認めたくなかった

父親との記憶が何かが少しズレている
そう感じながら
母親への嫌悪感だけが心の支えだった

わたし
ちゃんとお母さんのこと嫌いだ
でも、産んでくれたことに感謝はできている
お母さんだって人間だもの
しょうがないよね
わたしはお母さんのようにならないって
いいお母さんにはなれないかもしれないけれど
お母さんみたいにはならないぞって決めたから
だから大丈夫
感謝はしているし
まぁ、反面教師って言葉あるよね
お互いに魂を磨きあう存在だったんだねって
認めているし
大丈夫

もう53歳だ
53年も生きてきて
恨みごとばっか言っててもしょうがないって知ってるし
ちゃんと感謝もできてるし
大丈夫、いろいろを乗り越えられた

そう思っていた
友人から絵本が贈られてくるまでは

大好きな人がいる
好きすぎてやばいぐらいに好きな人だ
友人って言っていいのかもわかんない
めちゃんこ尊敬している
そんな彼女は
時折本を贈ってくれる
ビジネス書だったり
心理学の本だったり
絵本だったり
「いまのわたし」にちょうどいい本を贈ってくれる
エスパーなのかな?って時々思ってしまう
彼女から贈られてくるものは
冷蔵品以外は、寝るときに布団の中へ持っていき
眠りにつくまで抱きしめてる
かなりの変態っぷりだが、大好きだからしょうがない

そんな彼女から届いた絵本
そのタイトルは
「おかあさん だいすき」

封筒から取り出した時
あまりの衝撃に思わず手を離してしまった
床におっことした
身体中がぞわっとした
「イヤだ」言葉がこぼれた
同時に涙が出てきた
涙って、「大粒の涙」って表現を聞いたことあるけども
本当にそんなふうに出ることってあるんだな
ぼたぼたと落ちてくる
大粒の涙が床に落っこちてあちこちにぼたぼたと落ちる
そんな涙だった

泣きながら
「イヤだ、イヤだ、イヤだ」って何度も声に出していた

お母さんのこと、大好きだなんて
絶対に認めない
言いたくない
大好きだなんて言ったら、お母さんが悲しむよ
お母さんが苦しむよ
だってお母さんのこと大好きって言ったら
お母さんを悲しませてしまう

って言いながら、泣いていた


「大好きって言ったら悲しませる」って何?
なんだろ、矛盾を感じる
お母さんが悲しむんじゃなくて、自分が悲しいんだろな

大好きなのに、お母さんの願いを聞いてあげられなくてごめんね
そんな気持ちも湧いてくる
でも、ここに書きながらもオエってなる
認めたくないわたしがいる

この日は泣きすぎて吐きそうになった
頭が痛くて、目も腫れてひどいありさまだった
この日から黙っていると涙が出てくる日が増えた
一日中泣いている日もある

10歳のわたしは
お母さんのこと大好きって気持ちを持たないって決めたのかもしれない
認めたくなかった
お母さんのこと
大好きだって思っている自分のことがバカみたいだし
大好きだったのに、夢を叶えてあげられなかった自分が恥ずかしい

少しだけど、今までセラピーを受けたことがある
こういうとき
10歳のわたしに、今のわたしからしてあげたいことある?
とか、
何か伝えたいことある?って
聞かれたりするよなって思い出して
頭の中で10歳のわたしを思い浮かべたら
「おまえ、まだ生きてたのか。
この恥さらしが。
さっさと死ねばいいのに」
って、10歳のわたしから言われた

そんな気がしたんだ

大好きな友人からの贈り物で
初めてお布団に連れていけないモノができた
それが悲しかった

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