東女美女烈伝.13 風城ハル

オルレアンの乙女

風城ハルは美しいんだ。

彼女はまもなく16歳を迎えるという。

こんなことを言うだけで老いが進んでしまいそうだが、私は随分歳をとったと思う。
プロレスを見始めた当時は闘魂三銃士が全盛期。その頃の彼らの年齢をとっくに追い越してしまった。来年には橋本真也が没した年齢になる。
現在業界を牽引する清宮海斗も安齊勇馬もうんと若い。大谷翔平も久保建英も。
老いが憎い。風城ハルが生まれた時にはもう私は社会人になっていた。老いが憎い。

あと10年早く東京女子プロレスに出会っていたかった。
したり顔で特典会に並ぶ売店アドバイスオヂサンになりたかった(なりたくない)。

IWGPを史上最年少で巻いた中邑真輔はかつて

過去と戦って何が悪い。

昔を越えようとして何が悪い。

未来は俺が創る。

生きたいように生きる。

成りたい自分になる

それがプロレスラーだろ。

と当時理想をぶつけ合っていた棚橋弘至との試合後に言い放った。
若さという現実がいかに美しく乱暴で無敵の狂気なのかよくわかる。

自分が知っていることに紐づけたり、こじつけるのは老害そのものだと先日友人に叱られたが、彼女はかつての中邑のような心持ちでプロレス界に来て、そんな思いで日々闘っているのではないだろうか。
現に私は彼女の特典会に並んだ時に

「イヤァオ!」

と一筆いただいた。
困った中年である。

とにかく忘れてはならないのは、彼女は会いにいけるアイドル、美少女ではない。たまたま会いにいけるプロレスラー、美少女だということだ。
履き違えてはいけない。

彼女が東女でハル色のジャンヌ・ダルクという未来になる邪魔だけはしてはならない。
未来は彼女の手の中なのだから。

2024年2月10日。鈴木志乃戦。
シングル初勝利。
プロレスラー人生で一度しかない尊き記録。

風城ハルはまだ始まったばかり。
もっともっと強くなる。もっともっと前へ進む。

そう遠くない未来、老人ホームの談話室で彼女が団体を牽引する勇姿を見るのが楽しみで仕方ない。長生きしなきゃ。

進め、ハル。

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