【コントラクトブリッジ】ミスフィットの捌き方を考える【APBFチーム予選6日目】

そろそろダイエットしようと思ってから1ヶ月くらい時間が過ぎて焦っているKKTです。


APBF予選最終日。我々チームのVPは予選通過ボーダーから離れていたので、個人目標は良いブリッジをすることで変わらず。25チームいて4チームだけ抜ける形式は本当に厳しいと実感しました。最終日はR22~R25。自分の出番はR23,24,25。早速振り返っていきます。


R23 vs トランスナショナルチーム

相手のチームは香港ペアと、ブライアンシニアのいるペア。我々は香港ペアと対戦しました。

相手の良いジャッジをいくつか紹介します。

自分はウエスト。ノースから

1D-2S-3C-4S;
X-P-5C///

4Sに対するノースのダブルが良い手を示していて、サウスはプレーに向いた手なので5C。上手に高い台の競り合いを捌いてました。平凡にスペードリードしたのでダイヤの下にハートが消えてジャストメイク-400。

裏は

1D-2S-P-3S///

3Sジャストメイク-140。11IMP取られ。3CはFGになってしまうとはいえNSの3NTや5Cが有り得るので、サウスは3Cが良いです。


もう一つ相手の良いジャッジ

ノースから

P-2D-3C-3S;
X-P-4C///

パートナーの2Dオープンはミニマルチ2Dでメジャー1スーターのウィーク。ノースの3Cに対して3Sでパスコレ。ノースがハイカードを示すダブル。サウスはプレーに向いたミニマムなので4Cに直してスタンド。4Cはスペードリードから、S1D1C1でジャストメイク-130。強いチームは競り合った後の着地が上手です。

裏は

P-2S-3C-3S;
X///

ノースのダブルまで一緒。最後サウスはパスしてイーストの3Sx。HQリードからHラフしてダイヤバックの良いディフェンスからスタートしたものの、2110の4つしか取れず3メイク-530で12IMP取られ。サウス最後にパスと4Cのジャッジは難しいですが、クラブが長くて遅いのでプレーに向いていると判断して4Cが良いと考えてます。

なおビューグラフでは、

表:P-2S-3C-3S;4C///
裏:P-2S///

表のノースは4Cにレイズ。4Cと言うと3NTトライが出来ないのと、3Sダブルで捕まえるチャンスが無くなるので、ノースはダブルでサウスに相談するのが良いと考えてます。


もう一つ

我々のテーブル。サウスから

1D-1S-X-XX;
4H///

サウスの4H。C4リードJの勝ち。CAを切られてスペード。K引いてSAの勝ち。D3バックDQの勝ち。ディクレアラーは手からD4。切るか切らないかのゲス。切るのが正解なのはディクレアラーがx Axxxx AKQJxx x みたいな手のとき。切らないのが正解なのはディクレアラーがx AQxxx KQJxxx x みたいな手のとき。

ただ、後者の場合はイーストがDAを取ってからダイヤを出しそう。イースト視点はウエストに黒い55と、ディクレアラーのH4D7もしくはH5D6が見えているので、イースト視点でウエストのシェイプは5305か5215。DA,Dラフでダウンが期待できるから。

とはいえ、前者のハンドは4Hジャンプには強いし、ダイヤソリッドならスペードスチールせずにハートを出しそう。

後者と読んでクラブディスカード。パートナーはDA勝ってDx出してワンダウン。「DA取らずすみません」と言ってました。誰しもミスは有るので仕方ないです。

裏は

1D-1S-X-XX;
4H-P-P-X;
P-5C///

4H流れてきたところにイーストがリオープンダブル。4Hノンダブルでは売り渡したくないという意図で、4HxのディフェンスかEWの4Sや5Cを見たアクション。ウエストはプレーに向いた55なので5Cへコンバート。強いチームは高い台の競り合いが上手。

5Cは良いコントラクトでクラブフィネスして切り札集めてスペード三回切って外れないハートフィネスでメイク。ですが、裏のウエストはクラブ一巡だけ集めてクロスラフを開始したので三巡目のダイヤラフをノースがオーバーラフしてワンダウン。ブライアンシニアもプレーで失敗することはあります。3IMPの獲得。

