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モアイ像をめぐる謎

東京に来たばかりのころ、「待ち合わせ場所は、ハチ公前は混むからモヤイ像前にしない?」と言われ、もちろん何を言っているのかさっぱりわからなかったので、全力でハチ公前にしてもらいました。

今でも、待ち合わせ場所は渋谷ならハチ公前、新宿ならアルタ前にしてもらっている田舎者です。


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モアイ像は、イースター島にある謎の建造物です。

モアイ像自体は岩でできているのですが、建造し運ぶために、木材が必要とされています。

しかし、1700年代に西洋人がイースター島を発見したときには木材を切り出す森林がなかったため、別の方法で建造・運搬していたと想像されました。これが超古代文明説の起源です。現代科学では想像できない超技術が存在していた筈である、という説です。

これはこれで大変excitingな説なのですが、その後の地質調査などの研究で、モアイ像建設当時にはちゃんと森林があったことが確認され、現在では超古代文明説は否定されています。

問題は、過去は存在していた森林が、なぜなくなったのか、です。また、森林がなくなったのと軌を一にして、人口が激減し、1800年代後半には絶滅寸前(人口111人)になりました。その謎も知りたいです。

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現在考えられている説は以下の通りです。

・かつて島民は木材を燃料やカヌーや家屋といったインフラに使い、耕地を広げるためにも森を切り開いていった。

・部族の権威を高めるために祭祀に使うモアイを盛んに立てたことも森林の減少に拍車をかけることになった。

・森林の減少によって、肥えた土が海に流出し、土地が痩せ衰えて深刻な食糧不足に陥り、耕作地域や漁場を巡って部族間に武力闘争が生じた。

・その結果、さらに部族の権威を高めるためにますます競って像を立て、森林も狭まるという悪循環に陥っていった。

・周囲から孤立した人口1万人の小さな島に1,000体もの像が乱立した結果、最終的に森林が消滅し、人口も激減した。

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各部族が互いに争い、競ってモアイ像を立てたことが、さらに森林破壊につながり、さらに部族間の争いが加速した、という悪循環ストーリーになっています。個別最適(自部族の勝利)を優先したがゆえに、全体最適(森林維持)を失ったという事例です。

「あほか」「どこかで気づけや」という話です。

しかし、我々現代人も、中世イースター島民を笑えません。

我々も個別最適を優先した結果、全体最適を失うことはよくあります。私は大企業の不正に関する第三者委員会報告書を読むのが趣味なのですが、いずれのケースも、社員が自部門の利益最大化(目先の不正の糊塗)を優先した結果、会社全体の信頼を失墜させるという結果に終わっています。

ひょっとすると、現代社会における気候変動問題も同様かもしれません。各企業・各国が自社・自国を優先するがゆえに、地球全体の全体最適を失っているように思います。

グレタ氏が怒っているのは、個別最適を優先する、大人社会の合成の誤謬そのものなんだと思います。グレタ氏が、そんな汚い大人社会を見て、ぐれたくなるのもわかります。

※モアイ像の説については、wikipediaの記事を参照しました。

※写真は宮崎「サンメッセ日南」のモアイ像です。イースター島のものではありません。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。