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『櫻の蕾が花開くまで。伍』

初めてのそこさく撮影が終わりすぐ。

3期生のおもてなし会に向け練習が始まった。

初のお客さんの前でのイベント。

準備が色々あり覚えることも大量。

正直かなり疲れの色が見え隠れしている現実がある。

そんな中で、今日もレッスン。

なので、いつも通りスタジオへ向かう。

ドアを開けて部屋に入ると真っ先に
なんか凄い顔した美羽が見えた。

〇:美羽おはよー。

村:〇〇おはよ。

〇:で…コレはなに??

村:さぁ…

中:で〜き〜な〜い〜。

的:やるだに。

愛:だいじょうぶ、でちてるよ〜。

中:もうつたれた。
 :ゆつたんにはむずかしい〜。

向:おねんねこさんする??

〇:スタジオがカオスなんですけども……

村:私が来た時にはもう既に。こう。

〇:またやってんの…(笑)

なんか最近変な言語が流行っている。

主にゆーづ、璃花、愛季、美青、純葉なんだけど。

どうやらゆぴ語と言う言語らしい。

疲れ切ったゆーづ達が壊れた姿である。

巻き込まれたら火傷する気がするので
なるべく火の粉の飛ばない所でそれをいつも眺める。

レッスンが始まるまでまだ少し時間があるようなので
ゆぴ語族を横目に美羽と雑談をすることにした。

〇:ねぇ、私さ。茶髪にしたいんだよね。

村:茶髪?似合うと思うけど。
 :急にどうしたの。

〇:いや、最近ダンス覚えるのに
 :グループの昔のライブ映像とか見てて
 :茶髪ポニテ可愛いなぁって。

村:ふーん。なるほどね。
 :いいんじゃない?聞いてみれば?

〇:勝手にやったら怒られるかな?(笑)

村:茶髪くらいなら怒られなさそうだけど。
 :一応聞いておく方がアレかも。

〇:やっぱりそうだよねぇ。

村:そういえば、〇〇はおもてなし会どーするの?

〇:自己紹介の時間のやつ?

村:そうそう。

〇:まぁ私はいつも通りバク転かなぁ。
 :映えるし簡単だし。
 :璃花は料理って言ってた記憶。

村:何作るんだろね。

〇:璃花料理上手だしなんでも出来そうじゃん?

村:確かに。今度なんか作ってもらお。

〇:いいね〜。私も着いていこーっと。

おもてなし会は本来ならもう少し早い時期にある。

私達は優ちゃんと瞳月の発表が学業の関係で
少し遅れたので3月の頭になっている。

おもてなし会はMCパートとライブパートに分かれていてライブパートでは全部で7曲を披露する。

優ちゃんがセンターのNobody's fault
瞳月がセンターの五月雨よ
ゆーづがセンターのBuddies
愛李がセンターの私達の曲、夏の近道
散々練習した璃花がセンターのBAN
凪沙がセンターの櫻坂の詩
そして最後にもう一度夏の近道。

BANは動きもほぼ完璧。

夏の近道もまぁミスはないだろう。

問題は他の曲たち。

歌いながら踊りながら移動しながら

一気に5曲全て覚えなければいけない。

踊りだけなら正直、私にとっては簡単だったけど

歌と移動が重なるとそうはいかない…

慣れていないことでかなり疲労感はある。

それがあの民族を呼び寄せている…(笑)

瞳:〇〇、ココなんだけどさ。

〇:んー…そこはね…こっちからの方が……

凪沙と私。
そして結局優もダンスリーダーをやる事に。

瞳月も勿論上手いし、美羽だって上手い。

愛李だってセンター張るだけはある。

パフォーマンスはどんどんと洗礼されていっているのだろうと鏡に映る私たちを見て感じている。

ライブパートは私は心配していない。

MCパートの特技披露も心配していない。

私が心配しているのは……

私服ファッションショーである。

なんだ私服ファッションショーって!

嫌すぎる。私はあまりお洋服に興味がない。

前世から興味がないのだからもうかれこれ

30年近く興味を持ってきていないのだ。

なのに!

