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プレビュー#4 Derrick Lewis vs. Tai Tuivasa

2月のPPVはミドル級タイトルマッチ。王者と挑戦者が入れ替わり、再戦となります。

そんなPPV大会から予測を取り上げるのは、"ブラックビースト"と"バン・バン"の一戦です。印象的な勝利は次のタイトルマッチにつながる可能性があるお互いにとって大切な戦いになりそうな一方で、お互いに先のことなど関係ないような戦いの意識をもっているように感じます。古き良きヘビー級の香り…

そんな一戦は予測意味があるのかどうか、わからない点もありますがお互いの選手を考えることで興味深い点もありましたので以下に記載してみました。

お目汚しでございますが、よかったらご覧ください。

総論:スペックはヘビー級喧嘩屋対決なんですが…

この戦いはお互い80%以上のフィニッシュ率を誇る二人の戦いです。しかし、フィニッシャーが二人そろったからとてエキサイティングな試合になるとは限らないのが、ある意味、格闘技の面白いところです。

エキサイティングな試合になるか大凡戦になるかは、どちらかというとルイス(のメンタル)側の影響が大きいと思います。ツイバサはいつ何時も喧嘩をしたいと思っているとは思いますが、ルイス相手には危険な気がします。

お互いの選択とメンタルがポイントにもなりえる一戦、早速比較分析を進めていきたいと思います。

スペック比較:まさにヘビー級の二人

ルイス vs ツイバサ
ランキング:3 vs 11
年齢:37 vs 28
身長:191 vs 188
リーチ:201 vs 191
スタンス:オーソ vs スイッチ
体重:120.2 vs 119.7

ヘビー級ですので体重を記載しました。どちらもリミットいっぱいいっぱいです。減量してるんでしょうか?まさにヘビー級です。10センチのリーチ差がありますがあまり関係ない戦いになりそうな気がします。

戦績比較:二人はもちろんフィニッシャー

ルイス vs ツイバサ
戦績:26-8-0 vs 14-3-0
<勝利>
KO:21 vs 12
SUB:1 vs 0
DEC:1 vs 1
<敗北>
KO:5 vs 1
SUB:1 vs 1
DEC:2 vs 1
<直近戦績>
ルイス
vs Chris Daukaus:WIN KO
vs Ciryl Gane:LOSE KO
vs Curtis Blaydes:WIN KO
ツイバサ
vs Augusto Sakai:WIN KO
vs Greg Hardy:WIN KO
vs Harry Hunsucker:WIN KO

お互いKOが多いのですが、印象はずいぶん違います。
ルイスはだいたいパッとしない試合をしていますが気づくとKOしているか、試合を投げているか、のように思われます。とは言え過去負けた相手はUFCチャンピオンクラスのみと言えるでしょう。何よりガヌーに勝利しています。(戦っていませんが…)
ツイバサはKOの雰囲気がプンプンした状態で相手をKOします。一方で唯一の判定勝利が、撃たれ弱いがベテランで優れたストライカーであるアルロフスキーというのもなんだかおもしろいです。
現在は、3連敗を経ての4連勝中です。

スタイル比較:過程が異なるフィニッシャー

ルイス
概略:分類するとすればストライカーになりますが、より正しくは喧嘩。でしょうか?
特徴:変則的でムラがありますがすべての相手を、いつでも、KOできる可能性を持った稀有な選手です。
打撃:基本はカウンタースタイルですが、いきなり打撃を振り回すことがあります。いずれもタイミングが神ががっています。
組み:相手に組まれますがそのフィジカル故強さを見せます。また、TDDに優れます。自らTDすることもあったりなかったり。
寝技:トップポジションからの打撃はいつ何時も危険です。
極め:選択肢にないとは思うのですが、その予想を裏切ってくるのがルイスでもあります。
スタミナ:とりあえず最後の一瞬までKOする能力があります。

ツイバサ
概略:ストライカーです。ボクシングのキャリアがあり、またローキックを使います。
特徴:打ち合い上等のスタイルなのですが、テクニカルでクレバーな面もあるように思います。
打撃:プレッシャーをかけローから組み立てます。距離を詰める際にはパンチのラッシュで前に出て、ケージに相手を詰め、組みに持っていきます。
組み:打撃とのコンビネーションで相手に組付きます。TDを狙うことはありませんが、組んだ状態からのボディ、ヒジのコンビネーションが強烈です。
寝技:自分からは選択しません。トップを取られると非常に不安です。
極め:ないと言えるでしょう。
スタミナ:不明ですが最後まで戦いきれる強いメンタルを持っていると思います。

