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『櫻の蕾が花開くまで。壱』

メンバー入りへ向け3期生の合宿が始まる。

皆まだ話した事もなくバスの中は静寂に包まれていた

〇:4泊5日か…長いようで短いのかな…

そんな中、私は1人ずっとBANの振りVを見続けていた

研修期間必死にやったサビ部分の振り

何度見ても難しいダンスだと思う。

前世の私が踊ってギリギリ踊れるかどうか…
一応ダンス歴合計25年の私から見て兎に角曲が早い。

未経験者も半数いるこのメンバーで初めて合わせる曲にしては明らかに難易度が高めに設定されている。

焦る気持ちが集中力をガンガンに使っていく。

車の中でスマホ画面をそんなに集中してみるともちろん車酔いをしてしまい…少し寝る事にした。

?:〇〇ちゃん、着いたよ。起きて?

どうやら少し寝るつもりが完全に寝てしまったらしい。

目が覚めるとそこには谷口愛李ちゃんが居た。

〇:はっ!ごめんなさい。ありがとうございます。

谷:気にせんでせわないよ。ほら、うちらも降りよう

谷口愛李ちゃんは私の一つ上の山口出身の子で研修期間からめちゃくちゃしっかりした子だなと感じている。

そういえば、どうも私は3期生で年少組のようで、
メンバーは私、的野美青ちゃん、向井純葉ちゃんの3人。

一先ず宿舎の方へご挨拶をし

食堂にまず集められ偉い人のお話を聞く。

そこで私達は誰1人
パフォーマンスできるレベルにいない事を言われた。

分かってはいるがやっぱり面と
向かって言われると少し悔しい気持ちがある。

マ:じゃあ皆、レッスン着に着替えて体育館に集合ね。

全:わかりました。

部屋に荷物を置き着替えて体育館へ向かう。

〇:あれ…私が1番か…

 :ストレッチでもしてよっかな…

 :あ、今日身体軽いかも。

久々こんなに広い場所でダンスレッスンが出来る。

気分の高揚がすごい。

〇:もう一回だけ確認確認…

みんなが揃って直ぐ、ダンスの先生方がやってきた。

川村茜先生と田中麻衣先生。

いの一番に言われたことは挨拶が小さいこと。

次に今回の課題曲とゴールの説明。

課題曲はBAN

最終日にTAKAHIRO先生にパフォーマンスを見せること

それまでにお客さんの前で発表できるレベルまで仕上げること。

少し振り入れ確認をした後に
サビを通しで先生たちに披露する。

〇(そりゃバラバラだよね。)

踊った雑感は一つ。
皆、踊れてるけど踊れてるだけ。

先生達は止まらず踊り切ったことを褒めて下さった。

だがその後、練習した?と言う問いかけに
誰も自信を持って返事ができなかった。

もちろん、私も。

その後は幾つかのアドバイスを貰い食堂へ戻った。

村山美羽ちゃんと谷口愛李ちゃんは
ドキュメンタリーのコメント撮影をし

それ以外のメンバーは少しの自由時間を頂いた。

〇:もーちょっとだけ…

山:〇〇ちゃん。

〇:はい!

山:あ、瞳月だよ。

〇:あ、何だ瞳月ちゃんか。(笑)

この子は山下瞳月ちゃん。

私と同じ京都府出身の子でオーディションの時からよく一緒になりよく話していた。今1番のお友達である。

因みに瞳月ちゃんはダンスのバチバチのエリートで

今日の踊りを見ても明らかに1人だけレベルが違う。

私も負けない!と言う気持ちはあるが…
現実は負けているだろう。でも、専門なら負けない!

そんな負けず嫌いを発揮していると瞳月ちゃんが

山:〇〇ちゃん、ここの振りなんだけど…

どうやら振りの確認をしに来たらしい。

〇:私はこっちの方がやり易いんだけど…
 :あんまり勝手にいじっちゃダメかなと思って。

山:やっぱりそうだよね…
 :また明日、先生に確認してみようかな〜。

〇:うん。それが良いと思う!

瞳月ちゃんと雑談しているとTVで先輩を見ようと言う話になりメンバーみんなで見る事にした。

〇:凄いなぁ……

何度見ても先輩方のパフォーマンスには圧倒される。
いつか私もこのステージに上がりたい。

そんな気持ちは日に日に膨れ上がって行った。

翌朝。

山:〇〇ちゃん、起きて!ラジオ体操いくよ!

〇:んにゅ…はぁい…

眠い目を擦りながらラジオ体操へ向かい

そのまま朝のレッスンへ移った。

今日からA,B,C,D班に分かれてレッスンを行うらしい

A班:小田倉麗奈ちゃん小島凪紗ちゃん的野美青ちゃん
B班:遠藤理子ちゃん谷口愛李ちゃん中嶋優月ちゃん
C班:石森璃花ちゃん村山美羽ちゃんと私。
D班:瞳月ちゃんと村井優ちゃん。

向井純葉ちゃんは体調不良で欠席。

そして今日のレッスンの説明を受ける。

"3時間でshortバージョンの振り入れ"

どうやらコレがグループのスタンダードらしい。

多少強引にでも振り入れをするのが普通らしいが

当然未経験者には酷な事だなと思った。

〇(石森さん大丈夫かな…?)

