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拝み屋見聞録 其の三 【失せ人探し~認知症のお年寄り~】

拝み屋見聞録 其の三 【失せ人探し~認知症のお年寄り~】
拝み屋稼業の家に生まれ、跡継いで早、20年。様々な業種の方・年齢層の方達の相談を受けてきた。人の悩み・疑問と云うモノは諺の通りに十人十色・千差万別である。

最近、相談者からお聞きした話・悩み・依頼内容を話していると周りが「面白い」「そんな事があるのか」と感心される。この際「面白い」「そんな事があるのか」と云われる位なら文章にしてみようと。
文章を記す前提として、営利を目的としていません。無論、個人を特定される文章なので(仮称)にしています。それ以外は直接本人より聞いた体験談または私の体験である。只々、書いたモノを誰かが読んで面白いと思っていただければ、それが私の何よりの感謝の極みである

拝み屋見聞録 其の三 【失せ人探し~認知症のお年寄り~】
この仕事は霊現象の相談を受けるばかりではなく、現実的な問題の相談をお聞きする。失せ人=失踪人を探すことを行う。探す方角、県内?県外?単独で居る?複数人で居る?極論、存命か?等である。
一人暮らしの父(Aさん)が居なくなって、地元の警察・消防団等が探したのだが見つからない。他の拝み屋さんに御祈祷依頼も行ったのだけど未だ
見つからない。と云うAさんの親戚から失せ人探しの御祈祷の依頼が
あった。失踪してから一週間は経過してなかったと記憶しているが・・・
うろ覚えだ。元々、認知症の診断を受けていたのだが何故か独居老人。
娘さんが様子を見に実家に帰ると、家はもぬけの殻であった。経験上、
認知症の失踪人の場合は殆どの人が明後日の方向に出かけていく。徒歩が
7割・車両3割くらいであろうか。車両で出かけていく場合は、ガソリンが
無くなるまで走行してガソリン切れを起こすと、そこから徒歩で歩き進める。そして精魂尽き果てるとその場に倒れる。現代風でいえば<徒歩厨>か?と思えるくらい歩く。考えるに認知症の方は「この先に我が家があると信じている!!」と頑なに信じて歩くのだろう。恐ろしい程の距離を歩く方が居た。かと思いきや自宅から数キロの場所で亡くなっている方もいた。
さて話を戻そう。御祈祷の結果、自宅から未申(南西)の方向で車で30分
以内の距離で山林の中と出た。それを電話で親戚の方に伝えた時に
「やはり、そうですか・・」と。聞くとウチも含めて三か所に失せ人探しを依頼したが三か所とも{未申(南西)の方向}と告げられたから「これは間違えないぞ!」となり近隣の有志と親戚で未申(南西)の方向を探したのだが結果見つからず、で捜索は終了したのであった。
見つかるパターンとしては、側溝・山林・河川が多かった。監視カメラで
足跡を割り出し発見するという事例が多い。車や歩いて捜索して発見される事例は少なかったように思える。道路の側溝みたいな細い所で何故亡くなるのか?と不思議だが実際は態勢が横向きでハマった状態で抜け出せなくなる。そして雨が降れば自分の体で側溝を塞ぎ、口と鼻が浸かって窒息して
しまう。特例として足を怪我して転んだ所が水田で農薬を散布した後で顔面が水田に浸かって中毒死という方もおられた。亡くなり方も諺の通りに十人十色・千差万別である。
この話には続きがある。結果見つからなかったのだが、数週間後Aさんの
親戚から“Aさんが見つかった”とのご連絡をいただいた。どうやってAさんが見つかったのかと聞くと、これだけ大勢の人間が探して見つからないのは
オカシイしどうしても諦められないので別の拝み屋に依頼したところ「家に帰って家の中に居る」と言われたのでもう一度、Aさん家の屋内を探して
みると家の中で亡くなっていた。どうも最初の捜索後にAさんは誰にも見つからない時間に帰宅してそのまま在宅していたのだが失踪して見つからない家に誰が立ち寄る事をするだろうか?若しかして帰っているかもしれないと思って家に誰かが立ち寄っていれば発見が・・と考えるが後の祭りだ。
無理ゲーという言葉は相応しくないと思うが今思い出しても「そんなん分かるか?二段構えで探すなんて・・」
Aさんの発見から数週間後、近隣の方たちと吞んでいた。とある方にAさん
失踪~発見までの件を話すと「アンタのお爺さんがこんな事を言うとったな<裏に返る>事があると。要は南西と思っていたのだがホントは真逆の北東の可能性がある」というケースがあると教えてくれました。考えるに、
Aさんは家の外に出て行った・南西→<裏に返る>→家の中に帰っていて・
北東、、、と考えないと今後はイケナイな。失せ人探しは命が、かかっている事が多い上に世間の評判も、かかっているのでこの件、以来<裏に返る>を基本に考え出した思い出の案件でした。

以前、この世界の大先輩に「失せ人探しをする際に若し、本人が<やっぱりあの家に帰りたい!家族に会いたい!>と思っていたら服でもモノでも見つかるが<絶対あの家には帰らない!家族なんか知るか!>と思っているなら見つからないし何も帰って来ない」と聞かされたのを憶えている。前回の投稿では、という事は、あの娘さんは、やっぱり家に帰りたかったんだろうなぁ。となったのだが自らの意思で帰宅された日にはねぇ~~、まぁやはり帰りたかったんだよねぇ
 

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