【コントラクトブリッジ】事前の打ち合わせ【2023仙台リジョナル①】

謎の鼻炎にずっと悩まされています。花粉の季節が来る前になんとかしたいKKTです。


仙台リジョナルを振り返っていきます。パートナーはイタリアのチームメイト。裏ペアはいつもお世話になってる先輩。一日目はチーム戦、二日目はペア戦。一日目のチーム戦はスイス形式で6ボード8ラウンド。


一日目のチーム戦は最初の4ラウンドを全勝で23チーム中2位につけて第5ラウンド。東北大の学生チームと対戦したラウンドから1ハンド。


ショートクラブシステムの1D

あなたはウエスト

#12 they vul 1st

1D-(P)-2NT-(P);
?

1D=D5+ or 4441
2NT=NAT, INV, C5枚以上

ショートクラブのシステムなので1Dオープンは基本ダイヤ5枚以上、たまに4441です。パートナーの2NTはNATなINVですが、メジャー3枚以下かつダイヤ2枚以下なのでクラブ5枚以上持っています。ビッドはどうしますか?











テーブルで考えたのは、

・3NTに向かうか、5Cに向かうかのジャッジ。
・3HがSPLなら3Hをビッドしてハートの2ストッパーがあるかどうかを聞きたいが、特に取り決めをしていないのでバリューと捉えられるだろう。
・3mはどちらもサインオフになるからビッドできない。3Sでスペードバリューを示すことが出来るが、ハート1ストッパーでも3NTが返ってくるから3NTと5Cどっちが良いか分からない。
・5Cはハートストッパーの有無に関わらず良いコントラクトかもしれない。9枚フィットでAが多くてショートが有るから、クロスラフ風のプレーでトリックを稼げるかも。ハート2ストッパーのときに3NTが良いことが有りそうだが、その時はスペードが1ストッパーかもしれない。

だいたい5Cが良いコントラクトになってそうなので、シンプルに5Cへジャンプビッド。




実際のハンドは、

5Cはシングルダミーで鉄板ですが、ダイヤリードを切られて始まったので急に落ちそうな雰囲気に。サウスは長考してHAを出したのでジャストメイク。アンダーリードすればダウンですがAKQの下から打ちにくいです。

ショートクラブシステムの1Dはスタンダードな1Dよりもシェイプが限定されるので、コントラクトを早く見つけやすいのが良いです。今回は2NTが実質クラブのインビテーションを示すビッドになることで5Cが見つかりました。もしサウスに3Hとか4Hで入られたとしても5Cをビッドするのは簡単です。

裏は1D-P-2NTまで一緒でサウスが3Hで介入。ウエストはダブルして、イーストはアクションに困ってパス。サウスの3Hxがメイクして15IMPの得点になりました。このラウンドは21-3で18IMP勝ちは16.64VP入って暫定首位なりました。

ラウンド6は1IMP勝ち、ラウンド7は4IMP負け。2位でファイナルラウンドを迎えました。ファイナルラウンドはラウンド7に引き続き1位の関西チームとの再戦。3VP程度の差があったので優勝するためには5IMP以上の勝ちが条件。そんなラウンドから1ハンド。


時間の使い方

あなたはノース

#4 both vul 2nd

ウエストの1NTオープンから、ウエストの3NTになってオープニングリードはHKを選びました。

T1:HK-A-5-8
T2:C5-3-K-?

シグナルはUDCA。リバーススミスエコーを使っています。ディフェンスはどうしますか?





