プレビュー#8 Marlon Moraes vs. Yadong Song
現在最高のバンタム級アジア人ファイターは??
堀口恭司でしょうか?ペティス弟に勝利していれば間違いなくその座を得ていたと思います。若松佑弥がONE王者になればアジア人最強の座を得るかもしれません。ただ、UFCが世界最高峰の舞台であると仮定すると、そこで活躍するソン・ヤドンが最強のアジア人バンタム級ファイターと、今は言わざる得ないのではないでしょうか?
そんなヤドンがトップテンランカーを狙いマルロン・モラエスに挑みます。この一戦を今回はテーマに挙げていきたいと思います。
お目々汚しではございますが良ければご覧ください。
総論:モラエスが持ちこたえるか、ヤドンがライジングするか?
モラエスは元WSOF王者、UFCでも鬼のフィニッシュ力を見せつけUFC王座戦にもたどり着きました。しかし直近は3連続フィニッシュ負け。持ちこたえることができるのか…
対するヤドンは前回印象的なKO勝利手にし、この戦いに挑みます。モラエス相手にインパクトのある勝利を挙げれば一気にライジングする可能性があります。特にUFCが投資する中国の選手。モラエスに対して正直相性も良いでしょう。…絶妙なマッチメイクだなぁ~と言わざるを得ません。
スペック比較:若いアジア人vsベテラン・ブラジリアン
モラエス vs ヤドン
国籍:ブラジル vs 中国
ランキング:10 vs 14
年齢:33 vs 24
身長:168 vs 173
リーチ:169 vs 170
スタンス:オーソドックス vs オーソドックス
若い中国人ファイターと落ち目とみられても仕方ないベテラン上位ランカーのマッチアップです。前者の勝利はあとから振り返るとターニングポイントになった。と見れる戦いになるやもしれません。
実績比較:浮かび上がるお互いの相性
モラエス vs ヤドン
23-9-0 vs 18-5-1
<勝利>
KO 10 vs 7
SUB 6 vs 3
DEC 7 vs 8
<敗北>
KO 6 vs 1
SUB 2 vs 0
DEC 1 vs 3
<直近戦績>
モラエス
Merab Dvalishvili:LOSE KO
Rob Font:LOSE KO
Cory Sandhagen:LOSE KO
ヤドン
Julio Arce:WIN KO
Casey Kenney:WIN DEC
Kyler Phillips:LOSE DEC
お互いKOが多い選手です。敗北の内訳、直近戦績がかなり印象的です。モラエスは6つのKO負けの内、半分の3回を直近3戦連続で受けてしまっています。ヤドンはKO負けは少なく、直近の戦績は尻上がりと調子を上げてきています。また7つのKO勝利を挙げています。この戦績を見るだけでもどちらが勝ちそうかぼんやり見えてきそうです。
スタイル比較:基本はストライカーの二人
モラエス
概略:ムエタイストライカーです。
特徴:ストライキングが非常に素晴らしいのはもちろんですが、さらに柔術黒帯の実績も持っています。
打撃:一撃で切って落とすような打撃の破壊力があります。相手が見えていない打撃を見せます。スピード・キレがすごい。遠い距離からはローキック、ロングの左フックで入って行ったり、バックスピンキックを見せます。見合った展開から超速のスイッチハイキックを見せます。打ち合いで早いパンチを見せますが、ガードががら空きになっていることもあり危ないように見えます。加齢とKO負けによりスピード/反応が落ちているかもしれません。
組技:積極的に組むわけではないですが相手によってTDを見せることがあります。
寝技:割と積極的にパスするタイプに見えます。
極め:どちらかというとチャンスがあれば積極的に首系で一本を狙うように見えます。
ガス:2Rには落ち始めるように思います。スタミナの消費とともにスピード、反応が落ち、強みが一気に失われるように思います。最大の問題です。
ヤドン
概略:まさにチームアルファメールのファイター。です。ボクシング+キック。
特徴:何かが素晴らしく優れる。というようには思わないのですが愚直に戦えるタイプに思います。どちらかというとスロースターターのようです。
打撃:基本はボクシングのようです。距離をしっかりコントロールしているようで、相手が出てくると下がり、またしっかり前に出る。ハンドスピードが速く近距離の打ち合いも上等のようです。フィジカル/バランスも優れるようで蹴り→即パンチ、バックスピンフィスト/キックなどトリッキーな打撃も見せます。
