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障全協2022公開講座        特別報告                       駅無人化反対裁判への支援を!                  

3月5日の「JR駅の無人化に反対する市民集会」の報告。

 徳田弁護士は、JR九州による今回の駅無人化拡大について、「無人駅を拡大しても赤字は解消できず、無人化拡大は無限に続いて、赤字路線の廃止、第3セクター化か民営化、あるいはバスに転換されることになりかねない」と批判。
 さらに、県内18市町村長が「受け入れがたい」として丁寧な説明を要望したことをJR九州が無視したことを取り上げ、もはや地域住民全体と県内の各市町村にとって「駅とは何か」「鉄道とは何か」が問われていると指摘し、「一人ひとりの住民のためのJR、住民のための駅を取り戻すために、JR駅無人化反対訴訟に勝つことが決定的に重要になってくる」と訴えました。
 竹田市・別府市・杵築市は、市長会・町村会として連名で「駅無人化等の変更は受け入れがたい」という要望書をJR九州に提出したことを紹介しました。
 大分市議の松下さんは、この要望書をJR九州が無視する報道発表したことを強く抗議しました。
 木村英子参議院議員は、自身を含めた障がい者の取り組みによって駅が利用しやすくなってきた歴史を紹介しました。
 吉田ただとも参議院議員は「駅の無人化や販売窓口の廃止、販売や改札時間の短縮は、公共交通を担うJR九州の責任放棄であり大問題」と指摘しました。
 賛同団体からは、JR九州の無人化拡大に対して、障大協の「裁判を無視して全九州に広げることに反対です」、など批判する意見が出されました。
 原告の吉田春美さんは「駅無人化反対の裁判を勝ち抜くためこれからも元気に楽しく生き続けたい」、
 原告の宮西きみよさんからは、「JR九州の態度に怒りを通り越して悲しいが、移動する権利を奪われないためにたたかう」という強い思いを伝えました。
 視覚障がいのある群馬県の新楽さんは、「人生の中で2度ホームから転落しました。群馬県内にある赤城駅と埼玉の大宮駅です。いずれも駅員さんが私の命を救ってくれました。駅員さんの存在は私達視覚障害者の命をつなぐ、掛け替えのない存在です」というメッセージを届けてくれました。
 盲導犬協会の釘宮さんは「JRが大好きでほんとによく利用するが、帰ったときに『よかった。私は今日も無事だった』と訴えました。
 「近くの駅を利用して、一人で日本の各地に行きたい」という障がい当事者の思い。
 「JR九州は駅のトイレを廃止、券売機を撤去、乗降の安全確認もなくなるなど徹底した合理化を進めている」というJRユニオンの代表。
 「JRはホームの階段について地域と相談することなく『線路に踏切を付ける』と言ってきた。」という地域の声。
 「地域の人たちとバリアフリー化を進めた、ひじまちの、ようこくえきが、無人化されると、利用をあきらめる人が出てくる」と、あっとほぅむぷれいすの川野さんの声も伝えられました。
 最後にひらの・つくる会共同代表は、「JRが駅から駅員をなくすことは、合理的配慮に重要な影響を及ぼす。問われているのは公共性。これからもJR九州の姿勢を検証し、問題を指摘していきたい」と今後の取り組みを提起し、会場とオンラインの拍手で確認されました。

4月28日には口頭弁論に代わって吉田春美さんの証拠保全手続きの主尋問が非公開で行われました。

 吉田さんは現在、ステージ4のがんの入院治療を受けていますが、徳田弁護士、平松弁護士のヘルパーの介助なしには1にちも生きられないという状態にいる自分を不幸だと思ったことは?との、問いかけに、「一度もありません」、外出するということの意味は?との問いかけには、「生きている喜びを周りの人に知ってほしいです」などと答えました。