いきなり私服でファッションショーだと言われれば

そりゃーこーもなる。

ここ数日、レッスンの隙間時間や移動中

ずーっと私はスマホで服を見ている。

小:〇〇、また服見てるの?

〇:まだ決まってないんだってば…
 :うーん…どーしよぅ……

小:お洋服貸してあげようか?

〇:いや…麗奈の服は…柄じゃないと言うか…

麗奈の服はTheお嬢様。
ほぼ服装がピーチ姫である。

村:私の服も貸すって言ってるのに断るんだよ。

〇:いや、美羽の服は丈が合わないの!!
 :13cm違うんだよ!!全部ぶかぶかになるでしょ!

小:〇〇って誰と背丈同じくらいなの?

〇:えーっと…155だから…
 :優とか理子とかかな?

小:じゃあ2人にも聞いてみよう!

レッスンが終わるとここ最近はいつもこうなる。

私の衣装決め討論会。

とは名ばかりの皆が私に着せたい服プレゼン大会。

純:そもそも〇〇って普段どーゆ服着るん?

瞳:〇〇はストリート系が多いんちゃう。

〇:確かに…スカートとか制服くらいかも。

村:じゃあそっち系でいけば?

〇:なんか…アイドルっぽい方がいいかなって…

村:普段の〇〇を見せればいいと思うけど。

優:そうそう!
 :でも〇〇ちゃんのガーリー系も見てみたいなぁ

麗:璃花みたいな服も絶対似合うと思う!

璃:今度何か貸してあげるよ。

凪:〇〇って順番的には…純葉の後ろ??

〇:えーっと…多分純葉と優の間。

理:りーの服何か着てみる?

村:理子とは背丈も同じくらいだしありじゃない?

〇:物は試しかなぁ…

まぁこんな感じでいつも服に付いて話し合っている。

結局私はいつも通りの服を着る事に。

アイドルっぽさは正直あまり無いが…

せっかくの機会だし自分をアピールする事に。

ただいつも通りの中に何か一つだけと言う事で

みんなと話し合った末、スカートを合わせる事に

1日目は麗奈が着てそうな白のワンピースに
濃緑のゲームシャツを合わせるスタイルに決定。

2日目は黒のスカートに黒のシャツ。
ニーソとスニーカーで足元を固める事に。

日はどんどんを進んでいき

あっという間におもてなし会の当日。

〇:ファンサする側か……

的:〇〇〜。

〇:美青〜。ファンサどーしよ…

的:私は弓ポーズ?しようかなぁ思ってるけど

〇:うわ…いいなぁそれ。名前ともかかってるし…
 :私そんなん無いねんなぁ……

純:2人とも準備おっけー?

〇:純葉〜ポーズ決まらないよぉ…

純:ランウェイ立つと1人だしね…

〇:そうだよ!やばい緊張する…

的:その前の特技披露も全然緊張してるよ。

純:ほんとにそれ。

〇:2人とも絵だったよね??

的:私はね…じゃーん!

〇:いや…すご…

純:私はね…これを完成させればOKかな

〇:こ、これもすごい……

的:〇〇はいつも通りのアクロバット?

〇:まぁ…私にはこれしか無いから(笑)

的:バク転とかだよね?

〇:うん!それとウィンドミルをやろうかなって。

純:なにそれ?

〇:うーんとね…クルクル回るやつ…?(笑)

的:なんかすごそう…

〇:私はLockとかが専門だから
 :ダンス経験者ならある程度みんな出来るけど

瞳:やっぱり専門はちょっとキレが違うよね。

〇:わぁ!びっくりしたぁ!

イベントの開始時間はもうすぐそこまで来ていた。

イベントが始まれば
2分ずつの特技披露、ダンストラック

そしてクイズ大会。

私服ファッションショー

そしてライブパート。

時は一瞬にして過ぎていった。

ライブ終わり、TAKAHIRO先生の言葉を思い出した。

『お客さんの記憶に残るパフォーマンス。』

私達はできたのかな…?

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