東女美女烈伝.23 桐生真弥

月をすくう女

桐生真弥は美しいんだ。

世界の超獣アジャ・ゴングが太鼓判を押す東女きっての立派な体躯。
必殺のスパインバスターは子熊くらいなら殺してしまうような必殺拳。猟友会は桐生真弥を呼べ。
プリンセスタッグ王座決定戦進出者決定トーナメント1回戦で遠藤有栖に決めた一撃。見ていた私の後頭部にも電撃が走るほどの説得力。アーン・アンダーソンの10倍。

特典会はファンがボーッとしてしまうような癒し時間。私はボーッとしながら猫の話をしたような気がする。
セコンドワークは団体きっての手際良さ。
上原わかなとともに私を身を挺して守ってくれたことがある。本当に強い人は本当に優しいと何度でも言いたい。

かの名匠庵野秀明はかつてNHKの番組内でこう言っていた。

「桐生真弥の良さがわからんとは。」

わかる。今ならわかる。
東京女子プロレスを知らない視聴者からしたら何のことなのか、誰のことなのかわからないだろうが、私にはわかりますとも。

彼女は麻雀が趣味だそうで、新橋の雀荘で単独イベントを開催するほどだ。東女きってのオヂサンホイホイ。
彼女が放つサイドバスターは麻雀の役名になぞらえて河底撈魚(ホウテイラオユイ)という。
最後の最後で川底の魚をすくい取るという意味で、発生確率は0.5%とナカナカにシビれる役らしい。
ところで、今の彼女はナカナカにシビれるレスラーなのか。
正直なところ、いつも東洋盟友のパートナーというか旗振り役である上福ゆきにリングでもバックステージでも叱咤鼓舞されている印象だ。ほんとうは桐生真弥が旗振り役というか斬り込み隊長でなければいけないのに。

河底撈魚という四字熟語は「簡単にできて見込みもある」というなんとも楽天的な意味がある。
似たような四字熟語で「海底撈月」というものがある。「撈」には同じく「水中からすくい取る」という意味があり、「海底撈月」は海面に映った月を見て、それを取ろうと海底をすくう。つまり無益な労力を費やすということのたとえである。
上を見れば激しいタイトル争い。下を見れば才能あふれる後輩たち。彼女が役満を成立させるにはナカナカにシビれる現状。
彼女のひたむきな姿勢に叱咤鼓舞されている誰かのためにも、海面に映る月をすくってほしい。
彼女の日々はいつの日か誰かのための国士無双になってほしいし、彼女はもうそれだけのチカラがある。
和了という月はもう見えているよ。

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