『2周目だから好きな事を好きなだけ。玖話』
設:どん!
:始まりました、乃木坂工事中!
:司会のバナナマンです。
日,設:よろしくおねがいしまーす!
設:そして乃木坂ちゃんでーす。
遂にこの日がやってきた。
【乃木坂工事中 3期生プレゼン】
TMCに入り、楽屋入りをして衣装に着替える。
最後にメイクと着替えが終わった私が楽屋に戻ると
竹刀を持って剣道着の桃子が震えていた。
桃:テレビなんて初めてだよ…無理…怖い…
吉:大丈夫だよ。ナデナデ
流石あやてぃー、最年長なだけあって落ち着いている。
桃子の隣、室内なのに雪が積もっていた。
と思ったが勿論違った。そこにいたのは史緒里だった。
史緒里は大事そうにトロンボーンを抱えている。
部屋に入るとすぐ蓮加が飛びついてきた。
理由はおそらくあれだろう…
蓮:〇〇、久しぶり!膝…大丈夫?
:ってあれ?!髪の毛切ったよね?!
:凄い似合ってるけど…結構バッサリいったんだね。
そりゃそうだ。
久々に会った友達が
胸下まであった髪をショートボブにしてきたのだから
〇:蓮加、おはよう。
:えーっと…変じゃないかな…?
蓮:うん!似合ってるよ!
:橋本さんみたい!
〇:え、わかっちゃった?
蓮:やっぱり!
:すごく似合ってる!
そう、時はもっと遡ってプリンシパル3日目。
私があの日、奈々未さんに相談した事は…
【髪をショートカットにする事。】
奈々未さんが卒業してからの工事中で
『ななみんがいる。』
こんな風にファンの方に思って欲しかった。
勿論この通りに奈々未さんに相談したわけじゃない。
でも多分奈々未さんは気がついていたと思う。
それでも「いいんじゃない?」っていってくれた。
2週目の人生初めてのショートカット
鏡に自分が映るたびに髪の毛を気にしてしまう。
マ:蓮加〜。ギター練習しなくてもいいの〜?
遠くからマネさんの声が響いた。
蓮:します!
マ:じゃあ葉月も連れてきて〜。
蓮:葉月〜。ギターのリハしに行こ〜。
:じゃあね〇〇!また後でね。
〇:うん、ばいばい。
今、側から見れば落ち着いて見えてるのかな。
因みに全然、心臓口から出そうなんですけど。
〇:曲…確認するか…
私はカバンからイヤホンを取り出しスマホに繋げる。
そしてプレイリストの中から今日歌う曲をかける。
♫カーテンの裾のあたり〜……♫
〇:いつ聞いても落ち着くなぁ…
:私もこんな風に歌いたいなぁ…
:なぜ人は誰も 目の前にある…♫
:私ないものねだりしたくない〜。♫
気分が上がり、口ずさんでいると
飛:それ歌うの?
隣に飛鳥さんが座っていた。
〇:飛鳥さん?!
飛:なんでそんなにびっくりするのよ。
〇:いや、まさかこっちの楽屋にいらっしゃるとは…
飛:葉月ちゃんがギター練習行っちゃったから。
:入れ違いになっちゃったんだよ。
〇:あ…そうなんですね。
:…………
飛:歌、上手いじゃん。自信持ちな。
〇:あ、ありがとうございます。
飛:あと…髪型、似合ってる。
:じゃあね。
〇:お、お疲れ様です!
それを言うと飛鳥さんはすぐに楽屋に戻って行った。
秋:飛鳥、素直じゃないねぇ。
飛:なによ真夏。
秋:ううーん。なにもありませ〜ん。
飛:はぁ…ほら、早くリハいくよ。
秋:はーい。
また楽屋の隅で一人になった私。
とりあえず台本を読むことにした。
〇:私は…13番目…一番最後か。
すると横に珠美がやってきた。
珠:〇〇、これ食べる?
〇:あ、ありがと。一つもらうね。
珠美がクッキーを持ってきてくれた。
恐らく差し入れでいただいたものだろう。
〇:あむっ…ん…ん…!
:これ美味しい…!
珠:だよね〜。わかる〜。
:でも珍しくない?
:クッキー好きだったっけ?〇〇。
〇:いや、特別好きってわけじゃないけど。
:これすごく美味しいもん!高いのかな…?
珠:わかんなーい。でも包装が高そうだよね〜。
こんな他愛もない会話をしていると
気がつけば撮影の時間になっていた。
こうして私たち3期生初めての工事中収録が始まった。
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