東女美女烈伝.24 瑞希

希望を配る人

瑞希は美しいんだ。

ツヨカワ。
もはや一般社会にも馴染んで(きていると私は勝手に思っている)、プロレス界では使い古された感もあるが、彼女のためにある言葉ではなかろうか。
天真爛漫な愛くるしいルックスと安田美沙子のように聞き心地のいい関西弁。およそプロレスラーとは思えない線の細さ。一見すると渋谷や新大久保を闊歩する美少女のよう。
リングに上がればLLPW(-X)仕込みの団体内では際立つ温故知新なザ・女子プロシューティングスタイル。なによりも故障が少ない強靭な肉体。
生え抜きの多い東女において、彼女は自身のことを「転校生」と言う。出自も強さも異彩を放つ。
盟友坂崎ユカから奪取した団体最高峰王座を腰に巻き、約1年間団体を牽引した。

かつてナポレオン・ボナパルトは、リーダーたる者は希望を配る者だとの格言を残した。
民衆が進むべき方向、進んだ先にある希望を見せて導く者こそリーダーなのだと彼は皇帝となることで示した。
瑞希もその名のとおり、防衛ロードでプリンセスオブプリンセスという団体のリーダーたる器を見せつけた。
頭ごなしなトップダウンではなく、自らの王者たる姿勢をリングで見せることで団体を引っ張り、ファンを惹きつけた。

「やってみて、言って聞かせて、させてみせ。ほめてやらねば、人は動かじ。」

かの連合艦隊司令長官山本五十六の格言にも通じるところも彼女にはある。
彼女がこのような姿勢で後輩たちに接していたかはわからない。初防衛戦の挑戦者、おなじく転校生である角田奈穂の挑戦表明を聞くに、おそらくそうなのだろう。

ツヨカワ。
希望を配り導くことでこの言葉をより深く尊いものにした瑞希。
これから彼女が選手やファン、すなわち東女をどこへどう導いてくれるのか楽しみでならない。

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