同じグループの石森さんはダンス未経験なので
振り覚えにかなり苦戦している様子だった。

他にも遠藤理子ちゃんや小田倉麗奈ちゃん

やっぱりダンス未経験者にはハードルが高すぎる。

〇:アレ?ここ左だっけ…右だっけ……

経験者でもハード過ぎるくらいなレベルである。

結局3時間ではイントロ部分で全体としては精一杯。

午前中の練習はここまでで一度昼食休憩を取る事に…

〇(泣いてる子もいる。)
 (知らなかった…私、周り見えてなかったんだなぁ。)

ご飯を食べ終わりレッスン再開まで少し休憩。

私は特にやる事もなかったのでレッスン室へ向かった。

〇:一回気分転換しようかな…

体育館にはまだ私1人しか居なかった。

イヤホンを付けて1人好きな曲を気分転換に踊る。

床と靴が擦れる音が響き渡る。とてもソレが心地いい。

山:やっぱり〇〇ちゃん上手やね。

〇:わぁ!びっくりした!!

山:ごめんごめん。ずっとダンスやってたの?

〇:うん。5歳くらいからずっとダンスだけ。

山:そうなんや。

〇:でも瞳月ちゃんは△△学院でしょ?名門じゃん。

山:まぁ…ちょっとは強豪かなぁ。
 :〇〇ちゃんは?それだけ上手いなら高校では?

〇:一応やってたよ。ストリートに憧れたから。

山:あー。じゃあ⭐︎⭐︎でしょ。

〇:そう!正解!(笑)

地元が一緒なだけあってやっぱり会話は12人の中で1番盛り上がる。そんなこんなしている間に午後の練習が始まった。

レッスンの最後にはイントロ部分を一先ず発表。

そこで一人一人にコメントをして貰った。

川:〇〇ちゃんは多分もう
 :振りが入ってるんだなってのは伝わってきてる。
 :だからこそもっと細部にこだわらなきゃ。OK?

〇:はい。

レッスンが終わり、私は1人でイントロまでは覚えれたので1Aからの映像を夜ぼーっと確認していた。

村:〇〇ちゃん。

〇:あ、美羽ちゃん。どうかした??

村:あのね、発表までそんなに日もないから
 :3人で練習しないかなと思って。

〇:あ、もちろん!やろうやろう!

石:2人ともごめんね。

〇:ふぇ?

村:??

石:私、最年長なのに2人の足引っ張ってて…

〇:いやいや!そんな事ないよ!
 :ちょっと要求のハードル高いし…
 :私だって全然もうギリギリもギリギリだよ…(笑)

村:大丈夫だから、ちょっとづつ練習しよう。

C班は私と美羽ちゃんがダンス経験者で

璃花ちゃんだけが未経験者のグループだった。

そりゃ、置いていかれてるようにも感じるだろう。

そんな事思わなくなっていいのに。

コレからみんなでやって行くんだから支え合えばいい。

自主練中とある子からLINEが来た。

〇:あ、純葉からだ。
 :あれ?さっき送ったはず…

石:どうしたの?

〇:純葉にメモを送ったはずなんだけど…

村:送り直せばいいんじゃない?

〇:今手元になくて…

石:はい、私のノートで良ければ。

〇:ありがとう!すぐ純葉に送る!!

村:いつも動画送ってるの?

〇:あ、うん!お互いに送り合って確認してるよ!
 :純葉は来れなくて焦ってるだろうけど…
 :みんなで支えれば大丈夫だよ!って思って。

村:じゃあ今日は3人で踊ってるの送ろうよ。

石:え!璃花にはちょっとハードルが…

〇:大丈夫大丈夫!
 :みんなで踊った方が楽しいんだよ!
 :ダンスって楽しいものだから!楽しもう♪

最後に3人で踊った動画を純葉に送って自主練終了。

📱純:ありがとう〇〇。

📱〇:全然。体調は大丈夫?

📱純:うん、もう元気になったよ。

📱〇:まぁ無理しないようにね。

📱純:ありがとう。

📱〇:あ、明日は美青がノート送るから。

📱純:了解!明日からボイトレ始まるんでしょ?

📱〇:うん…ダンスは自信あるけど歌がヤバいよ…

📱純:大丈夫大丈夫。
   いつも〇〇が言ってるじゃん。楽しまなきゃ。

📱〇:そうだね。明日からも楽しむぞ〜♪

📱純:お〜。

純葉に励まされ2日目も無事終了。

気がつけば後、たった2日。
1日が光の速さで終わって行くように感じた。

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