お互いフィニッシャーなのですが、ルイスが過程不明でなんだかんだでフィニッシュするのに対して、ツイバサはしっかり組み立ててフィニッシュするように思います。
ルイスは戦い方は不安定ですが、本人は本質的にはクレバー。ツイバサは戦い方の完成度がより高いように思いますが本人自体はザ・喧嘩屋だと思います。

戦略比較:フィニッシュまでの過程の違い

ルイス
最終的にはKOするのですがどう考えてその結果にもっていっているのか不明です。
まずはどっしり構えて相手の出方を待ちます。フェイントもあまりかけるように見えません。相手が出てきたところに右のパンチを合わせることを基本戦略にしているように感じます。
また、不定期に打撃を出します。仕留めるときは一撃をぶち込むか、嵐のようなラッシュです。
結果だけ見ると、その気になればいつでもKOできてたような気がするのですがどうするかは本人次第のように感じます。

ツイバサ
最終的にはKO狙い。の戦略に思いますがしっかり組み立てを意識しているように感じます。
まずはやや遠い距離でロー。プレッシャーをかけながら打撃。打撃から組み、そしてケージ際でボディ、ヒジと相手を削ります。打撃のバリエーションが豊かでかつ強力。相手が手詰まりになったところに打撃をまとめてKOするように感じます。

ルイスの戦略について考えるのはちょっと無益な行為かもしれません…

戦術予測:~ツイバサ勝利への道~

オッズは、
 ー190:ルイス
 +160:ツイバサ
でルイスがフェイバリットです。また、より細かいオッズを見ると1R KOが支持されているようです。個人的には判定も十分ありそうな気がしているのですが…
以降、オッズが支持していないツイバサ側の勝利への道を予測したいと思います。

SWOT分析
Strength(強み)
・KOパワー
・強い左右のローキック
・打撃のバリエーション、組み際での打撃。
・タフさ(撃たれ強さとメンタル)
Weakness(弱み)
・打撃ディフェンス
・寝技(全く対応できない可能性も)
・TDの選択肢がない。戦略の幅が狭い
Opportunity(機会)
・ローキックの有効である可能性
・相手よりも遠い距離を選択して戦える可能性
Threat(脅威)
・相手のKOパワー
・TDとトップを取られた際の対処

上記分析から勝利への戦略・戦術を記載します。

戦略結論:先手先手で相手を崩し、相手の気持ちを削ってからのKO。もしくは結果的に判定までもつれ込む。

序盤、遠い距離では明らかにローキックが有効な相手だと思います。内外を蹴り倒していきましょう。だたしロー一辺倒で単調になるとカウンターが脅威です。また足をつかまれてTD、トップキープされると最悪です。
リスクはありますがパンチから組みに行く選択肢も取り入れるべきだと考えます。ただしこの組みの展開をこだわりすぎると、ここでもなんやかんやでTDされてしまうことが脅威です。
いずれにせよ、単調になってタイミングを取られてしまうこと、TDされることは絶対に避けたいところです。

足を効かせることができれば全局面でかなり有利に戦いを進めることができるはずです。足を効かせてから得意の組み際のボディ/ヒジはとても相手が嫌がる、有効な攻撃だと思います。そして相手が嫌がることが最も効果的でKOに近づく選択肢だと思います。
KOするというか相手が試合を投げる展開にすることが勝利に(というよりも相手の敗北へ)つながると思います。

いつも以上にクレバーな戦略を、相手に喧嘩をさせない、自分も喧嘩をしない戦い。つまりは見る側が期待している展開とは異なる選択肢こそが勝利への戦術になるのだと考えました。

試合後、どのような展開となったか、レビューをしてみたいと思います。

終わりに:なんだかんだでヘビー級は大好物です

ヘビー級はまさに戦(いくさ)、切った張ったの厳しい世界です。優れた選択をしたものが勝つのではなく最後に立っていたものが強かったと言わざるを得ない階級です。予測や過程、戦略をぶち壊す破壊力があります。そしてそれを象徴する選手がルイスです。

そんなヘビー級のそしてルイスの試合を予測することに意味があるのかどうか、不安ではありましたが、普段は本能で楽しむ一戦を今回は頭で楽しんでみたいと思います。

ちなみに海外インタビューでルイスは今回レスリングをするとの発言があるようです。そしてツイバサは勝利後ファールカップでのシューイを考えているようです。

試合展開含め、一体どうなることやら…


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