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【長文】じゃあ、どうするべきかわかるか?努力をするしかないんだよ

僕はわりと人に褒められてこなかった人生なので、極端に褒められたりすると、嬉しくなってわかりやすくにやにやしてしまう。単純なのはいいところ。そう思って生きているけど、浮かれすぎないように、気をつけながら過ごしている。

でもそうやって褒められ慣れてこなかったおかげもあってか、昔は、よく自分のことを出来損ないの人間だなーと思っていた。


最初に、自分が出来損ないかもしれない…!と感じたのは、小学生の頃だった。

小学校1年生の時に松井秀喜選手に憧れて、僕は少年野球チームに入った。2年生からピッチャーになって、4年生までエースだったが、そのタイミングで、野球センス抜群の同級生がチームに新たに加入した。

その後、僕と彼の2人でピッチャー争いをすることになった。僕はその彼より身長が10cm近く高かったし、自信があったのだが、そんな時、僕ら2人の練習姿を見ていた少年野球のコーチに僕はこんなことを言われた。

「おまえはあいつみたいなセンスがないんだ。じゃあ、どうするべきかわかるか?努力をするしかないんだよ」

僕はセンスの良い彼との差に気づけなかった。だからそんな思いも寄らない言葉にハッとした。

人のタイプを大雑把に分けた時、センスのある人間、センスのない人間があるとすると、僕はセンスのない人間に分類されるのだとそこではじめて知って大きくショックを受けた。

わりとスポーツは得意だったし、器用な人間だと思い込んでいたそこで、自分が出来損ないなのかもしれないと思った。そして同時にこのままだと簡単にエースの座が奪われてしまうと恐怖に駆られた。

その日以降、僕は練習後は必ず残って個人練習をした。野球の本を何冊か買って勉強をした。そんな風に必死になっている僕を見かねて、なんと、コーチは毎回その練習に付き合ってくれるようになった。他の選手には教えていないような牽制球の仕方や、球のスピードがあがる投球フォームなどを教えてくれて、特訓に特訓を重ねた。

結果的に、チームはそこまで優秀な成績は収められなかったものの、僕自身は、小学校6年までチームのエースを任せてもらえるようになり、中学の野球チームからも推薦状をもらえるほどまで成長することができた。

当時は、かなりキツい言葉だったが、今思えばとても愛のある言葉だったし、今も大切に胸の中に残っている。

大人になってもそういう場面には遭遇する。

頑張って欲しいという思いから愛のある言葉を投げかけてくれる人と出会えることが稀にある。

でも、言葉単体で切り取れば、愛のある言葉に近いけど、それとはまったく違う愛のない言葉を言われることもある。

僕は、音楽を本格的に始めた頃によくこんなことを言われた。

「おまえに音楽は向いていない」
「早く辞めてバイトでも探したほうがいいんじゃない?」

大した言葉ではないかもしれないし、きっと言った本人は覚えていないだろうけど、そういう言葉はちゃんと言われた人の心には残るものだ。

最初は鼓舞するために言ってくれていると思っていたけど、その人の言動や行動を見ているとどうにも自分が気に入られていないことがわかった。僕は寂しい気持ちにはなったけど、認められるように努力をしようと頑張った。でもその期待に応えられることはなく、ずっとそんなような言葉を言われ続けていた。

今思うと、僕は、努力の仕方を間違えていたのだ。

”その人に認められること”と”良い音楽を届けること”は近いようですごく遠いことだったのだ。そして僕の音楽をする目的がまったく違うものになってしまっていたのだ。

正直、小学校の時に言われたように、音楽のセンスもないことは事実なのかもしれない。でもセンスは磨くことができる。小学校の頃のコーチはそのために努力をすることを教えてくれた。そして、その言葉に責任を持って、僕を成長させてくれた。

でも大人の世界はそんな甘くなかったのだ。言い放って終わり。これは仕方ないことなのだ。そういうものだから。

僕はやってもやってもよくならない現状に、完全に自信をなくした。一時期、自分には歌は向いていないから、歌わない方が良いとさえ思っていた。

そして、自分は出来損ないなのだと思うようになった。

途方に暮れるような毎日だったが、運が良かったのは、そんな僕には仲間がいた。

自分のことを認めてくれる仲間だ。応援してくれる仲間だ。

その悩みを仲間に打ち明けた。すると、ちゃんとみんな僕の気持ちを理解してくれた。それだけで本当に救われた。

僕はそこから考え方を変えた。

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