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何の上に成り立っているのか考える

Photo: Hiroki Tagawa

2023年に入り、ここらで記録をしないと忘れていってしまうだろうと思い
昨年の雰囲気を書き留めることにしました。
ふんわりと読み返して当時の自分を追体験できれば良いな。

昨年はとても多くの出会いと実り多き一年でした
2年前は交流の機会が多くインプットも沢山ありましたので、昨年はアウトプットを意識し一つ一つの機会やプロジェクトを丁寧に扱う年にしようと心掛け、結果例年に比べ自己満足度の高い年になりました。Quality of life大事

ご縁あって西尾さん活動を始めた造園やランドスケープに関する実験的な取り組みは他でもよく触れるので、今回は主にその他の取り組みについて
全ては書ききれないしポートフォリオ的なものは随時出していく予定なので主にその時々の所感を綴ることにしました。


市民科学に関する取り組みとしての相談役


AAASの日本版にあたるJAAS(日本科学振興協会)の第1回でや東大先端研の森さんや中央大の高瀬さんはじめ最高なメンツでシチズンサイエンスにおける研究者と市民の距離感や実践の主体性などについて論じることができたのは非常に感慨深い思い出です。
引用して研究に活かしたくなる事例とは何か、引用を意識した記録とはどういうものかなどを実践の場でどう具体化するかプロジェクト毎に試行錯誤しています。

時々、口コミを介して通年で頼まれることがあるコンサルティングやアドバイザーとしての仕事ですが、個人的に新しい境地に変容してきました。
去年より前には「なんか賢そうな人がそれっぽく喋ってくれりゃいいよ」というような残念な場面もありましたが、それらの苦い思い出を活かし
クライアントが実践の主体であることを強調した相談役としての役回りをできるように心がけています。

AXISでの武井さん大野さんとの鼎談でも話しましたが「〇〇先生がいい感じにやっちゃってよ」という外部化は逃避に繋がりやすいので、慣れない姿勢で悩み続けてしまいがちです。
自身のスキルや事業なら具体的にどの程度のスケールなら始められるのか、そのためには資金、人材、枠組み、何が必要なのかを自身でサーベイできるように教育する。自分の悩みを手触り感を持って理解する。
研究室での若手育成に近いかもしれません。
検索能力と読解力、表現力を養う手助けは当然ですが、やはり慣れないことでしんどくなったりプライドが傷つく人もいますが、そういった時のための相談役です。なぜしんどいのか、素直に感情を表現しその人その人にとっての"心地の良い悩み方"を模索し独り立ちできるように支える。

というか市民科学でいう主体的な市民は各々が興味を持ったり課題に感じることについて取り組むために似たプロセスを辿りますよね。Fablabのような施設ではFabマスターたちが似た文脈で実践をしているのだと肌で感じて嬉しい気持ちになります。Media Labで体験した教育論Constructionismの影響をこのような場面で再確認しました。

生態系構築ユニットVeigとしての第1作にあたる
谷川ハウス周辺の「表裏の庭」に関する活動記録を残そうと考えたのも西尾さんはじめメンバーとの試行錯誤の結果です。表現されたものの背景に何が語られているのか、何の上に成り立った表現なのか
こうした議論を笑いながら、時に感情を出して、多様な人々と出逢いながら議論できる素敵な活動を始められた気がしています。

とてもありがたいことに
谷川ハウスにゲストが訪れるたび遠山さんが庭の案内もしてくださっており「あの庭を体験した。ぜひ話がしたい」と連絡をくれる人もちらほら増えている。あの空間はぜひ生で体験してほしい。新緑が楽しみです。

遠山さんの感覚を擦り合わせるためにお土産として作ったプレイリストもこの際ここに貼っておこう。孤独と不便さと向き合うことで見えてくる複雑な感情の浮き沈みをテーマに選曲しました。冬と春の北軽井沢での生活を考慮して朝方か夕方前に聴き始める想定の長さです。


