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【長文】恵方巻き

節分になると豆まきしたり、恵方巻きを食べたりバタバタする。

工藤秀平は一応エンターテイナーという仕事をしているので、基本的になんでもイベント事はやっておきたい。

今日は1日、恵方巻きについて考えていた。

節分での恵方巻きは、

恵方巻き1本を切り分けたりしないで丸ごと食べないといけない。

これは「神様と縁が切れないように」という意味が込められているらしい。

(最初に言っておくが、記憶を頼りに書いてるので違ったらごめん笑)

目を閉じて、願い事を頭に浮かべながら食べるとよりグッドだ。

その間しゃべっちゃいけないというルールもある。

しゃべると福が逃げるかららしい。

食べる時間は、気にせず、立って食べるか座って食べるかも自由。

子どもや少食の方など、一度に食べ切るのが難しい場合は、小さいサイズでもいいらしい。

じゃあ結構簡単かも。

そう思って、売り切れる前にと思い、お昼頃にコンビニに行った。

そこには、さまざまな種類の恵方巻きが大量に並んでいた。

恵方巻きがよりどりみどり状態だ。

短い恵方巻きも売っていて、「さすが〜」と思って、原材料を確認してみた。

えびが入っていた。

僕は軽度のえびアレルギーなので、えびが食べられない。

じゃあ違うものを。

短い野菜の恵方巻きみたいなものを手に取った。

えびが入っていた。

じゃあ違うものを。そろそろ周りの視線も気になってくる。

焼肉!みたいな恵方巻きも手に取ってみた。

えびが入っていた。

ねえ、えびアレルギーの人にとって、恵方巻き不利すぎない??

そんなことはコンビニで言えない。

でも諦めたくない。

これはまずいと焦りながら、そして、なんか申し訳ないと思いながら全部裏返していった。(手は入口で消毒済みだ。)

恵方巻きコーナーの端から端まで、原材料を確認しているうちに、周りの人にも確実に注目されている感覚も出てきて、だんだん虚しい気持ちになってきた。

そして、原材料には「えび」「えび」「えび」・・・がつづく。

気づけば最後のひとつ。

工藤秀平は、唾を飲み込んで、そっと、そして、優しく恵方巻きを手に取った。

「もうだめだろう」と心の中では思っていた。

むしろ、このままえびが入ってくれていた方がよいとさえ思っていた。

えびが入っていたらもうその場をすぐに離れて「こいつ恵方巻きに悩みすぎ」と周りの人に思われないように、時間をかけて、コンビニをふらふらして、たくさんの商品をカゴに入れて

「あーこの人は、大人数の買い出しだったのか」

と思われた方がましだったからだ。

えびは入っていなかった。

だよね。

だよね。

最後に手にするあたりさすが工藤秀平といったところだ。

頭の中では「ジャンジャジャーン」みたいな音が鳴っていた。

まあいい。

それはよかったんだ。

しかし、見つかった恵方巻きは、「でかいサイズ」を売りにしているものだった。

レジでうつむき気味で購入を済ませたものの

「おなかがすいていれば食べられるだろう」

と思っていたが夕方になっても、夜になっても、23時になってもおなかが空かない。

しかし日付が変わったら意味がない。

23:20頃、決意を固めた。

スマホの方位磁針でしっかり北北西をチェック。(正しくは北北西微北らしい。→西に0.3度ずらすらしい)

僕は、食べ始めた。

前半は順調に進んでいく。

僕は無言で、目を閉じている。

まるでそこは、ライブ会場。みんなの前でバラードを歌っているような表情で恵方巻きを咥えていた。

折り返し地点。半分までたどりついた。

正直、もう無理だと思った。(はや)

本当は、二口目で限界を感じていた。

だって「でかいサイズ」を売りにしているやつなんだもん

かっこわるいとか言うなし。

しかし、忘れてはいけない。僕は工藤秀平だった。

工藤秀平という生き物は世界中のみんなが諦めても、ひとりだけ諦めない。みたいな男だ。

折り返しから一口目を食べ始めた。

その時だった。

反対側から卵がこぼれ落ちそうになった。

「おっと!!!!!!」

と言葉に出そうだった!

