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プレビュー#2 Michael Morales vs. Trevin Giles

楽しみにしていたものが突然無くなってしまうというのは"比較的"よくあることだと思います。特にUFC含むファイトスポーツにおいては...

2022年初のPPVイベントは男子最重量級タイトルマッチと最軽量級タイトルマッチの豪華二本立てからスタートします。

今回そんな豪華PPVイベントから取り上げるのはIlia Topuriaの一戦のつもりでしたが、vs. Movsar EvloevがCharles Jourdainに変わり、そして消えてしまいました。。。残念です。

代わりに取り上げるのはMichael Morales vs. Trevin Gilesです。
お目汚しでございますが、よかったらご覧ください。

総論:無敗のUFCデビューvs兼業ファイター

この戦いは、コンテンダーシリーズ出身、無敗のエクアドルファイター モラルーズと警察官のキャリアを並行するジャイルズとの一戦になります。
最近はUFC初出場の選手はコンテンダーシリーズ出身の選手が多く、戦績も非常にきれいな選手が多いように感じます。
一方で、そのような選手がUFCベテランたちにフェイバリットながらも敗れていく姿を見ることも間々あることかと。。。そのような点でもUFCは修羅の国です。
果たしてモラルーズは本物のUFCファイターとしての道を歩めるのか?はたまたジャイルズが立ちはだかるのか?早速比較分析を進めていきたいと思います。

スペック比較:圧倒的ロングリーチのモラルーズ

モラルーズ vs ジャイルズ
ランキング:NRvsNR
年齢:22vs29
身長:183vs183
リーチ:201vs188
スタンス:オーソvsオーソ

身長は同じですがリーチが圧倒的にモラルーズ優位です。一方でジャイルズは過去ミドル級を主戦場に戦い、またライトヘビーで戦っていた経験もあります。

戦績比較:フィニッシュ率の高い二人

モラルーズ vs ジャイルズ
戦績:12-0-0vs14-3-0
<勝利>
KO:9vs6
SUB:1vs5
DEC:2vs3
<敗北>
KO:0vs1
SUB:0vs2
DEC:0vs0
<直近戦績>
モラルーズ
vs Veretennikov:WIN DEC
vs Arizmendi:WIN KO
vs Centeno:WIN KO
ジャイルズ
vs デュプレシ:LOSE KO
vs ドリゼ:WIN DEC
vs ルイス:WIN KO

モラルーズは12戦12勝の無敗、綺麗な戦績でKO率も高い選手です。ただし、直近の試合(コンテンダーシリーズ)以前は南米ローカルの戦いのようで若干、相手選手のクオリティに疑問符が付くような?DWCSでの一戦は勝利したものの若干苦戦をしているように感じました。
ジャイルズは3敗しているもののそのすべてはUFCでのものです。UFCでも8戦5勝と勝ち越しています。勝利も敗北も決着が多くアグレッシブなファイトスタイルとみることができます。UFCでの敗北はグラップラーに対する一本負けで、SUBディフェンスにやや難があるのでは。。。

スタイル比較:スタイルの異なるストライカー

モラルーズ
概略:ムエタイ/キックボクサー風のストライカーですがレスリングができるようです。
特徴:基本に忠実なきれいな打撃と組技を使い分けることができます。
打撃:ロングリーチを生かしたジャブ。左右のローキック。特に奥足のローキックが強力そうです。パンチのコンビネーションも綺麗です。撃ち合いに若干の不安があります。また、打撃を打つ前に動きが止まったりモーションが大きい事もやや不安。
組み:自分から組みの選択肢を取ることができ、コントロールも上手です。打撃で苦しい場面で組に行く様子も見られます。
寝技:TDした後にトップコントロールが優秀です。見た目に反して、バックについて殴る展開が印象的です。
極め:不明です
スタミナ:直近の一戦では若干の疑問がありましたがまだわかりません。

ジャイルズ
概略:ストライカーですがパンチ主体です。
特徴:トリッキーでセンスを感じさせる打撃をもっており破壊力があります。全体的に瞬発力/パワーを感じさせます。
打撃:遠目の距離から回りつつ、刺すようにジャブを突きます。また、遠目の距離から飛び込むように打撃を出します。ノーモーションでタイミングも読みにくく、また破壊力が抜群です。ただ、ガードが低く若干ディフェンスが不用意に感じます。また、ローキックを受けやすいようです。
組み:打撃で飛び込んだ最後に組みまでセットにしているように感じます。ただTDはイマイチのように思います。TDDも特に優れているわけではないようです。
寝技:SUBディフェンスに不安がみられます。安易にポジションを取られてしまっているのでは?バックを取らせて立つ動きも見せますがこちらもやや不安。トップを取った場合には不安定なポジションからでもかなり強いパウンドが打てるようです。
極め:不明です。
スタミナ:わかりませんが後半でもフィニッシュする力があるように感じられます。

