見出し画像

プレビュー#7 Rafael dos Anjos vs. Renato Moicano

またまた気づいたら注目カードに変更が出てしまっていました。フィジエフ欠場によりモイカノがスクランブル出場です。160ポンド契約での一戦となります。
自分もスクランブル予習とはなりましたがこの一戦、予測をしてみたいと思います。

お目々汚しではございますが良ければご覧ください。

総論:ブラジル人黒帯柔術家対決

フィジエフ欠場は残念ではありますが、先月試合をしたばかりのモイカノが名乗りを挙げ、この一戦が行われます。お互い柔術家、しかも黒帯同士の一戦となります。これはこれで興味深いです。さらにモイカノは過去に本来の対戦相手であったフィジエフに敗れていることもありなおさら興味をおそそります。
RDAとしては落とせない一戦、モイカノにとって勝利はランキング入りへのショートカットになりうる一戦です。

スペック比較:下げてきたRDAと上げてきたモイカノ

RDA vs モイカノ
国籍:ブラジル vs ブラジル
ランキング:6 vs NR 
年齢:37 vs 32
身長:173 vs 181
リーチ:178 vs 183
スタンス:サウスポー vs オーソドックス

元ライト級王者のRDAですが近年はウェルターでの試合をこなしていました。ライト級には再び落としてきた形になります。
一方のモイカノはフェザーで連敗後ライト級に上げてきました。
数字だけ見ると下の階級から上げてきたモイカノが大きくなります。ウェルターから下げてきたRDA、王者時代は決して小さくは感じませんでしたが今のライト級ランカーを見渡すとやや小さい部類に入りそうです。

実績比較:経験値の差

RDA vs モイカノ
30-13-0 vs 16-4-1
<勝利>
KO   5 vs 0
SUB 10 vs 9
DEC 15 vs 7
<敗北>
KO   3 vs 3
SUB 0 vs 1
DEC 10 vs 0
<直近戦績>
RDA
 Paul Felder:WIN DEC
 Michael Chiesa:LOSE DEC
 Leon Edwards:LOSE DEC
モイカノ
 Alexander Hernandez:WIN SUB
 Jai Herbert:WIN SUB
 Rafael Fiziev:LOSE SUB

RDAはモイカノの倍以上の戦績です。王者としての実績もあり、圧倒的な経験値の差がありそうです。また5Rマッチの経験の差もありそうです。
お互い柔術み強みを持つこともあり一本勝ちが多く見られます。
モイカノの敗北は判定はなくフィニッシュ負けのみ、RDAは一本負けはありません。
近年RDAの戦績はふるいませんが負けた相手はウェルター級の王者クラスとみていいと思います。(キエサ以外は)

スタイル比較:似てるけど違う印象

RDA
概略:柔術家ですが打・倒・極すべてができるオールラウンダーです。
特徴:所属はキングズMMAということでところどころムエタイチックな動きがみられます。
打撃:前に出て、強いプレッシャーをかけながらジャブを刺していきます。ローキック、ミドルキックが強いです。飛び膝などの大きい攻撃を仕掛けることもあるのが印象的です。
組技:プレッシャーをかけケージ際で距離が近くなるとかなりしつこく組付きます。基本はTDを狙いますが、寝かせられない場合は首相撲からヒジを使います。相手に組まれた際にも首相撲から引きはがすようにヒジを出すように見受けられます。TDDは、特に大きい相手に対して苦労しているように思います。苦労した試合は階級の問題や対戦相手が非常に強いレスラーということも大いにあるかもしれませんが。
寝技:しっかり抑え込んでトップコントロールを意識しているようです。トップから強いプレッシャーをかけてパウンド、肩固めを狙うように思います。
極め:積極的に一本を狙うようには感じません。しいて言えばトップから肩固めのプレッシャーをかけながらパスを狙うように思います。一本負けがなくポジションを取られてもしのぐことができるようです。
ガス:非常に良く、素晴らしいと思います。5RフルにプレッシャーをかけTDを仕掛け、ケージレスリングを続けることができます。素晴らしい作戦遂行能力があります。敗北してしまった試合も非常にタフな相手に5R戦い切ります。

モイカノ
概略:こちらも柔術家。よりアグレッシブです。
特徴:ATT所属です。階級を上げてからはより力強さを感じるように思います。
打撃:プレッシャーをかけていきます。ジャブと伸びるストレートが印象的です。組のフェイントから奥手のアッパーなども印象的です。ただ、負けるときには強打を被弾してしまうように思われます。
組技:自分の組める距離になるとTDを狙う意識が強いようです。仕掛けられること自体が少ないのかもしれませんが高いTDDを誇ります。(80%)
寝技:積極的にパスを狙い、マウント~バックポジションを狙うようです。
極め:RNCでの一本勝ちが多く、強い極めを持っています。流れの中で一本を取るというよりも打撃で効かせて一本で仕留めるようなパターンが多いです。
ガス:3R戦い切る試合が少なく判断が難しいです。少なくともRDAのような戦い方は厳しいのではないかと考えます。