サイエンスコミュニケーションの具体性


日本科学未来館での展示や先の相談役としての仕事などを通じて
時々「実践的なサイエンスコミュニケーションですね」と言っていただくことがある。
普段、科学的なものの見方と縁のない人々にその見方を優しく丁寧に伝えてくれる人々はすでに何よりも実践的だと思うし、その結果として今の自分がいると思うのでその時は違和感を感じた表現ですが、言わんとすることは分かってきた気がする。

そもそも資金や労働を集約して研究をするのはとても大変だ、一人の人間のライフサイクルで出来ない訳ではないが、広く適用できるやり方かといえばそうではない。
研究機関や組織で出来る研究のスケール感や速度感に魅了された人間の一人として、当時は正直やる気次第でどうにでもなるやろ、というマッチョな考え方を持っていた。しばらく経つとどのプロジェクトも多くは人が作り出した機会で、プロジェクトマネージャーのおかげで自分で手触り感を持って当然のように進めているのが錯覚のように思えた。
「数百億、数兆円、国家連携、国際プロジェクト」
そんな規模感のプロジェクトに責任感を語る人々の現場や個人への無関心さや無責任さがいまいち腑に落ちなかった。このために20代の前半は鬱に悩まされ何も出来なくなる時期もあった。自分が分からなくなった。
もちろんそうした事例にはそれなりの理由もあるし悪ではない。俯瞰的な場面で取りこぼされるものがあるのが理解できる。

とはいえ、自分で扱える規模感とは何か、プロジェクトを起こすとはどんなものか、その重さや緊張感を知らずに愚痴をこぼすようではいけない。
個人事業主として仕事を作ってみたり受けてみたりすることで納得感や満足感、今まで見えていなかった細部への知見が得られてきている。

研究のやり方についても、先に述べた通り個人、単体の組織では困難な場合でも、予算の取り方、適切な人材や計画、リサーチと実装(Research & Deployment)などの大枠を抑えて異なる背景を持つ人々の間に立つことで
地方自治体や一組織でも研究と事業を独立または並走させることができる兆しが見えてきた。
産学の連携事例だけではなく、直近に控えるプロジェクトでは官も入ってくる。これまで趣味半分で調べていたさまざまな行政のネットワークや情報が役に立ってきていると実感します。

研究プロジェクトを起こし事業をはじめ多方面への表現につなげる
本望すぎる関わり方だ。ボストンで感じていた研究の面白さの一端をやっと自分の手触り感を持って理解し始めているような気がする。
もしかしたらこれは科学的なものの見方を通じたコミュニュケーション、表現の一種なのではないか。

2022年は個人的に大発見の連続であった。

余談


2022年は趣味も時間もとても充実していた
25歳、四半世紀の歳
例年以上になくさまざまな音楽を聴き映画を見た
大野さんや堀川さんとの出会いもあり
大好きだったゲームも再開した
懐かしのゲーム群から得るものは当時に比べ圧倒的に多く
感受性の変化と成長を感じた
お笑いライブにも行くようになった
あんなに素晴らしいものがあったなんて、もっと早く知るべきだった

再興する音楽ライブにも度々訪れた
毎年恒例のフジロックには海外のアーティストも戻り
2023年はボストンで出会った仲間も日本に滞在する
Global Community BioSummitにも参加する予定だ
最近の進捗を当時の仲間達に伝えて議論する瞬間もかけがえない

一方昨年も例年通りしんどい事もたくさんあった
その度に、家族やボストンの仲間, 西尾さん, 谷奥さん, 高田さん, etc…
とにかく多くの人々に温かく支えてもらい解決の糸口を探ることができた。

2023年も人々との関わりを大切に楽しくワイワイやっていこうと思います。
仕事や食事、お笑い&音楽ライブ、なんでもお誘いお待ちしております~~

Veigとして
造園、ランドスケープ&研究もご用命とあらばいつでもお声がけください
じっくりとしたリサーチ、設計、施工が特徴でもあるので
お早めにご連絡いただければガッチリご対応できるかと思います。
来月は都内での挑戦的なプロジェクトが控えているため
完成したら近しい人を招待できたらと考えています
頑張ります

Veig "Underlying Garden"にて
Photo: Hiroki Tagawa


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