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急なお別れに父を思う

先日、お客様から訃報を聞きました。
お客様の奥様が急に倒れて帰らぬ人となったそうです。
仕事も定年から再雇用、求められての仕事でお給料にも不自由なく充実されていて、次の月には高級旅館の予約を取っていたそうです。

ずっと忙しく働き
お子様たちも家庭を持ち
これからゆっくりと2人の時間を過ごそうと言うその矢先のこと。
家事は専業の奥様に全部お任せしていたから、
例えばクイックルワイパーの替えのペーパーはどこにあるのか
なんて小さなことも分からず
手伝いに来ていた娘さんにいろんなことを教えてもらったそう。


問わず語りを聞いているうちに
気持ちがふるふるとしてきました。
これ、17年前の父の姿だ、と。

わたしの実母も突然倒れ、くも膜下で意識の戻らないまま1週間後に帰らぬ人となりました。
それまで言い争いくらいはしていても
朝から晩までさらに休みの日も一緒にスーパーへ行くなど、理容店を営む夫婦として長年連れ添った両親でした。

その頃はすでに私も妹も嫁ぎ、
残されたのは父と祖母(父の母親)。
掃除洗濯は理容師だから慣れてはいても、
慣れない台所仕事は大変な負担だったと思います。
それに認知の入った祖母と暮らすわけですから、
64歳の父にはどんな毎日だったでしょう。

当時は
大変だろうなぁということは思っていても
このお客さまの話を聞いて
当時の父の心のうちを知った思いでした。
「迷惑はかけないから同居してくれよと言いたい」

心細さと淋しさとこの先への不安。
やりきれない思いは
遠くに嫁いだ娘には弱音を吐かなかったことでしょう。
今頃になって
父の気持ちを考えて
何もできなかった娘でごめんよ、と伝えたい。
今更なんだけど。

お嫁さんにはなるべく里帰りをどんどんして
一緒に暮らす時間を持ってもらいたいと思っています。





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