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#65 Alex Perez vs. Tatsuro Taira のプレビュー ~ペレス vs. 平良。沖縄が産んだ無敗のスーパーノヴァの輝きはUFCベテランも飲み込むか?~

対戦カード概略

 UFC Fight Night: Perez vs. Tairaのメインイベント。UFCApexで行われるフライ級ランカー対決です。元々お互いに別の相手と組まれていましたが同じ興行内でのカードの組み替えが発生し、13位の平良にとってはチャンスが巡ってきた形で5位のペレスとの対戦です。日本人としては平良推し一択ですが前戦ロイバルをまさかのKOで下したペレスが不気味です。

ランキング:ペレス#5、平良#13
オッズ  :ペレス+154、平良−185
参照   :

Alex Perezについて

スペック

年齢:32
身長:168
リーチ:166
スタンス:オーソドックス

戦績

25-8-0
勝利内訳
・KO:6
・一本:7
・判定:12
敗北内訳
・KO:1
・一本:5
・判定:2
直近戦績
Win - Nicolau
Loss - Mokaev
Loss - Pantoja
ファイター印象
>欠場回数PFP No1。いつも欠場しないかハラハラさせるが最近はコンスタントに試合。

SWOT分析

強み:テイクダウンディフェンス、カーフキック、手数とプレッシャー
弱み:やや雑な打撃、サブミッションディフェンス
機会:対戦相手の質と経験、テイクダウンを防げる可能性、インファイトでの打撃交換で有利
脅威:リーチ差、グラップリングの展開で不利、バックを取られること

コメント

 前回ニコラウをKOしランキング5位まで上がったペレス。レスリングバックボーンですがあまり自分からテイクダウンを仕掛ける様子は見られず、パンチとローキックを主体に戦います。
 キャリアで最も印象的な勝利はvsフォルミーガだと思います。強烈なカーフキックでKOしパフォーマンスボーナスを得ました。
 スタンドでは、相手の外側を取るような動きとタックルフェイントを交えつつ、奥手からパンチを振るっていきます。前手の返しのフックも強力で若干雑ながらも連打とプレッシャーで相手に脅威を与えます。vsニコラウではその打撃のプレッシャーでケージ際まで追い詰め、パンチ交換から強力なカウンターでKO勝利をもぎ取っています。
 今回対戦する平良と同じく無敗の若手プロスペクト、モカエフとの対戦では、負けはしたものの若いモカエフにとってキャリア最大の壁として立ち向かいました。リーチ差があり、スイッチする相手の打撃になかなか入れず苦労するものの、モカエフ得意のタックルを切るテイクダウンディフェンス能力の高さを見せつけました。特にガブって首を取る動きが印象的です。
 バックボーンのレスリングを武器ではなく防御に使うペレス。打撃の圧力で相手を下がらせ強打を当てるような展開にできると有利そうです。また下がる相手のタックルはそのテイクダウンディフェンス力の高さを見せ逆に相手を消耗させそう。一方でそのファイトスタイルから距離が遠くなると厳しそう。フライ級ではサイズが大きい平良相手にはいかに近づいて戦うかがポイントになりそうです。

Tatsuro Tairaについて

スペック

年齢:24
身長:170
リーチ:178
スタンス:オーソドックス

戦績

15-0-0
勝利内訳
・KO:4
・一本:7
・判定:4
敗北内訳
・KO:0
・一本:0
・判定:0
直近戦績
Win - Hernandez
Win - Chairez
Win - Aguilar
ファイター印象
>男女合わせ可愛げはPFP No1のファイター(PFP No2はレベツキさん)。打投極そろったシン・修斗の体現者。

SWOT分析

強み:サイズとリーチ、右ストレート、グラップリングスキル
弱み:テイクダウンディフェンス、若干ピンチを招きがちな試合展開、経験の浅さ
機会:無敗であること、リーチ差で打撃戦が有利、寝かせればグラップリングで圧倒的できる可能性
脅威:経験値/対戦相手のレベル差、カーフキック、テイクダウンを切られ消耗すると危険