若いモラルーズのほうが打撃/組技ともにきれいなスタイルのように感じます。見た目とは裏腹にレスリングっぽい動きをするのが面白いスタイルだと思いました。まだまだ若くこのスタイルをブラッシュアップしていくのが楽しみでもあります。
ジャイルズはちょっと不思議な/不安定なスタイルに感じますが、センス・タイミング・パワー・スピードといった、その選手が元から持つ特別な力を感じさせます。戦い毎にスタイルも異なるようで、ちょっと表現が難しいですね。

戦略比較:トータル力vs一点突破力

モラルーズ
ジャブを突きながら左右のローで様子を見つつペース/リズムをつかんでいきます。リズムをつかむとパンチコンビネーションを見せます。組も積極的に使いTDから削る動きも重要な選択肢のようです。打撃/組技トータルの展開で勝ち切る戦略のようですが、相手のレベルが低いうちは十分打撃で圧倒できるようです。

ジャイルズ
遠目の距離と近距離を、緩急つけながら戦い、一撃を狙う戦略のようです。
遠目ではフェイントを見せながらジャブを突きます。また遠目から一気に距離を縮めて打撃を打ち込み、組みつくところまでをセットにしているようです。ただし組技の展開はそこまでなのでちょっとどうかと。。。独特のセンスとタイミングで相手のスキに打撃の一撃を打ち込むスタイルでフィニッシュを意識した戦いを見せます。

戦術予測:~ジャイルズ勝利への道~

オッズは、
 ー120:モラルーズ
 +100:ジャイルズ
で競ってはいますがデビューのモラルーズを支持しているようです。ジャイルズは前戦、ハイライトに残るようなKOをされていることが影響しているようにも感じます。また、期待のUFCデビュー側がフェイバリット、というのもよく見る気がします。期待を裏切られる展開もよく見かけますが。
いずれにせよオッズが支持していないジャイルズ側の勝利への道を予測したいと思います。

SWOT分析
Strength(強み)
・トリッキーな動きと打撃センス/破壊力
・フィジカルの強さ、瞬発力/スピード
Weakness(弱み)
・ローキックへの対処
・TDDとグラウンドの展開
・ガードが低く全体的に不用意
・ファイトIQ
Opportunity(機会)
・フィジカルの優位性
・打撃のタイミングと一撃を当てることが有効である可能性
・経験とスタミナ?
Threat(脅威)
・ローキックを受けやすく、相手が優れる点
・TDとトップキープされる恐れ

上記分析から勝利への戦略・戦術を記載します。

戦略結論:出入りが多く動く展開で相手にペースを握らせず、
相手が打撃を出す際で強打を当てる。

動きが少なく見る展開では相手にローを蹴られることになってしまいます。的を絞らせないように動きましょう。近い距離よりは遠い距離を選択したほうが打撃を受けにくいような気がします。前後メリハリをつけ、さらに回りながらジャブを突く動きでペースを相手に取らせないことが理想的だと思います。
打撃を当てるために距離を縮める展開が必要ですが、打撃の最後に組むとしても、そこにこだわらずフィジカルで引きはがして再度距離を作ることがいいのではないかと思います。TDされる事にならないよう、TDDが必要ない展開にしたいところです。逆にTDされるとそのRはかなりキツくなるように思います。
撃ち合う展開は有利に働く可能性もありますが、組付かれTDされるされるリスクや、自身の打撃ディフェンス不安がある点を考えるとあまり選択肢に入れるのはどうかと思います。
いずれは相手の動きが止まるタイミング、モーションの大きい打撃を出す機会が来ると思います。このタイミングでモーションの小さいコンパクトかつ威力のある打撃を当てるチャンスが来るのではないかと。一撃で効かせられるかどうかは、相手のタフさがまだ不明なためフィニッシュに至るかわかりませんが、試合を優位に運ぶためには必要な展開だと思います。
いずれにせよ中途半端な距離で打撃を受けたり、中途半端に組んでTDされる展開は避けなければいけないと思います。

繰り返しになりますが、最近は無敗のデビュー組がUFCベテランに跳ね返されるパターンをよく見ます。今回も御多分に洩れず、と思いながらも弱点をうまくつく武器を明確に持っているのがモラルーズのようにも思えます。さらにジャイルズ自身のファイトIQに不安があるため、まさにオッズ通りの悩ましい一戦です。

試合後、どのような展開となったか、レビューをしてみたいと思います。

終わりに:本当はトプリアの試合が見たかったんです…

無敗の新星 トプリアの試合を楽しみにしていました。対戦相手が変わったのはともかく、朝起きてまさか試合が消滅しているとは。。。UFCでは比較的よくある事/仕方ないことではあるのですが残念です。もう一つ楽しみしていたヴィエイラの試合もなくなっており、本当に油断にならないです。
一方でこの試合もお互いの選手をリサーチしてみると何も知らなかったときに比べて大いに興味を持つようになりました。
単純に試合を見て楽しむこともスポーツの醍醐味ですが、事前の調査はその楽しみを数倍にも膨らませる行為だと思います。

2022年初めてのPPVイベント。明日は存分に楽しみたいと思います。

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