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プレビュー#6 Arman Tsarukyan vs. Joel Alvarez

UFCのライト級は世界最激戦区です。

基本的にUFCが世界最高の舞台、選手たちも最高レベルだと考えていますが、色々な意見があるのは承知しています。ただ、ライト級に関してはUFCが世界最高/世界最激戦区という事に異論を挟む方はいないのではないでしょうか。

無敗の王者ヌルマゴメドフが去ったUFCライト級戦線、オリベイラを頂点に実力者揃いのランキングですがその下には若いプロスペクト達がひしめき合っています。

そんなライト級戦線からツアルキヤンとアルバレスの一戦を取り上げたいと思います。

お目々汚しではございますが良ければご覧ください。

総論:連勝中プロスペクト二人の対戦

ツアルキヤン、アルバレス共に4連勝中。UFCデビュー戦こそつまづいたものの、その後連勝を飾っています。そんな二人の対戦です。熱い対戦です。
そんな二人もトップテンランカーじゃないのですからUFCは修羅の国です。
早速比較分析を進めていきます。

スペック比較:超絶大きいアルバレス

ツアルキヤン vs アルバレス
国籍:アルメニア vs スペイン
ランキング:13 vs NR 
年齢:25 vs 28
身長:170 vs 191
リーチ:184 vs 196
スタンス:オーソ vs オーソ

アルバレスがめちゃくちゃにデカいです。おそらくライト級で最も大きく、リーチも最長じゃないでしょうか。減量ミスもあるようですのでかなり試合前に苦戦してそうです。
ツアルキヤンの方が若いのが意外です。これだかけ若いのに素晴らしい戦績に完成されたファイトスタイル。凄いです。
並ぶとかなりのサイズ差が出そうな二人ですがいかがでしょう。

実績比較:実績から浮かび上がるファイトスタイル

ツアルキヤン vs アルバレス
17-2-0 vs 19-2-0
<勝利>
KO   6 vs 3
SUB 5 vs 16
DEC 6 vs 0
<敗北>
KO   1 vs 1
SUB 0 vs 0
DEC 1 vs 1
<直近戦績>
ツアルキヤン
 Christos Giagos:WIN KO
 Matt Frevola:WIN DEC
 Davi Ramos:WIN DEC
アルバレス
 Thiago Moisés:WIN KO
 Alexander Yakovlev:WIN SUB
 Joe Duffy:WIN SUB

ツアルキヤンの勝利は、KO、一本、判定とバランスが取れています。一方のアルバレスは勝利は全てフィニッシュ。様々な形での一本勝利があります。
お互いに一本負けはありません。数字からファイトスタイルが浮かび上がってくるような戦績です。
アルバレスは直近に試合は計量ミスがあります。さらにお互いUFCデビュー戦は共に敗北をしています。

スタイル比較:TDに対する考え方の違い

ツアルキヤン
概略:レスラーです。TDを仕掛けます。ただし打撃もそつなくこなします。
特徴:バックボーンはフリースタイルレスリングのようです。
打撃:距離をしっかりコントロールしているように思います。非常に力強い打撃に見えます。ローキックも強力です。キックを交えたコンビネーションで前に出ます。前手や前足を使った距離のコントロールが上手に思えます。
組技:積極的にレスリングを仕掛けます。組んでからはTDする事に重きを置いているようです。ただし組が不利になる相手には無理はしないようです。
寝技:しっかり抑え込んで行きます。下になってもしっかり対処できるようです。
極め:あまり無理して極めに行くようには思えません。
ガス:非常に良いと思います。判定勝利の場合は3Rが一番優れるRになるように思います。負けてしまった試合も最後までチャレンジしていました。また勝利の為に厳しい場面でも全力を出せる様に思います。

アルバレス
概略:グラップラーではあると思います。UFCではストライカーっぽくも見えますが。
特徴:打撃&一本を狙う、攻撃にほぼ全振りしているようなスタイルです。レスリングという言葉はこの選手には無いようです。なお、柔術茶帯のようです。
打撃:UFCデビュー戦こそ手が出ていませんでしたが、その後の試合ではかなりアグレッシブにプレッシャーをかけ、強力な打撃を放っていきます。長いリーチを生かした、外から回すような打撃、長身を生かしヒザ狙い、ローキックが強力です。
組技:TDDがザルです。する気がないのかもしれません。もしかしたら相手にTDさせているのかもしれないです。
寝技:下からうるさいタイプのようです。
極め:TDに対するカウンターギロチンを狙っているようです。下から一本も積極的に狙います。極めの強さがスタンド/組技の戦略に大きく影響しているように思います。
ガス:早期決着が多く、判断できませんがUFC初戦で判定負けした際は後半に盛り返せる様なタイプには思えませんでした。