テーブルで考えたのは、

・CAを上がってハートを取るか、ダックするかの二択。
・上がってハートを取るのが正解なのはCKが9個目かつパートナーにハートの5枚目が有る場合。例えばディクレアラーがAKxxx xx AQx KJxみたいな手ならCA上がらないと作られてしまう。
・それ以外はクラブダックが良い。もしディクレアラーがスペードもダイヤも走れない場合にはクラブを出すしか無いが、パートナーにSKもしくはSAがあればクラブを三巡目に上がればダミーエントリー無いので落ちそう。

ダミーのハイカードが少ないのでCKが9個目よりもクラブが本命のことの方が多そう。覚悟を決めてダック。



実際のハンドは、

T1:HK-A-5-8
T2:C5-3-K-2
T3:CT-4-Q-J

1分近く考えてダックしたのでクラブの配置をあっさりと当てられてジャストメイク。裏も同様に3NTをプレーしましたが、Cx→CKをノータイムでダック、続いてCT流しとしたのでサウスのCJが勝って3NT2ダウン。14IMPくらい取られてしまいました。大事なラウンドだから丁寧にプレーしたい気持ちが裏目に出たハンド。

ダックは正解でした。ダイヤかスペードが本命ならT2でダミーから引いてフィネスしそうなこと、ディクレアラーはあまり考えず即クラブ引いたのでクラブ本命の雰囲気だったこと、ダミーのハイカードが少ないのでCKが9個目になるディクレアラーの持ち方がかなり少ないので。

考えてしまうのは仕方ないとして、考えるタイミングを早くするように工夫したいです。今回はダミーに長いクラブがあってクラブ出る可能性が高いので、HKを表にしておいてクラブが引かれたらどうするか決めてからHKを伏せるのが良さそうです。

最終ラウンドは2-15で負けて最終順位は4位でした。優勝できず悔しいですが気を取り直して二日目のペア戦へ。


ペア戦

試合形式はマッチポイントで24ボード前後半の2セッションです。

前半

まずはシステムで得点したハンドを紹介します。

自分はウエスト。パートナーの1NTオープンに対して2Cでステイマンしてパートナーの2Sをパス。1NTならダイヤ4つとメジャー3つ負けるのでダウンですが2Sは3メイクで20点/23。

スタンダードなシステムなら2Dが返ってきたときに困るのでステイマンしにくいですが、我々はクローリングステイマンを採用して1NT-2C;2D-2Hをボスメジャーサインオフにしているので比較的安全にステイマン出来ます。44でフィットすれば当たり、43だったとしても2M悪くないかもしれないので分の良い賭けになりそうです。

クローリングステイマンは簡単に採用出来て使いやすいのが良いです。スタンダードなシステムなら1NT-2D;2H-2SがM55の4-6になっているはずなので、これをスモーレンハンドに割り当てます。1NT-2D;2H-2S=H5+,S4のINV+、1NT-2C;2D-2S=S5+,H4のINV+とすればOKです。


システムの得点?をもう一つ。

自分はノース。パートナーの4Cオープンから、4C-(X)-?となって自分の出番。相手には6Sとか有りそうに見えます。こちらとしては5Cxまでは安そうで、6Cxは配置次第という感じです。

ここではノースの4Sが良さそうなビッド。相手のスペードコントラクトをブロックしつつ、もしイーストの5Rや6Rになったときにスペードリードは悪くなさそうなのでリードショーイングにもなるから攻防に効きます。4Sをダブルされて回ってきたとしても5Cの逃げ道が残されています。初めて組んだパートナーですが、タクティカルな4Sを選んでみました。

4C-(X)-4S-(X);
P-(P)-5C-(5H);
P-(6H)///

6HになってパートナーのリードはS8。SKとハートが取れて1ダウンは22点/23。ラッキーな得点となりました。

使っていたシステムは3NT=ナムヤッツハンド、4m=NATなプリエンプト。普段は3NT=ブロークンマイナー、4m=ナムヤッツにしているので、普段通りのシステムなら3NT-(X)-?となってました。これだとマイナーがどっちか分からないので、4Sダブルで回ってきたときにどっちのマイナーに逃げればいいか分からないから4Sをビッドしにくいです。多分クラブだろうからと5Cをビッドすると、22フィットで5Cxが11ダウンすることも有り得ます。