他は我々が良いスコアでしたが少し足りず17-24の7.69VP。強いチーム相手に戦えている感覚が有ったので良かったです。


R24 vs中国のクラブチーム

ミスフィットの捌き方を考える

自分はサウス。P-1D-2C/// ウエストのプレシジョン1Dオープンにノースが2Cオーバーコールしてそのまま流れて5メイク。

裏はP-1D-2C-2D;2S-P-3C/// ノースの3Cが5メイクでプッシュ。NSどちらもビッドしにくい形で4Hルーズも仕方ないと考えてますが、トラベリング見ると12ペアがハート見つけていて、2ペア5Cまで到達しているので、ゲーム見つかりがちなハンドらしいです。結構難しいですが、どちらが頑張るのでしょうか。

気になったので有識者に意見聞いてみました。

「事故ったハンドです。5Cできて助かりました。ビッド展開怪しくて、p-1d-2c-2d;x-p-3d-p;3s-p-4c-p;4h-p-5c///でした。どこかでノースがハート言えば良かったですね。まあイーストの2D入らないと2Cで終わりそうですよね。」
「P 1D 2C P P Pみたいになってもおかしくないかもしれない。S目線ゲームが見えにくいから。4H見つけるのは難しいね。」
「pー1dー2cー2d;Xーpー4H// イーストパスでもサウス2Sからノース3Hで4H。サウスのパスは有り得ない。パストハンドだし取り柄いかしていこう。」
「P-1D-2C-2D;X-P-4H/// レスポンシブダブル。プレシジョン1Dでイーストパスでもサウスは2S。」
「このハンドについてチームメイトといろいろと議論しました。Nにとって、2♣はアンダービッドですが、シングルトン♠で3♦やダブルするのもあんまりよくない気がします。2♣をオーバーコールして3♥をリービッドするのはいちばんいいですが、2♣パスアウトされる恐れがあります。普通はシングルトン♠でテイクアウトダブルを遠慮したほうがいいですが、このハンドは強くて5♣にコレクトできるから、ダブルしたほうがいいと結論に達しました。Sにとっては、ビッドするかしないかのボーダーラインだと思います。♣フィットがなくてパスのは理解できます。ビッドする理由はいくつかあります。1.パスハンド。ビッドしてもあんまり期待されない。2.ボスメジャー。フィットがあればゲームを逃しやすい。3.バルだからゲームを逃したくない。こっちのビッド展開はあんまり参考にならない。EWはナチュラルだけど、何故かWは1♣をオープンした。結果的に助けてくれました。P-1C-P-1NT;X-P-4H///」

イーストの2Dが入れば、サウスのレスポンシブダブルがちょうど良くて4H見つけられます。一つ謎が解けました。問題はショートクラブ1Cとかプレシジョン1Dで開いてノースが2Cでオーバーコールした場合。この時もパストハンドを活かして2Sレスポンスが良いみたいです。C6M4みたいな形のときに4Mが良いので、少し頑張るのが吉。勉強になりました。


続いて

ディフェンスの判断

ボスノンバル4番手のイーストで右の手。ビッドはサウスから

2NT-P-3NT///

パートナーのオープニングリードはH4。

T1:H4-2-6-T
T2:CJ-8-K-6
T3:DJ-?

リードの約束は4thベスト。シグナルはUDCA。ディフェンスの方針はどうしますか?







ハンドは

2NT-P-3NT///

T1:H4-2-6-T
T2:CJ-8-K-6
T3:DJ-?

裏表ともにローダイヤが出てウエストのDKが勝ってメイク。DA上がってハート返すとダウン。DA上がるディフェンスが正解になるのは、ウエストにAQxxxとかのハートが有ってダイヤが9個目のケースと、実際の配置みたいにKxxxxのハートがパートナーに有って、パートナーに1エントリー有る形。

一方で失敗はパートナーにQxのダイヤが有ってディクレアラーKxxxxの5枚ダイヤで、ディクレアラーにもう1ストッパー有って、DA上がった後ダイヤ当てられて作られる時。

特別な取り決めが無くて単純なゲスならDA上がる方が良いです。もしリバーススミスエコーを使っていて、ウエストから大きいクラブが出てきた場合にはハートの打ち抜きに期待しにくいということでDx出すディフェンスが有ります。

