DT流して勝ち。DAでダミーに入ってクラブ。ウエストはマイナーを走った後にスペードを出すのでスモール引いて1122の6トリックでワンダウンは-50。
裏はP-P-1C-1H;1NT-X///でサウスの1NTx。ウエストのダブルはスペードとダイヤを示すテイクアウトですが、イーストは勝負のパス。
ウエストのオープニングリードはS5。S5-S2-ST-SJの勝ち。Dx→DJでDQの勝ち。イーストはC8シフト。C8-CQ-CKでCKの勝ち。スペード出してS9の勝ち。イーストはSAも取ってから、クラブシフト。サウスはCA取って、DT流してDT勝ち。DAでダミー入って、CJもキャッシュしてダミーからハート。イーストにはもうハートしか残っていないので、NSのハート2勝を避けられず1222でジャストメイクは-180で6IMP取られ。
ウエストは一巡目のCQをダックすればEWのコミュニケーションが保たれてダウンですが、読み切るのは難しいです。オープニングリードが逸れると軌道修正しにくい。リードは大事と再認識したハンドでした。
逸れた後の軌道修正の難しさ②
あなたはサウス
ビッドはイーストから
1S-P-1NT-2NT;
3S-P-4S///
1NT=Semi F
2NT=minors
イーストの4S。オープニングリードはDAを選びました。
T1:DA-4-9-T
シグナルはUDCAです。次に何を出しますか?
テーブルで考えたのは、
・パートナーのD9はノンカモンなのでDKを持っていなさそう。
・落とすには各スーツで1つずつ取りたい。
・例えばパートナーが-- Ax QJxxxx Kxxxx みたいな手なら、HA飛ばされる前にクラブシフトでクラブを取れるようにする必要がある。2NTオーバーコールなら10点前後は持っているだろうから、CKはまず持っていてHAも持っている可能性が高い。クラブシフトはかなり安全なディフェンス。
・一方で、D9がハートを示唆する可能性は有る。例えばHAシングルトンなら、HAに勝たせてからDK、Dラフ、Hラフとクロスラフ決めてから最後SKとクラブも取って大量ダウンを狙える。パートナーのハートボイドは薄い。ボイドなら4Sをダブルしてベストディフェンスを示唆するかもしれないから。
いろいろ悩んで結局はセーフティなクラブを選択。D9は単にノンカモンと見るのが自然だし、各スーツで一つずつ取れる見込みは十分有りそうなので。
実際のハンドは、
T1:DA-4-9-T
T2:C6-7-9-K
T3:SA-3-7-4
T4:ST-2-H2-6
T5:SQ-K-C8-C2
T6:D3-5-K-Q
T7:C2-SQ-Q-8
4Sジャストメイクは-420。T7はノース視点でダイヤとクラブどっちをラフできるのかゲス。Axx x とAx Qxどっちが有りそうか。
裏は似たような展開でサウスが最後にダブルしてイーストの4Sxがワンダウン-200だったので13IMP取られ。
ラウンド終わった後パートナーにどうすると良かったか聞いてみると「T2でハートシフトが良いと思います。D9ってSPですよね。」と言ってました。たしかにD9はかなり大きな数字なのでハートを出すのは良さそうでした。ただ、ノースがクラブを出して欲しいときにD2でクラブカモンになるかというと微妙。ダイヤ三発取るディフェンスが有り得るダミーなので、D2はダイヤカモンとして機能しそうです。それならD9は単にダイヤのノンカモンと捉えるのも自然だと自分は考えてます。
個人的にはノースの2NTは良くないビッドだと考えてます。パートナーは「このバルの2NTはすごく弱いか、普通の2NTオーバーコールのどちらかなんです。」と言ってました。狙いは分かりますが、そういうの伝えてないパートナーにいきなりビッドするのはいくつかの観点で良くないです。
中でも大きいのはパートナーシップを作りにくくなることです。こういうのをきっかけに「イメージから大きく外れた弱い手でビッドすることがある」とパートナーが印象を持ったとします。次に自分が良い手でビッドしたときに、弱い手だと捉えられてパスされてゲームルーズしたり、リスクを抑えるためにパスが増えることで適切に競りにくくなる可能性があります。またディフェンスに回ったときにパートナーの負担が大きくなります。こういったリスクがあることをビッドする側は理解するべきです。
視点を変えて、ビッドされる側の話しをすると、パートナーのイメージから外れたビッドにあまり対応し過ぎるとブリッジ全体がぶれてくるので良くないです。サイクと同様でその後の失敗に関しては、基本的にビッドした側にあることをお互いに理解するのが大事です。その上でパートナーのビッドの期待値を低く見積り過ぎないようにすることと、ビッドを信頼していることを伝えた方が良いと考えてます。
「次もエキスパートの2NTだと思ってプレーするから、エクスプロイトを仕掛けた後は自己責任でよろしく」とパートナーに伝えることで、お互い気持ち良くブリッジが出来ると自分は考えてます。仕掛けたい手で仕掛けられないのも窮屈なので、自己責任で仕掛けるようにするのがポイントです。
R7は11-24で6.38VP取りました。4Sのスイングがあって危ないところでしたが、その他は概ね良くて5VP守り切って優勝することができました。フライトAで勝つのは久しぶりだったので嬉しいです。最終ラウンドで失敗しましたが、全体的には得点したハンドが多くて、良いブリッジが出来たので満足です。
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