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『櫻の蕾が花開くまで。参』

アー写の撮影などを終え12月。

とあるスタジオに久々12人全員が集まった。

今日から12人全員でBANの完全版を作って行く。

まず初めに籤引きでのフォーメーション決め。

くじ引きの結果センターには璃花ちゃんが入った。

フォーメーションは5-4-3で

私は三列目の真ん中。

麗奈とゆーづの間が私のポジションになった。

未経験ながら合宿を乗り切った璃花ちゃんがセンターなのは私は凄く3期生を魅せる上で最高だと思った。

だけど、本人はやっぱり荷が重いみたい。

璃:大丈夫かな私で…

〇:大丈夫大丈夫!璃花ちゃんなら絶対出来るよ!

同班として活動した私達は
璃花ちゃんの努力を1番知っている。

私はひたすら声をかけて

美羽ちゃんはそっと抱き締めてあげていた。

田:また班別に分かれて一度ショート版の確認します。

全:はい。

田:で、そこでなんだけど。
 :〇〇ちゃんD版に入ってもらえる?

〇:わかりました!

田:で、向井さんは〇〇ちゃんの所だからC班ね。

純:わかりました。

〇:D班って…瞳月と…

優:私だよ!

〇:わぁ!びっくりした(笑)

瞳:〇〇ちゃんよろしくね。

優:〇〇ちゃん真ん中でいい?

〇:うん!大丈夫だよ!

班の組み替えが終わり其々ダンスの確認。

純葉のダンスには驚いた。

合宿に参加できてなかったとは思えないくらい

純:〇〇〜褒められたよ!

〇:純葉めちゃくちゃ上手かったよ!
 :凄く良かった!

純:〇〇達のおかげだよ。ありがと。

それからすぐ振り入れが始まった。

たった2日。

短いように感じるけど本来はもっと短いんだと思う。

みんなでやるダンスはやっぱり楽しい。

ただ音に乗り過ぎて周りが見えなくなってしまってはみんなでやるダンスとしては崩壊してしまう。

そこは常に頭の中に置いておく必要があった。

実際、BANの振りのユニゾンの部分はバラバラだし

もっともっと作品として
詰めていかないといけないところはたくさんある。

自主練を熱心に取り組む姿勢は褒めて貰えても

どうやら全体で合わせる事が私達は遅れてるらしい。

そこで先生達は私たちの中で
ダンスリーダーをつけることを薦めてきた。

的:どうしようか…

やはり急に決めろと言われても中々決まらない。

皆、どうやってやるのかの方針をパッと決めれる人がいいねという結論には至ったが結局誰にするかまでは決めることができなかった。

〇:ダンスリーダーかぁ〜。
 :瞳月がやれば??

瞳:え?わたし?〇〇の方がいいんじゃない?

〇:えぇ…私じゃちょっと役不足というか…

瞳:そんな事ないよ。〇〇ちゃんよく周り見てるし

〇:うーん。そうかなぁ。

瞳:私的には〇〇ちゃんかなぎかな。

〇:確かに。凪紗ちゃんが適任かも。

誰と決まったわけではなかったが話し合いの中でも、
凪紗ちゃんになりそうな雰囲気が漂っていた。

そしてそんな今日はとても大きなイベントがある。

私達、3期生が櫻坂に加入し初めて

先輩方と顔を合わせる日なのである。

純:やばいやばい。緊張するよ…

〇:コレから一緒にやっていく先輩方なんだから
 :ほらシャキッとして!

凪:〇〇ちゃんゼッケン裏と表逆じゃない?

〇:あれ???

的:〇〇も緊張してるじゃん。

〇:てへ♪

部屋に入ると一列に先輩方が並んでいた。

一人一人自己紹介をしていく。

〇(美羽ちゃん凄い泣いてる。)
 (やっぱり皆、大好きなんだなぁ櫻坂が。)

勿論、私だって大好きだ。

推しメンはもう卒業しちゃったけど…

それでも櫻坂のパフォーマンスに魅了されて

私だって夢を追ってここに来たのだから。

マ:じゃあ次〇〇。

〇:はい!
 :京都府出身、15歳高校生の〇〇〇〇です!
 :私も大好きな櫻坂に入ることができて
 :ほんとに嬉しいです!
 :大好きな先輩方と大好きなダンスをできる日が
 :ほんとにほんとに待ち遠しいです!
 :これから、よろしくお願いします!!!

無事噛むことなく全て言い切れた。一安心。

挨拶も終え翌日。

発表前最後のレッスン。

なんとTAKAHIRO先生が直接見に来てくださった。

TAKAHIRO先生の前でパフォーマンスをするのは
やっぱりいつもより緊張感が増すように感じる。

1度、通しを見て先生からアドバイスを頂いた。

やはり歌がどしても聴こえないらしい。

ステージの上では
辛くなってる子を必死に引っ張り上げてあげること。

ステージ上では
今できるベストを常に出すこと。

TAKAHIRO先生のアドバイスはやはり的確で
私たちの背中をドーンと力強く押す力があった。

T:〇〇。

〇:はい?

T:3期生のダンスリーダーは君になったんだろう?

〇:はい。

なんだかんだあってダンスリーダーは私になった。

私はダンスの部分だけで、
いつも引っ張ってくれるのは凪紗ちゃんなのだが。

T:君が全てを背負う必要はないんだからね。
 :今日の君は自分より他人になってるかなと感じた。
 :合宿の日も君に言ったとおもうんだけど
 :凄く周りの雰囲気を感じ取るのが
 :上手い子なのはわかる。
 :ただ、周りに呑まれたり
 :それで自分が疎かになっちゃ本末転倒だよ。

〇:はい。わかりました。

T:櫻坂では最年少かもしれないけど
 :自分の持っている力を出すのに
 :年齢なんて関係ないから
 :合宿の時みたいに皆をダンスで引っ張って
 :〇〇はそれを出来る力を持っているから。

ダンスリーダーになってから皆にアドバイスできるように周りを見るようになった。自主練中もダンス中も。

周りを見ることで格段と合わせるのは上手くなる一方。

自分の踊りが細部に拘れなくなった事は気付いていた。

先生には勿論お見通しだったようで。

手厳しいことを言われてしまった。

だが、コレは私への期待の裏返しに違いない。

期待されたんだから答えない選択肢は当然ない。

まず、最高のBANを見せつける。

その事に集中できるようになった気がした。

そして発表本番。

凪紗ちゃんが皆さんに一言。

凪:12人で出来る最高のパフォーマンスをお見せします。

凪紗ちゃんの一言を合図に曲が始まる。

一発勝負。出せるものを全力で。

ユニゾンをする所や移動が激しい所。

全てのシーンで過去一のパフォーマンスだった。

歌は裏返ったりまだまだな所はあったろうけど…

踊り終わりの璃花ちゃんの表情を見れば
成功したのは間違いないと私は思った。

5分無い程度のパフォーマンス。

このパフォーマンスのために3ヶ月全力で。

アイドルって凄く大変な仕事なんだと痛感した。

ただ、今日のパフォーマンスは
TAKAHIRO先生や川村先生、田中先生達に私たちがステージに立ってる姿は想像させることができたと私は思う。

パフォーマンスが終わり次の目標を伝えられた。

次のシングルまでに3期楽曲を作り上げる。

また次の目標ができた。
また皆で、走り出せる事は幸せだ。

"私達、櫻坂46三期生です"


これから私たちは魅せる私達を作っていく。

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