組技:自分から組むというよりもしっかりと組を切る事に重きを置いているように思います。組まれても安定感はあります。
寝技:あまり印象はありません。
極め:こちらもあまり印象がありません。
ガス:Rが進むと手が下がる、TDされやすくなるなど疲れによる課題は見えますが、それでも前に出続ける根性がみられます。
戦略比較:強みはっきりモラエスと強みがぼんやりヤドン
モラエス
高い攻撃力・スピード・反応を背景に相手を早期で仕留める戦略に思います。中央で構え、遠い距離では蹴りでコントロール、相手が出てくればカウンター、しっかり見る展開では相手の反応を上回る、より速いスピードで切って落とすような戦い方に見えます。一方でスタミナに問題があるようでRが進むと強みが半減してしまうため注意が必要です。
ヤドン
しっかし動いて打撃を当てる。必要な分前後に動いて距離をコントロールしてTDはしっかり切る。と、ザ・アルファメールという戦略に感じます。決めてがない。というようにも見えます。しっかり戦って、しっかり勝つという戦略でしょうか?戦略があるというより、結果的に勝っている。というようにも見えます。逆にとらえると、自分より運動量が多い、動きな豊富な選手にはしっかり負ける。というようにも思えます。
戦術予測:モラエス勝利への道
オッズは
モラエス:+195
ヤドン :ー240
モラエスがしっかりアンダードッグです。UFCで初めてアンダードッグになります。スペック、直近の戦績、スタイル、相性踏まえ、致し方ない…と言わざる得ないですね。しかし、早いRのモラエスは非常に危険です。また、用いる戦術によっては勝利の方策があるのでは?
アンダードッグ側、モラエスが勝利するための分析を進めたいと思います。
SWOT分析
Strength(強み)
・KOパワー、スピード、反応(ただし序盤)
・蹴りのテクニック、バリエーション
Weakness(弱み)
・スタミナ
・打撃被弾の傾向
Opportunity(機会)
・蹴りの距離の攻防
・スロースターターの相手に対して序盤の攻防
・寝技の展開
Threat(脅威)
・打ち合い、相手のハンドスピード/プレッシャーが危険?
・相手のトリッキーな打撃
・後半Rに進んだ場合の攻防
上記分析からモラエス勝利への戦術を検討します。
戦術結論:蹴りの距離で相手を削る。相手が手が出しにくい、焦れる展開を作る。見合う展開で相手の反応できない強打を当てKO。
プロップを見るとヤドンの1RKOが支持されているようです。直近戦績から見てもその可能性が高いと判断せざる得ません。モラエスとしては早期KOをさせる必要があると思います。
そのためには、、、
相手と撃ち合わない、パンチの距離で戦うことを避ける、スピードと反応に頼らずガードを上げておく。ことがまず必要だと思います。優位な点として蹴りのテクニックは間違いなく上回っていると考えますので多彩な蹴りで距離とペースのコントロールが有効と考えます。左右のロー、ミドルで相手を削り、手が出ない見合う状態になれば超速のハイキック一閃でKOできるかもしれません。最も望ましい展開です。
ただし、タフそうなヤドンですからこの望ましい展開が厳しいかもしれません。蹴りで削り続ける展開を3R続けられれば勝利できるかもしれませんが、ガスと疲れによる反応の低下、さらにはR進むごとにゴリゴリ前に出るヤドンが脅威ではあります。後半に進むにつれTDの選択肢が有効かもです。
とは言え打撃でパンチの交換をやっちゃいそうな気がしています。そうなると衝撃KOを見せるか、KOされてしまうかは50/50、よりもヤドン寄りの試合にな予感です。
ヤドンのキャリアにとってハイライトリールになるようなシーンが見れるのであればそれはそれで興味深いです。
終わりに:今興行はペレイラにも要注目
UFC Fight Night: Santos vs. Ankalaevではテーマに挙げたモラエスvsヤドン以外にも興味深いカードとして"アデサニヤをKOした男"ペレイラのUFC2戦目が挙げられます。UFC1戦目ではやや苦戦しつつも飛び膝で逆転のKO勝利を上げました。今回、進化を見せるのか興味大です。
では、続きは試合後のレビューにて…
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