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牛の肝臓を食べたい

衛生的には「よくあんなもの食べてたな」っていう過去の話かもしれないが、新鮮な牛レバーの厚めの切り身を、ごま油に粗塩をぶち込んだタレにニンニクと生姜をぶちこんで、そこにビシャッと浸して食らう。シャクシャクとした歯応えが、あたかも生のケモノを食べているみたいでセクシー。口に満たされる旨味と血生臭さを流し込むのは、乙種焼酎7割くらいのホッピー、または果汁0%のレモンサワーが無言の大人の嗜み。おれは食通とかそういうのではなく、件の店も壁のメニューを叩けばコックローチがボトッと落ちてくるような、じじいの加齢臭と煙草の紫煙に満たされた亜空間。だから誰も驚かないし、食レポなんかしないし、濃いめの合成酒で出来上がってみんな反応が鈍くなっている。店主はヅラ。翌日腹を壊したからって、それ以上にハゲしい二日酔いだから気付かない。いつもより屁がくせえな、と思うくらいだ。諸事情によって食べられなくなっちゃったけど、今でも常連にはこっそり出してるのだろうか。代替えの低温調理とかコンニャクとかグミとかマジで要らねえから。偽物はキライだ。さすがにあの店に一人で行くと常連から「おまえどこ中だ?」ってタカられるかもしれないから、次行くのは仲間が居るときにしよう。そしてそこに居る誰もが、悪い菌に当たって早めにお迎えが来てもいいと思っている。むしろ、世の中のためにも地球環境のためにも、おれたちは今日明日にでも居なくなった方がいいに決まっているんだ。