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さらばカッパよ

今日から四月。
明るく行こうぜ。

おれが居なくなった途端に鬼ヶ島プロジェクトが消滅するのやめて欲しい。一応、存在感を出すだけでそこそこ実入りがあるプロジェクトだったのに、勝手が分からないとか馬鹿な事いって上層部に閉じられてしまった。あとはみっちり蓋しておしまい。
馬鹿なのか。
頭悪すぎ。
己の馬鹿にも蓋をして知らんぷり。
あーあ。
帰る家はもう無いようだ。

今日は新部門の初会合があった。初めて部下全員と顔を合わす。ついでに経営層も同席して、早くもおれの経営手腕を品定めしている。
…ってケイエイシュワンなんかあるわけねーわな。無人島ばかりで上司も部下も無く、その日生きる術を模索していたんだから。しかもひと癖ふた癖ある奴らばかり下に入れやがって。そこに急に最重要ミッションを丸投げされたって、ケイエイなんかした事ないわな。案の定、部下たちも不安を口に出し始め、足元を見られるような発言の応酬になった。

マイナスからのスタートも悪くない。
あとは上がっていけば良い。
まずは混乱を生じさせながら鳴り物入りでスタートしても、そこからだんだん上げていけばいい。上がらなかったら無難なポジションに戻るまでのことだ。
逆境ウェルカム。下り坂は嫌いだが、下り切ってしまえば上るだけ。

インターネットとSNSの社会において、アイデンティティをリセットするチャンスなどそうそう無い。
今まさに、おれは転職することもなく、ここ20数年のアイデンティティを消去され、新たな記憶を刷り込まれて戦略マシンとして甦ろうとしている。
ラッキー。
とてもとても希望に満ちている話じゃないか。