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謎の豪族、葛城氏とは?五世紀に権力を握っていた一族を紹介

皆さんは、葛城氏かつらぎしという謎の一族をご存知だろうか?

葛城氏とは、5世紀に強大な権力を握り、5世紀末には忽然と姿を消した一族である。

葛城氏の詳細を、簡潔に紹介していこうと思う。

葛城氏とは

葛城氏とは、5世紀の日本で天皇と並ぶほどの権力を握っていた一族である。

本拠地は、現在の奈良県葛城市、御所市、香芝市、北葛城郡の一帯である。

葛城氏の権力の源は、外交による渡来人との繋がり、各氏族の連携による水運だと言える。

葛城氏の女性を天皇に嫁がせ、天皇家と繋がりを持つことで、ヤマト王権内での権力も手に入れていた。

葛城氏の始祖は、葛城襲津彦そつひこであり、大臣という最高の官職に就いていた。

その父は、様々な豪族の始祖である武内宿禰たけのうちのすくねと文献に記されているが、実際の親子ではないと言われている。

しかし、5世紀末には滅亡しており、詳細は謎に包まれている。

理由の1つとしては、天皇側が力を持ちすぎた葛城氏を恐れ、意図的に滅ぼしたと思われる。

当時のヤマト王権は不安定な組織であり、各豪族が独自で力を持っていた。

朝廷側が力を掌握することを望み、葛城氏が滅んだとも考えられる。

葛城氏はそれだけ力のある集団だったということである。

葛城氏の系図


引用:ボランタリーライフ.jp_シニア文化塾だより

葛城氏は、5世紀で最も多くの女性を皇族に嫁がせており、系図を見てもハッキリとわかる。

15代から25代の天皇のうち、安康天皇と武烈天皇を除く9人もが、葛城氏の女性を母や妃としている。

安康天皇は暗殺され、武烈天皇は、代々受け継がれてきた天皇の系統を繋げることができなかった。

これは、葛城氏なくして地位を保つことは難しかったと見える。

葛城氏と渡来人

葛城氏は、朝鮮半島の渡来人と強い繋がりがあった。

葛城氏は対外交渉を掌握しているので、それだけ渡来人と親密な関係になっていたはずである。

技術者を日本に連れて帰り、異国の先進的な技術や知識を優先的に保有していた。

渡来人による氏族で代表的なのは秦氏はたしである。

秦氏は葛城氏の本拠地に住み、技術を発揮して栄えた渡来系氏族である。

奈良県御所市には大量の遺跡があり、総称して南郷遺跡群と呼ばれている。

渡来人との繋がりを示すものが多数発見されており、その1つが金属工房があった南郷角田遺跡である。

鍛治による鉄の残りカス、甲冑の一部などが見つかり、鉄製の武器や武具、工具類が作られていたと考えられる。

金、銀なども出てきたが、その時代の日本ではまだ産出されていないので、渡来人を通して輸入していた。

工房での技術、素材を含めて渡来人の技術である。

鹿の角の砕片が多く見つかっており、刀剣を飾る際に使用していたと思われる。

破片が大量にあったということは、それだけ大量に刀剣を製作しており、葛城氏の力の大きさを表している。

このように、葛城氏と渡来人の関係は親密だったといえる。

葛城氏と古墳

宮山古墳という、始祖の葛城襲津彦の墓と推定されている古墳がある。

奈良県御所市室にあり、五世紀初め頃に造られた前方後円墳である。

御所市は葛城氏の本拠地内であり、時期や大きさも含めて早い段階で襲津彦の古墳だと言われていた。

銅鏡、勾玉、甲冑の破片、鉄剣など、多くの副葬品が発見されたところ、相当の権力者だったと言える。

1998年9月に、台風で古墳上の木が倒れ、その根穴から朝鮮半島南部の船形土器や容器が見つかった。

偶然にも渡来人との繋がりを示す物が発見できた。

宮山古墳は葛城氏と関係のある古墳と考えられる。

葛城氏の末裔

葛城氏が衰退した後、末裔で目立った存在はほとんどいない。

6世紀に起きた蘇我氏と物部氏の争いで、葛城鳥那羅おならという者が文献に載っている程度である。

葛城あたい、葛城直難波あたいなにわなど、別系統の葛城氏は何人か存在する。

6世紀以降はほとんど姿を見せなくなった。

だが、あれだけの権力を持っていた集団が、文献に少ししか記述されてないのは不自然である。

葛城に関わる集団が伝承を引き継ぎ、後の日本書紀などに記載したと言われている。

その集団こそが、飛鳥時代に権力を握っていた蘇我氏である。

蘇我氏は元々葛城氏の一員であり、衰退後に引き継いだ集団が蘇我氏となったとされている。

まとめ

・葛城氏とは、5世紀の日本で天皇と並ぶほどの権力を握っていた一族である

・5世紀で最も多くの女性を皇族に嫁がせており、9人もの天皇が葛城氏の女性を母や妃としている

・対外交渉を掌握や南郷遺跡群の痕跡を見るに、渡来人と深い繋がりがあった

・宮山古墳という、始祖の葛城襲津彦の墓と推定されている古墳がある

・葛城氏が衰退した後、末裔で目立った存在はほとんどいない

・葛城氏の権力を引き継いだのが蘇我氏と言われている

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