ただ、今回はC8が出ても、C9が出ても、イースト目線でウエストのクラブシングルトンとかQ9、Q8ダブルトンが有り得るから、結局ハートの打ち抜きに期待してDA上がる方が良さそうです。キリングディフェンスの問題みたいなハンドでした。

R24は5-32の16.91VPでした。中国チームは競り合いが強くて、良いコントラクトに辿り着くのが上手い印象です。


R25 vsフィリピンオープン

開幕フィリピンチームのタクティカルなビッドから

自分はサウス。ウエストから

P-P-1C-P;
1D-P-1H-P;
1NT-P-3NT///

イースト一旦1H挟んでから3NT。パートナーはハートを打てずスペードリード。ディクレアラーはSKで勝ってクラブフィネス。DQシフト。ノースはD5のエンカレッジ。ディクレアラーCA、CxでCK勝ち。ノースのディスカードはH4→H2(ODD/EVENの約束)。DKに期待してDJ。3024でジャストメイク-600。

相手の1Hビッドが巧妙で、ノースはハート打ちにくくなりました。3NTへ行くなら、3NTになったときに打たれたくないスーツをビッドしておく。こういうタクティカルも有るんだと勉強になりました。

ノースはハートリードできないのは仕方ないですが、ディスカードは工夫したいところ。サウスにハートのQTxがある時にダミー貼りつくとディクレアラーのゲス次第でダウン。D6をファーストディスカードで捨てると、ダイヤノンカモンとハートのSP。D6→D8の順で明確です。ディクレアラーは最初のトリックでSA、CAが正解。結局クラブのダブルフィネスは出来ないので、ハンドエントリーを残すべきでした。フィリピンは詰めが甘い。裏も3NT作っていたのでプッシュ。


続いて

相手のシェイプを考える

they vulの二番手サウスで下の手。イーストの1Hオープンから

1H-1NT-P-2H;
P-2S-P-3NT;
P-4S///

自分の4S。ウエストのオープニングリードはDQ。

T1:DQ-K-2-5
T2:C2-J-7-6
T3:CK-T-5-3
T4:S4-6-3-7
T5:C4-8-SK-9

プレーの方針はどうしますか?





ハンドは、

1H-1NT-P-2H;
P-2S-P-3NT;
P-4S///

T1:DQ-K-2-5
T2:C2-J-7-6
T3:CK-T-5-3
T4:S4-6-3-7
T5:C4-8-SK-9

DAでCQ捨てたら切られてワンダウン。正解のプレーはダイヤをS7でラフ。SAでオーバーラフされてスペードはDAでCQ捨ててメイク。S7通ればCQをSQで切って、HJでダミーに入って、SJ出して集めてメイク。T6でHx→HJをすると、次にCQをSQで切ったときにウエストに最後のハートを捨てられて、トランプ集めるためにダミーに入ろうとDx→ラフをしたときにSAでオーバーラフされて、ハートをS9で切られてダウン。

T5までにイーストのx5x4がほぼ確定していて、ハイカード的にSAもイースト。2524と3514は、ディフェンス展開的に3514の方が多そうなのでクラブラフに向かう方が良かったみたいです。ただ、クラブラフはT6の落とし穴が有ってプレー読むのが難しいので、ディクレアラーのAx xxxxx xx AKJxを期待してDA取ってしまうのもシンプルで妥当なプレーです。上手なディフェンダーならAxからx出すことも有り得るので。上手なディフェンダーがCK取るかどうかのゲスも有りますが。

裏は

1H-1NT-P-3NT///

ノースがスペード示さず3NT。3NTはH8リードからスペード負けに行って9個で10IMP取られ。フィリピンチームは3NTに到達するのが上手いです。たしかにノースの手はスローアナー多くて敵スーツのハートが厚いので、3NT目指すのは一理あります。自分がノース持ってたら3Cのパペットステイマンから入って3Hで4枚スペードのゲームチョイスをしそうです。

なおビューグラフでは、

表裏どちらも我々のテーブルと同じビッド展開からサウスの4S。

表はハートリード。ダミーのHKが勝って、DKキャッシュして、Sx→SKの勝ち。ローダイヤをS7でラフすると、イーストがSAでオーバーラフしてスペードリターン。その後DAでクラブ捨てて、三巡目のクラブはSQで切ってジャストメイク。

