コロナワクチン打ってきました
日にちは戻りますが、アメリカの医療現場からのレポートです。
上記の写真は2020年12月18日のものです。さかのぼること、この日からほんの1週間前にテレビでファイザーのワクチン接種がようやく翌週から始まると報道されました。その週明けの月曜12月14日には全米の病院へワクチンが輸送される様子が大々的に報道されました。私の働く病院の大きさは大学病院レベルのワンランク下あたり。子供病院も併設されていてトータル約800床のここいらのコミュニティーでは大きめの病院です。そんなうちの病院にも925人分のワクチンを確保できましたと明るいニュースが流れました。しかしナースだけで約1500人いる病院。実際自分が接種できる番が来るのは多少時間がかかるのかな・・と思っていましたが、そこがアメリカ。とにかく仕事が早い。優先順位をたて数日内あっという間にそれぞれの職員へいつ接種できるかの通知がきて私も接種開始2日目に打ってもらうことができました。
それぞれ病院によって多少違いはあるでしょうが、うちの病院での接種優先順位はまず実際毎日ベースでパープルゾーン、いわゆるコロナ病棟に入って働いているスタッフからということでした。そして未知の副作用対策として翌日休みの日に打つことを推奨されました。
私はWOCナースと呼ばれるWound(創傷)Ostomy(人口肛門・膀胱ケア)の専門のナースプラクティショナーです。WOCナースは日本でいう認定皮膚排泄ナースですね。院内では専門の仕事ばかりしていますので、ずっとコロナ病棟で働くスタッフとは違います。依頼があったWoundやOstomyの患者を巡回し、診断、治療計画、初期治療、必要であればスタッフへの教育などをしております。コロナ出現当初は専門ナースはコロナ病室へ入らず、傷などの写真から治療計画をたてスタッフナースへ申し次ぐ方法をとっておりました。しかしやはり実際の目で見て判断しないといけない状況もあったり、コロナ患者の増加もあったり、コロナ病室・病棟の各スタッフへの負担を軽減するためにも、専門ナースも必要に応じてコロナ病室・病棟へ入り、必要な処置を行うこととなったのは10月ごろからでした。・・・というわけで、私たちWOCチームもパープルゾーンに入っているので第一優先接種グループの対象となったわけです。
未知のコロナワクチン接種に関して不安はなかったか??ですが。。。全くもって不安よりも希望・期待の方がはるかに大きかったですね。ワクチンがあまりにも早く承認されるという点で不安がゼロだったといえばうそになるかもしれませんが、まぁ副作用が出たとて致死的なものではなく多少の風邪症状とかだろうな・・と気楽な構えでした。あまり深いリサーチも人に相談したりすることもなく、直感で受けたいと思ったので自分は受けることにしました。院内のスタッフでワクチンに対する抵抗があり接種拒否する人もいますが、自分の知る範囲では大半の仲間は受けている状況です。
接種会場はうちの病院の一番大きなホール(講堂みたいなところ)。入口に受付スタッフがいて事前に登録されている名前と職員ナンバーでチェックインしてくれます。そしてその後サインする紙にサインをし、順番に空いてるブースに案内されます。そのブースには実際の正看護師が配置されており、ブース間は十分にソーシャルディスタンスが保てる距離が置かれていました。おそらく10くらいのブースが壁沿いにあったかな。。接種が終わったらCDC(アメリカの疾病予防管理センター)が発行しているワクチン接種記録用紙に接種をうけた証明をもらいます。そしてこのホールの一部セクションに椅子が2メートル間隔くらいで並べられたところがあり、その椅子に座って15分ほどそこで待機するよう指示されました。これは起きるとしたら接種後すぐに起きる可能性のあるアナフィラキシーショックに対しての対策でしょうね。椅子の下には嘔吐用の袋があったり、この待機場所の端っこには救急カートも酸素なども準備されておりました。15分待つ間は上記のように記念撮影?を仲間とお互いやってみたり、ホール内で流されているパワーポイントのスライド(接種後の起こりえる副作用など)を見たりして過ごしました。スライドの最初には「Welcome Hero's」と書かれてあり、こういう職員を励ますのが上手な演出はアメリカらしいなと思えますね。
そして実際接種後・・・ですが、毎年受けるフルーショット(インフルエンザワクチン)と同じ感覚でした。接種された側の腕がずどーんと鈍く重い感覚が1-2日ありましたが、それだけでした。発熱や風邪症状もでず、3週間が経とうとしている今も元気に過ごしています。
ファイザーのワクチンは2度接種必要なので、そろそろ2度目のワクチンの知らせが来ることと思います。今日現在院内はまだまだ増え続けるコロナ患者でえらいことになっておりますが、このワクチン接種が医療者のみでなくすべての必要な人々に素早くいきわたることを願ってやみません。そして間もなくワクチン接種が始まるであろう日本の皆様に、こういう自分の経験が多少なりとも役にたつといいなと思って投稿した次第です。
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