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自殺物件を競落してしまった栗頭先生

Q
栗頭先生は、玄関から入ることのできる家を探していました。
ある日、古い洋館が競売に出されているのを知りました。
この玄関ならば大丈夫です。
すぐに入札し、めでたく競落することができました。
喜び勇んで引越しすると、オボッチャマ君が来て言いました。
「このお家、素敵ですけど3年前に所有者が自殺していますよ。」
近所の人に聞いてみると、どうやら本当のことのようです。
そんなことは、本物件の物件明細書などの資料には書いていません。
栗頭先生は
「そんな大事なことを調査しなかった競売執行官は許せない!」
と損害賠償請求をしようとしています。
この請求は認められるでしょうか?

A.認められません。
執行官は通常行うべき調査方法を採っており、執行官が認識した事情からは、本件建物が事故物件であることの確認を行わなかったことに懈怠があったことは言えないので、執行官に注意義務違反は無い。
また、事故物件という事実があったかどうかについて、全て具体的に調査するのは、時間的・経済的に現実的ではないこと、競売物件の所在地は判明しているのであるから、入札を考える者自らが現地調査を行い得ることなどの事情を考慮すると、そもそも執行官が事故物件について積極的に調査すべき義務があるとは言えない。
としました。
なお、強制競売の場合、契約不適合責任を元所有者に追及することもできません。



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