同じ柔術家でポイントを見ると若干スタイルも似ているように感じましたが全体的な印象になると全く異なるスタイルに見えますので不思議なものです。

戦略比較:

RDA
どんな相手にも打撃のプレッシャー、そしてTDを狙う戦い方、チェーンレスリングでフルラウンド戦い勝ち切る戦略と考えます。
ケージ際に相手を追い詰めケージレスリングを仕掛けることで最大の強みを発揮します。一方でその戦い方が厳しい相手(打撃のプレッシャーが通じない、レスリング/フィジカルで劣る相手)に対しても基本戦略は変えないように思います。ただ、一方的に敗北することはなく、戦い切れるところは流石です。

モイカノ
こちらも基本は打撃のプレッシャー、そしてTDを狙う戦い方を基本戦略にしていると考えます。ただし、打撃・寝技ともにより積極的な攻撃を仕掛けていきます。積極的ゆえに打撃でKOされてしまうこともあるのかもしれません。一方で打撃の交換をいとわない点が強みになるのかもしれません。

お互いプレッシャーとTDを戦略の軸に、そして作戦をやりきる気持ちの強さを背景にした戦略に感じます。

戦術予測:モイカノ勝利への道

オッズは
 RDA  :-180
 モイカノ:+155
モイカノがアンダードッグです。が、スクランブル出場にしてはそこまでのオッズの開きもないのでは?モイカノに対する期待値が高いのかもと思わされます。
アンダードッグ側、モイカノの分析を進めたいと思います。

SWOT分析
Strength(強み)
・サイズ、リーチの長さ
・打撃の積極性
・柔術
Weakness(弱み)
・打撃ディフェンス、強打の被弾傾向
Opportunity(機会)
・相手より長いリーチ
・TDもしくはバックをとれる可能性
Threat(脅威)
・5Rマッチ、長期戦は不利?
・フィジカルで劣りレスリングで不利になる可能性
・中間距離の打撃戦で劣る可能性。
・柔術で劣る可能性がないか?

上記分析からモイカノ勝利への戦術を検討します。

戦術結論:プレッシャー掛け合いで負けないこと。ケージ際で戦わず、序盤からTDを仕掛け逃げ切り判定。

オッズに対してモイカノが非常に不利なのではないかと考えます。戦績とお互いのスタイルから見ると、RDAを仕留めるのは非常に困難。さらに5Rマッチということを考えるとさらに厳しいのではないかと考えます。

そんな厳しい見込みをしているモイカノですが、勝利のためには…
序盤からポイントを取って逃げ切ることを考えました。モイカノがRDAを仕留める戦術をとれるとはちょっと考えにくいです。
スタンドの中間距離ではサウスポーで蹴りの強いRDAが優位になりそうな気がしてます。プレッシャーで下がるとレスリング地獄に巻き込まれそうです。モイカノが前に出ていく選択が必要だと考えます。パンチの交換でどちらが優れるかはわかりませんがそう易々と打撃で攻略できる相手ではないような…よってTDを仕掛けることを戦術として選びたいと思います。
RDAは優れたレスラーではありますがTDDが優れているわけではないと思います。早々に仕掛けて出力してでもポイントを取っていくべきだと思います。TDを仕掛けることで打撃戦への優位性も出てくれば。
前半3R全力で取ってしまえば後半はレスリングで支配されようとも黒帯柔術家、一本取られるとこまではいかずにしのげるのではないでしょうか?

非常に厳しい戦いになろうかと思いますがランキング入りをするために降って湧いてきたチャンス。ものにしてほしいところです。
また、私の予測を裏切り、前戦のヘルナンデス戦ように打撃で効かせRDAから初の一本を奪取すればそれはそれで大きなインパクトを残すことでしょう。階級UpでパワーUpの傾向がみられる選手が多い中、モイカノもそのようなブレイクスルーを見せてくれると今後の楽しみが広がりそうです。
一方のRDA。昔から知っている選手、一時期には完成されたPFPでもありましたのでぜひいぶし銀の戦いを見せてほしいところです。

終わりに:なんだかんだでフィジエフが見たかった…

近年RDAには強く大きいレスラー、グラップラーを当てられ苦戦していた中で、フィジエフという非常に優れるストライカーとの対戦でしたのでお互いにとって非常に興味深い一戦でした。そんな対戦が流れてしまったことは残念ではありますが、ライトに上げたモイカノの躍進にも期待を持ちつつこの一戦を観戦したいと思います。

では、続きは試合後のレビューにて…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?