コメント

 15戦無敗。沖縄が産んだ期待のスーパープロスペクトです。まだ24の平良は特別なバックグラウンドを持たず、"MMA"から競技始めたファイターです。
 最大の強みは圧倒的なグラップリング支配力。寝かせた相手をトップポジション、またはバックコントロールで制圧します。まだ若く、経験が浅い選手ではありますが有利なグラウンドでも決して雑に攻めることはなく冷静にパスし、着実に有利な展開に手を進めていきます。ヒジ・パウンドで相手を削り、最終的には一本を取るというのが最も理想的な展開のようです。UFCで5戦しており、相手が格下ということもありますが、全試合で寝かせて支配する展開を見せています。
 打撃についてはまだ成長の途中にあるとは思えるものの、その長いリーチから小さなモーションで繰り出される右ストレートは確かな威力があり、直近のヘルナンデス戦ではその強烈な一撃から相手をKOフィニッシュする圧巻のパフォーマンスを見せました。また、前足でロー、ミドルと蹴ることができ、オーソドックスタンスで前に出てくるペレス相手にこの蹴りをうまく使うことができればスタンドを有利に運べるかもです。
 すらっとした体型でサイズが大きい平良、リーチは長くともやはり北米の選手と比べると体の厚みで見劣りがします。相手の打撃プレッシャーを受けた際にややバランスを崩す場面が見られ、この点がよりレベルの高い上位層と戦う際に不安な点です。これまでは圧倒的に格下の対戦相手に対し一方的な展開を見せつけている点が幻想を描かせる一方で不安点でもあります。また、グラップリング圧倒的であるものの、テイクダウン力についてはまだ疑問符がつきます。頭を相手の体の外に出して胴タックル、そこから寝かせるかバックをとることを得意にしますが、頭を抱えられるケースが散見されます。また寝かせられない展開になった際、その経験の浅さからどのようなリアクションになるのかまだわかりません。

試合内容について

勝者予測

 勝者予測はどちらかと言えば期待も込めて平良です。判定にはいかない予想ですが逆にいうとKOまたは一本取れない展開は平良にとって厳しい試合内容になることを想定しています。

予測/考察

 この試合は絶対に寝かされたくないペレスと基本的には寝かせて仕留めたい平良という構図の試合になると考えます。スタンドの戦いではそのリーチ差も相まって、近づいて打撃戦をしたいのがペレス、近距離の打撃交換リスクが高いのが平良。とお互い近づきたいけど近づきたくない。というようなやや慎重な打撃戦の試合になるのではないかと見ています。特に平良にとってはキャリア最強の相手(しかもこれまでの相手とは比較にならないほどの)と言っても過言ではなく、これまで自分がやってきた戦い方=タックルから組み伏せて支配する戦い方がすんなり通用しないケースも頭の片隅おきながら戦う必要があるのでは?
 平良にとってベストな展開は離れた距離ではロー/カーフに警戒しつつ相手の打撃レンジの外側から打撃のプレッシャーで下げさせる。相手の前に出ての打撃はシャットダウンしケージ側でタックル。または相手が耐えきれず大ぶりのパンチを振ってきた所をカウンターで組み付くのが良いのでは?テイクダウンディフェンスに優れるペレスに単純なタックルで攻めるのは厳しいかもしれませんがタイミングが合えばしっかり寝かせる、またはバックにつくことが出るのではないかと考えます。そこからはいつも通りの平良の試合。仕留められなくとも相手を支配して削ることができれば自ずと勝利の機会が近づくのではないかと思います。
 一方で悪い展開としてはペレスに下げられる展開。下げされられて致し方なく組み付くようなタックルではスプロールされて組み伏せられる、または首を取られる展開が心配。そしてそれ以上に疲弊して打撃を被弾することが心配です。
 そんなプレッシャーを避ける展開には得意の前足での蹴り技、そして右ストレートのプレッシャーを活かすことが必要なのではないかと考えます。外側を取る動きを取るペレス。平良にとっては、特に前足での蹴り技で相手のその動きを止めることがキーになるのではないかと予想します。当然平良の狙いはテイクダウン〜グラップリングですが、ペレスの動きを蹴り技で止めて右ストレートの一撃で仕留めるようなことができれば最高です。
 レスリングバックボーンでテイクダウンディフェンスが強いペレスはこれまでの平良の相手にはいなかったスタイルかつ実績のある強敵ですが、そんな相手も関係なしに圧倒する。そんな強さを見せてくれる事、平良には期待したいです。

終わりに

 本大会はほぼ軽量級だけで構成されたやや珍しい構成。RTUの定期開催も相まってアジア圏の軽量級選手で構成されるこのような大会ももしかしたら増えるかもです。そうなれば日本人選手にも契約のチャンスが出てくるのでは?と前向きに期待が膨らみます。日本人選手が増え、活躍できれば再びの日本大会開催も可能性があるのかも。そんな未来絵図を実現させるためにも平良には今回の試練を乗り越えチャンスを掴んでほしいところ。期待してます!! 

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