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建物の完成はどのようにして判断するの?

久しぶりに登記のご依頼をいただきました。

新築アパート2棟の建物表題登記です。

建物表題登記というのは、建物を新築した時に申請する登記。

どのような形の、どれくらいの大きさの建物がどこにあるのか、という物理的現況を表す登記です。

「登記」というと、司法書士の仕事だと思っている方が多いのですが、このような物理的現況を表す登記は「表示に関する登記」と言い、土地家屋調査士という資格者の仕事になります。(今回の建物表題登記は、「表示に関する登記」の一つです)
一方で、誰がどのような権利を持っているか、については「権利に関する登記」と言い、司法書士の仕事になります。

同じ登記の仕事ですが、「司法書士」に比べて「土地家屋調査士」という資格は知られていないのが辛いところです、、(不動産鑑定士と混同されてしまうこともよくあります)

この建物表題登記を行うにあたってプレッシャーになるのは、アパートの引き渡しまでに登記を完了していないといけないということ。

この建物表題登記が完了していないと、そもそもの登記簿が存在しないので、その後の所有権保存登記、抵当権設定登記を行うことはできません。
(この二つは「権利に関する登記」です)
完了していないことには、決済自体ができないことになります。

なので、建物表題登記のご依頼を頂いたら、なるべくすぐに登記申請しなければならないのです。

とは言っても、建物自体が完成していなければ登記申請を行うことはできません。

では、何をもって建物が完成していると判断するのでしょうか?

それを判断するために①外気分断性②用途性③定着性④取引性⑤人貨滞留性といった要件があるのですが、実務上で建物が登記申請できる状態になっているかを判断するために重要なのは、①外気分断性と②用途性の二つです。

①外気分断性というのは、屋根、壁、窓などによって外界と建物内部が分けられていることを言います。まだサッシが入っていないようだと、外気分断性が認められないので、まだ建物表題登記申請はできないことになります。
②用途性というのは、その建物の用途に従った利用ができる状態になっていることを言います。これは、その建物の目的によって変わってきます。3階建のアパートなのに外階段ができていなければ3階建のアパートとしての用途には使えないことになりますし、アパートなのにトイレやキッチンがなければ、アパートの住戸としては使えないので、まだ建物表題登記申請をすることはできないことになります。
そのようなところを現地で確認して、法務局に提出する写真を撮影する訳です。

今回の場合、外構はまだ工事中でしたが、建物自体は大体できていたので、登記申請を行うにあたっては問題ありませんでした。(まだトイレなどの設備が設置されていない部屋もありましたが、そんな部屋は写真に撮らないのです)


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