ポートレートの使い方

全国3000万の東京女子プロレスファンの皆さん、こんにちは。
女子プロレス界の新たなビジネスモデルであるポートレート、皆さんは家に持って帰った後にどうされていますか？
困っていませんか？
呆然としていませんか？
おかしなことに使っていませんか？

そういう画像を添付してはいけない。
なんにせよ。
難しいですよね。
フレームに入れて飾る。
ファイリングして眺めてその日の試合や特典会での会話を思い出す。
そのくらいでしょうか。
私もそのくらいが限界です。
でもね、もっと有効的に使えるのです。
いいですか。
ここからは上級者です。
おや？とかおかしいなとか思ったら通報です。
私が会場に来なくなったら、そういうことになったのだなと思ってください。
いきます。レッツポエミング。

私立吉祥学園。
私が通う学校だ。
偏差値は中の下の中。
自由な校風のもとにそこそこの夢を持ったそこそこの男女が集う共学校。

「喫茶『アフロ』がいいわね。
そう、公園の北側にある、オレンジ色の
屋根の小さな店よ。」

昼休みに交わしたそんな約束をすっかり忘れていた私。
家でゴロゴロとswitchをしていた頃にLINEが入る。
「どこ？なんなの？」
単車をかっ飛ばす。
喫茶アフロ。
開業から30年ほどの地元では大手チェーンが出店する中健闘している老舗。

ドアを開けると、

辰巳リカ。
バレー部主将。
うるさい顔にうるさい声。
スポーツ万能頭脳はまあまあ。
スクールカーストは最上位のサイコパス。

なぜ私が彼女と付き合うことになったのかは覚えていないが、昔からの腐れ縁でいつの間にか放課後にこうして喫茶店でダベる仲となっていた。
それを付き合うというのかはわからないが、学園内ではそういうことになっている。
当然スクールカースト最深部にいる陰キャの私がこうなったことを信じられない人間も多く、こうなった当初から、「人類史に残る奇跡」などと揶揄されている。
スクールカースト高位のヤカラ連中から何度も絡まれたが、その度に彼女が必殺のコブラクローで救ってくれた。
そう、私は彼女に頭が上がらないのだ。
両親が営む中華屋が「白龍楼」ということからついたあだ名はホワイトドラゴン。

「あんさー、来週のシーパラだけどさー。」

彼女は部活をやってるわりには、こっぴどく私をデートに誘いたがる。来週はシーパラだ。

「おー、おふたりさーん。本日もですかー。」

遠藤有栖。
帰宅部の大エース。
派手な身なりにウィスパーボイスの合わせ技で上級生からの人気が絶大。
しかし彼女自身は恋愛にあまり興味がない。
卒業後は憧れの先輩を追いかけてプロレスラーになる予定。
なにかと我々に絡んでくる。

「ひゅ〜ひゅ〜ひゅ〜う♡」

原宿ぽむ(通称ぽむ)
帰宅部主将。
週末は読モとして活躍しているだけあり、校則の範囲内で楽しむオシャレがSNSでバズっている学園が誇る才女。
「からかい上手の高木さん」ばりに私に絡んでくるウザい奴。俺のこと好きなのかな(だまれよ)。

いつもこんな感じで我々のデート(なのだろうか？)は帰宅部ツートップに邪魔をされて散開となる。
私のようなギークが彼女達のような天空人(てんくうびと)と会話できるだけで幸せなのかもしれないが。

ある日の昼休み。

角田奈穂
演劇部部長。
将来は公務員になりたいフツーの女。
部活の引退公演を控えセリフ覚えの日々を過ごしている。

「私のノートは？」

そうだった。私は彼女にこの間スキップした授業のノートを借りていたのだった。
私はこっぴどく叱られこっぴどく詫びた。

「いいよ。あいつのテストは一夜漬けでやっつけられるし。」

彼女は基本的に優しい。誰にでも優しい。
だが性格が悪い一面もある。ドラえもんで例えるとスネ夫。ジャイアンに忖度しないスネ夫。

「お詫びとして来週シーパラ行こう。あんたの奢りで。」

歓喜。
そう。私は(一応)彼女なるものがいるものの、角田奈穂のことが大好きなのだ。

そして迎えた「来週」

待ち合わせはシーパラのエントランス。

到着すると…

読モとして撮影で来ていた原宿ぽむ。
上級生の誘いを断りきれなかった遠藤有栖。
この状況に困り果てている普通の女。
今にも殺人犯になりそうな目をしている辰巳リカ。

私は今地獄にいる。4人の天空人に囲まれて。
こんな幸せな地獄がいまだかつてあっただろうか。
女子プロレスファン。
ああ、なんと気持ちの悪い生き物だろうか。

世界を平和にするためにも、ポートレートは必要だ。

……コレがポートレート上級者です。
絶対に真似をしてはいけません。
だけれども私は止まらない。
いつかポートレート依存症経験者として全国を講演して回りたいとホンキで思っている。
出禁上等。
かかってこい！まいったか！甲田さん！

次回は全員キチンと脚を出してくれ

助けて！ホワイトドラゴン！