4mをNATにするとこういう得点もあるんだと発見しました。4mがNATの本筋の狙いは4C-(X)-6Cみたいに早く高く競りやすいこと。ただ、強い時にスーツ分かった方がスラムトライが助かりやすいし、ブロークンマイナーの3NTがそのままメイクするパターンもあるので、個人的には4mがナムヤッツで3NTがブロークンマイナーの方が好きです。マイナー両方持っていたら早く高く競ることできます。


追記:パートナーに確認するとリバースナムヤッツのメリットは他にあるとのことでした。

①3NTパスアウトを考えるならRevNamyatsの方も比較するべきです。4M落ち3Nメイクがあります。ブロークンマイナー流してメイクはほとんど無いです。
②4m natPREの私の思う最大の利点は相手にメジャーの情報交換のステップを増やさないことです(ギャンブリングorブロークンの3NTのディフェンスでは4mでMの長さを使い分けるのがよくある取り決めかと思います)。
③レスポンダーが強い時はパートナーのスーツは普通わかります。またレスポンダーがボスマイナーのときはブロークンでも4mNatでもどっちも早く競れます。


次はパートナーの良いビッドとプレーを紹介します。

ビッドはノースの自分の1DオープンからNSのフリーランで

1D-1S;2H-3C;3H-4C;4D-6NT

パートナーの6NT。パートナーの4Cからの6NTが余力有りそうでミスフィットな感じを上手く表現しています。ノースのハイカードに余力が有れば7Dとか7NTに向かうことが出来そうです。

6NTはウエストのダイヤリードをサウスで勝って、スペード3巡キャッシュしてハート捨て、HA、HKと取ってダイヤを上から走ると、最後のダイヤを取ったときにイーストがスペードを守ってウエストがHQを守るので、クラブの二巡目を守れる人がいなくてCJが取れて7メイク。綺麗なダブルスクイズを決めて16.5点/23。


続いて、

デイビッドリード

あなたはウエスト

#7 both vul 2nd

(2NT)-P-(4H)-P;
(4S)-P-(4NT)-P;
(5H)-P-(6S)///

4NT=RKCB
5H=2key SQ無し

リードは何を打ちますか?














ハンドは、

(2NT)-P-(4H)-P;
(4S)-P-(4NT)-P;
(5H)-P-(6S)///

4NT=RKCB
5H=2key SQ無し

自分はDAを選びました。ダミーを見ると1keyとSQ。ディクレアラーは2keyだからキーカードが抜けてることが分かります。パートナーはDJをプレー。SPが出ているならHAの示唆。ハートにシフトしてワンダウンは21.5点/23。こういうのちゃんとDJでSP出してくれるのが親切です。

マッチポイントは1A取るだけで7メイクに勝てることありますし、このビッド展開ならDKが抜けている可能性もあるので個人的にはリードはDA一択です。パートナーも「こういうのはA取るってデイビッドの本に書いてありますね」と言ってました。


続いて、

1D-(1H)-1Sを考える

あなたはウエスト

#16 we vul 1st

1D-(1H)-1S-(3D);
P-(3H)-4D-(P);
?

1D=D5+ or 4441形,11-21
1S=S4+,F1
3D=H4+,mixed

アクションはどうしますか?














テーブルで考えたのは、

・パスか4Sの二択。
・コンベンションカードには1m-(1H)-X/1S=S0-3/S4+と書いてあったのでスペードの保証枚数は4枚。
・パートナーは4Dまで競ったので点数かシェイプのどちらかを持っている。例えば4252の10点前後とか、4153とか4261とか、そういう手を持っていそう。
・一方でフィットジャンプを使っているのでS5D4以上の良い手を持つことは少ない。1D-(1H)-1SがS4枚以上なら尚更、S5枚持ちはスペードコントラクトを逃さないために多少頑張って2Sでフィットジャンプするだろう。