裏はDQリード。DK勝ってダミーからクラブ。イーストはCJ、CKを取ってスペードシフト。ディクレアラーはダミーで勝って、クラブの三巡目をラフ。DAでダミーのCQを捨てたらS4に切られてワンダウン。

ビューグラフの片方は自分と全く同じ展開で落ちてました。DA取りたくなる気持ち分かります。


続いて、

3NTのプレーラインを考える

they vulの三番手サウスで下の手。パートナーから

2S-P-2NT-P;
3C-P-3NT///

パートナーの2SオープンはS+mのウィーク。2NTはアスキングで3CはS+Cのミニマム。3NTでサインオフ。左のリードはH7(4th or top of nothing)。プレーの方針はどうしますか?





ハンドは

2S-P-2NT-P;
3C-P-3NT///

T1:H7-8-9-A
T2:DA-3-7-5
T3:DK-4-S2-8
T4:DJ-6-S3-Q
T5:H4-6-Q-5
T6:H2-J-3-K
T7:HT-S6-C4-D9
T8:DT-S8-C5-C2
T9:D2-C6-CT-C3
T10:ST-9-7-Q

T1のハートのゲス。Q97からの7か、97xxの7か、7x(x)の7。8引くとどれでも耐えているのでダミーからH8。H9に抜けたので右はQ9x(x)のハート。いずれスペードでダミー入ったときにハートフィネスすれば良いのでHAで勝ちました。黒いスーツにシフトされたくなかったので。

DAK,DJで負けに行って、右からハートが来てくれたので予定通りフィネス。抜けないはずのフィネスが抜けてびっくり。それでもメイク目あるので赤いスーツ走ってからT10で黒いスーツのゲス。既に黒いスーツが短くなっていて、SKスチールできても配置によってはその後ダウンなので、SQ表期待してスモール引いてダウン。SK上がってスペードが正解でした。全て外して落ちたの俺くらいじゃないか?と思ってましたが、何人か仲間いたようです。

よく考えると、T1はHTで勝ってDAKが良かったです。NS全スーツ抑えてそうなビッド展開でウエストのオープニングリードが難しいので、Q7xからディセプティブに7打つ可能性が有るからです(テーブルでは全く思いつきませんでした)。黒いスーツのゲスは難解で、今でも正解が分かりません。でもQ72から7リードしてきてるウエストは、他のスーツをリードしにくい持ち方しているから、黒いスーツ2A有り得るかもしれません。

裏はノースのパスからEWサイレント。P-1D;1S-2NT;3C-3NT/// OLはC7。C7-4-2-8。DAKJ、EのDQが勝つ。E H9 6 Q x、W H7 8 2 T、SはDDHH、EはSQ5捨て、WはS2C1捨て、スペード負けに来られてジャストメイク-400で10IMP取られ。

WはHQ勝った時にCA, SA, Cxとすると1112取れてワンダウンですが、気付くのは難しい。サウスのプレーから2452読めればという感じです。裏も表もH7xから7打ってました。オープニングリード側がハイカードを多く持つときに、有りがちなディセプティブリードみたいです。勉強になりました。


ビューグラフは

P-P-1D-P;1S-P-2H-P;2S-P-3NT///という展開でサウスの3NT。ウエストはH2リードでダミーのHJ勝ち。ダイヤフィネス、DAK、DxでイーストのDQ勝ち。イーストはクラブシフトでCK→CA。ウエストクラブバックでCQの勝ち。CJ取れるようになって9個。ウエストはCA勝った時にスペードシフトでゲスを迫るのが良いです。クラブ返すとH4D4C1で3NTメイクが見えているから(ディクレアラーD5H4なので)、イーストにSQ期待すること以外に落ち目は無いです。


R25は32-42の6.82VP。フィリピンチームは3NTが上手でした。最終結果は25ラウンドで203.68VPの18位/25。4位のチームは322.58VPだったので120VP弱足りずでした。8位ボーダーの場合は300VP必要なので100VP弱足りていませんでした。予選通して全体的に下振れていたと思いますが、上振れたとしても実力不足で足りなかったです。我々チームは競り合いが発生したボードの最終コントラクトが良くない傾向でした。国際試合で勝つためには、競り合い後に良いところで止まる練習が必要と感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?