戦略比較:真逆の戦略

ツアルキヤン
TDするかしないかで戦略が変わりますが、基本的にはTD〜トップキープで相手を支配します。
時間の経過と共に有利に試合を進めていき完封する戦略です。ただし決して塩っぽい戦いではありません。
一点突破とゆうよりも相手よりも優れるポイントで試合を支配する戦略だと思います。

アルバレス
スタンドではプレッシャーをかけていきます。ガンガン前に出れるその背景には、寝技での自信があるのだと思います。
打撃でプレッシャーをかけ、相手からTDの選択肢を引き出させカウンターのギロチン、下からの一本を積極的に狙います。
一方でスタンドでペースを取られるとプランBがないかもしれません。いずれにせよ火力で押し切る戦略だと思います。
ツアルキヤンとは真逆の、自身の強みを背景にした一点突破戦略です。

戦術予測:アルバレス勝利への道

オッズがまだ出ていませんが(2/23時点)おそらくアルバレスがアンダードックだと思いますので、どうやって勝利を見出すべきか予測したいと思います。

SWOT分析
Strength(強み)
・サイズ、リーチの長さ
・極めの強さ
・攻撃力
Weakness(弱み)
・TDD
・戦略の幅の狭さ?
Opportunity(機会)
・相手がTDを仕掛けてくる可能性が高く、カウンターサブミッションの機会
・打撃の攻防を有利にできないか?
Threat(脅威)
・TDされる可能性が非常に高い
・下から極められないと漬けられる可能性
・後半で劣勢になる可能性

上記分析からアルバレス勝利への戦略・戦術を記載します。

戦略結論:早期決着を目指す。打撃でプレッシャーをかけ続け、相手に能動的にTDを仕掛けさせない。

アルバレスの超火力がツアルキヤンを飲み込む可能性もあるかとは思いますが、ツアルキヤンのレスリング力、全体的な安定感、後半に向けてペースを維持できることなど考えると判定で屈してしまう可能性が高いのかな?と思ってしまいます。
そんなアルバレスが勝つためには、自分の強みを生かし、これまで通りの早期決着を目指すことが最も勝率が上がるのではないかと考えました。

というわけで、勝利のためには…
序盤からどんどん打撃でプレッシャーをかけていきましょう。ツアルキヤンに打撃のペース・距離のコントロールを取らせないようにしていく必要があるかと思います。また、相手はTDを仕掛けてくる可能性が高いと思うのですが、相手のペースで仕掛けられないためにも打撃でどんどん押していくほうがいいと思います。結果的にTDされるにしても。

TD対策にはヒザのフェイントを交えていくくらいしか思いつきませんでした。おそらくタックルされると寝かされてしまうと思いますが、少しでも相手に躊躇させるためにも撃墜の動きを見せ続ける必要があると思います。

しっかり組まれてからTDされると漬けられてしまうと思いますので、プレッシャーをかけ続け、万全じゃない状態のタックルを仕掛けさせ、カウンターギロチン、下になってしまったら仕掛ける動きを続ける。前半フィニッシュを目指し出力し続ける。などを考えました。

一方のツアルキヤンとしては、安易なタックルを仕掛けて一発を食らうことを避けるのが最も重要なことになるかと。スタンドでプレッシャーをかけケージ際で勝負する、TDする。しっかりトップキープが安牌かもしれません。

終わりに:ここから先はさらなる修羅の道…

お互いさらに上位に向かうためにはここで勝利をつかむ必要がありますが、ここから先のライト級ランカーは誰と対戦しても楽な選手は全くおらず、真に厳しい修羅の道となります。

より完成度の高いツアルキヤンにはここでさらなるブレイクスルーを見せてもらい期待を高めたいところです。一方のアルバレスにはまだ底が見えないような爆発的な火力を見せて勝利してもらいたい気持ちもあります。

一体どんな内容・結果になるのか、今後のライト級戦線を楽しむためにも目が離せない一戦になりそうです。
では、続きは試合後のレビューにて…

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