スペードは4枚が本命なのでパートナーのジャッジを信じて4Dをパス。







実際のハンドは、

4DはHAリード、C9シフトから5メイクで150は3点/23。

お昼の時にパートナーに「この手はフィットジャンプしないの?」と聞いてみると、フィットジャンプにはパワー不足だからしないと言ってました。たしかに3Sとか4Sになったときにオーバーランしうるし、相手の4Hxになったときに困るので1Sから捌くのも合理的です。

ただ、スペードの競り合いが弱くなってしまうのでこういうの2Sで捌かないなら1D-(1H)-X/1S=S4/S5+で分ける方が良いと自分は考えてます。1D-(1H)-?は1C-(1H)-?と比べるとダイヤの保証枚数が多い分、ビッドに困る手が少ないのでXをスペードにする余裕があります。なのでショートクラブシステムなら、1C-(1H)-X/1Sは点数/S4+、1D-(1H)-X/1SはS4/S5+とするのがバランス良さそうです。


続いて、

打ち合わせの効果

あなたはウエスト

#20 both vul 1st

P-(P)-2C-(P);
?

2C=ストロング

事前の打ち合わせで「バルではプリエンプト控えめにする」と約束したので2Hオープンは控えました。アクションはどうしますか?














いつもなら2Dで捌くところだが、事前の打ち合わせでパートナーが「2Cオープンにハート5枚持ってたら多少内容悪くても2Hってビッドします。2Sって返ってきたときに2Dだとビッドに困ること多いので。」と言っていたのを思い出した。「え、2Hってスーパーネガティブじゃないの?」と返すと、「そういうのは全部2Dで捌きます。2Cオープンは真面目な手しか無いので弱いのは全部2Dで大丈夫です。」と言っていた。この手は2Hとビッドしてパートナーの2Sに3Dと返せば上手く捌けそうなので、2Hから入ってみた。





実際のハンドは、

P-(P)-2C-(P);
2H-(P)-2S-(P);
3D-(P)-4D-(P);
4H-(P)-4NT-(P);
5C-(P)-5H-(P);
5S-(P)-5NT-(P);
6D-(P)-7D///

2C=ストロング
2H=H5+,FG
5H=DQ ask
5S=DQ wCK or DQ only
5NT=DQ+CK+HKなら7へ
6D=DQのみ

上手くダイヤフィットを見つけてRKCBから7Dへ。グランドトライのトランプQアスクした後の展開も打ち合わせていたので、自信をもって7Dまでビッドできました。7Dをビッドしたのは我々だけだったので23点/23。今大会のベストハンドです。

2Hオープンを回避して、2Cに2Hビッドからのダイヤフィット見つけて、トランプQを確認。ここまで活きるのは出来すぎですが、打ち合わせて無ければお互い自信を持ってジャッジできず7Dには到達できなかったと思います。事前の打ち合わせの効果を実感したハンドでした。ブリッジの試合の日に早く行くのは三文の徳があります。


続いて、

ディフェンスの読み筋

あなたはノース

#22 they vul 4th

(P)-P-(1H)-P;
(1NT)///

T1:S9-Q-K-4
T2:ST-6-7-A
T3:H3-?

シグナルはUDCA、リードは4thベスト/トップオブナッシング、相手のスーツのフォローにリバーススミスエコーを使っています。ディフェンスの方針はどうしますか?













実際のハンドは、

T1:S9-Q-K-4
T2:ST-6-7-A
T3:H3-2-Q-K
T4:S5-D3-8-J

その後CK、HJとプレーされてパートナーにスペードを取るエントリーが無いので4メイクは5点/23。

ディクレアラーはSJの3枚でパートナーにスペードエントリー無いことが分かっているので、パートナーへのエントリーはCAかHKが本命。HA上がって損するのはパートナーがQダブルトンの時だけなので、HA上がってスペード出すのが良いディフェンスでした。こういうの失敗しがちなので気を付けたいです。


前半戦は64.68%で2位/49。いくつかミスがあったものの、システムの得点とかも多くて良い位置につけることができました。後半へ続く。



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