でも心でつぶやくことに成功。口はでかいサイズの恵方巻きでふさがれているので助かった。

なんとか卵を抑えきった。元野球部の反射神経はなかなかなものだ。(しらんがな)

そして、折り返しから二口目。

「限界だ、これ、1時間ぐらいかけないと無理かも。もうやめたい。なんでこんなことしないといけないんだ。」と思いそうになった(思ってはいない。あくまでも、思いそうになった)

しかし、「おれは、工藤秀平、おれは、工藤秀平だ」と言い聞かせた。

そこからはもう意地のみ。

願いごとは頭に浮かべながら、すごい形相で食べ切った。

飲み込むまでが勝負だ。

もう「ん〜〜〜〜」みたいな声が出そうだった。

でもこらえた。

そして、食べ切った。

そして、すぐに

サウナ終わりに水をカブ飲みするような勢いで、水を一気飲み。

僕は思った。

「これ、みんなちゃんとできるの・・・?」

と。

できてる人たちを尊敬した。

こんなに壁が何度も目の前に現れる、恵方巻きという風習をやり切った1年は、結構いろいろなことにチャレンジしても乗り越えられそうだし、運も味方してくれそうだ。

本当に日本人すごい。あっぱれ。

こういう気づきがあるから僕はイベント事が好きなのだろう。

そして、こういう気づきがあることを知ってしまった上で、イベントは逃した人は「やっておけばよかった」という気持ちになると思う。

これ、明日でも明後日でもいいと思う。願いというものは、強ければルールを越える。

恵方巻きが、もしかしたら明日、割引シールが貼られて売っているかもしれないし、細巻ならたぶん他にあったりするから、「ちょっと昨日忙しかったんで・・・」って思いながら明日以降やればいいと思う。

そのぐらい神様は許してくれるはずだ。

ぜひトライしてみてほしい。

ここまで読んで、みんなこう思っているのだろう。

「豆まきはしないんだ、へー」

と。

もちろん豆まきもやったさ。

もったいないと思ったから外に捨てたりとかは、しなかったが。

ちゃんと「鬼は外、福はうち。」と言いながらやった。

基本的なやり方は、

家の窓やドアを開ける。

そして、外に向けて「鬼は外」と豆をまく。

鬼が入ってこないように扉を閉める。

家の中に向かって「福は内」と豆をまく。 

豆まきが終わったら、1年の厄除けを願う。

そして、自分の年齢+1つ分の豆を食べる。(「年取り豆」という)

でもこれって正式なルールはないから基本的に「自由でいいよ」と言われているらしい。

だから自分らしく願いをこめてやれれば良いのだ。

僕も、ちゃんと豆を食べた。

子供の頃は、「年齢分しか食べちゃいけないの〜?」とよく両親に駄々をこねていた。

そしたらおじいちゃんが「おじいちゃんのいっぱいあるからあげるよ」とこっそり豆をくれた。

アンパンマン的な発想だ。自分の体を犠牲にしても孫の空腹を救ったのだ。

これが本当の豆まきの愛の形なのかもしれない。

そう少年時代の工藤秀平は思っていた。

ような気がする。

今回は、自分の年の数+1つだけ食べたあと、なぜかお腹いっぱいだったので、袋を閉じてしまった。(ぜんぶ、恵方巻きのせいだ)

このように、ただの1日が「節分」「豆まき」「恵方巻き」のイベントによって色鮮やかなものとなった。

イベントは多いほうがいい。

よく言っているが、こういうことがあるからそう思うのだ。

毎日がこんな風にイベントになるように、僕はみんなの日々に色を足していけるような人間になっていきたいなと思った工藤秀平だった。


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