5月18日につくる会、20日に弁護団会議が行われました。

 裁判官3名全員が入れ替わることが報告されました。
 このため、7月7日(木)に開かれることになった第6回口頭弁論がとても大切な場になります。
 裁判では今、弁護団によって、JR九州が税金による3877億円の経営安定基金によって赤字を実質的に解消していながら、鉄道部門の赤字を強調して利用者や自治体に負担を押しつけ、その一方で株主には毎年140億円の配当を続けていることが明らかにされています。
 公共交通機関としての役割を放棄して営利企業としての姿勢をますます強めるJR九州に歯止めをかけて、公共性を取り戻して公共交通を守ることができるのかどうか―この裁判は、障がいがある人だけでなく地域にとっても、ますます重要なものになっています。
 7月7日の口頭弁論で原告と弁護団は、裁判の意義や原告の思いとJR九州の問題点を新たな裁判官に伝えることに全力をあげます。
 口頭弁論にみんなで参加することに加えて、まわりの人たちや協力団体や事業所、地域などにより広く呼びかけることなどを話し合っていきます。
 1年9ヶ月にわたって一緒に取り組んで来たJR駅無人化反対訴訟が最大の山場を迎えています。
 
 

第6回口頭弁論が7月7日(木)に行われることに。
この口頭弁論はJR駅無人化反対訴訟にとって非常に重要な場。

 「公共交通を安心して安全に利用するためには人の支えが不可欠」という思いから出発した裁判は、JR九州の障がいへの無理解やJR九州が単なる民間企業ではなく公共交通を維持する責任がある企業であることなどを明らかにしてきました。
 しかし現実は、駅の無人化、窓口の廃止、自治体への負担増などが進んでいます。
 “地域の足”としてのJR九州を守るためにも裁判の意義は大きくなるばかりです。

JR駅無人化反対訴訟の今の状況と課題について。徳田弁護士より。

 今後の新たな展開として、JR九州が無人化や窓口の廃止を拡大していることに対して第2次の提訴に取り組んでいくことを確認しました。
 原告の吉田春美さんは、短く「いのちがけ」という言葉を徳田弁護士に伝えたそうです。
 吉田さんが6月12日に臼杵市に里帰りしたこと、痛みや熱の上下はあるが、尋問には意欲満々というお話がありました。

(6月21日)の非公開反対尋問。(証拠保全手続き) 報告。

 吉田春美さんは病院からJR九州側の反対尋問に臨むため大分地方裁判所に出廷しました。
 しかし、体調が思わしくなく、尋問は延期されました。
 裁判で伝えたいという思いはあふれており、文字盤を使って話そうとしましたが、口で動かす棒を思うように動かせなかったそうです。
 それでも支援の人たちにも笑顔を見せてくれるなど、気持ちの強さとやさしさを感じさせてくれました。

7月7日。 第6回口頭弁論。報告。

 多くの皆様が傍聴するなか、新たな裁判長・裁判官に対して原告と弁護団の意見陳述が行われました。
 原告の宮西きみよさんは、「駅員さんがいなくなって予約が必要になり、自由な移動の権利を奪われた。公共交通機関であるべきJRが時代に逆行して、交通弱者を切り捨てている」と、裁判が行われているなかで無人化や窓口廃止を拡大するJR九州のあり方を批判しました。
 森脇弁護士は「障がいを有する方々の『移動の権利』は、憲法によって保障された極めて重要な権利」と判例を踏まえて主張しました。
 松尾弁護士は「JR九州は3877億円の税金と多くの優遇を受け、国会で『不採算部門を切り捨てない』『安全性を第一にする』と約束している。責任を持って約束を守るべき」と弁論しました。

報告会には約60人を超える人が参加。
 徳田弁護士は「多くの方が参加してくださったことで、この裁判が障がい者と身近にいる人たちにとってどんなに大事な裁判かを新たな裁判官に伝えることができた」と意義を話しました。
 原告の 吉田春美さんは。
 現在は、痛みを抑えるための治療を受けており、その影響もあって口にくわえて文字盤を指す棒のコントロールが難しいため、意思疎通が困難な状況にあります。
 報告会にはオンラインでつないで病院のベッドの上で報告を聞き、会場の参加者と顔合わせを行いました。
 発言はできませんでしたが、気持ちがつながる時間だったと思います。    
 東京から駆けつけた視覚障がい者の鷹林さんは、「視覚障がい者は月に数人がホームから転落している」というデータを紹介し、命に関わる問題として東京でも駅無人化反対の取り組みを行っていることを伝えました。

次回口頭弁論は9月29日16時から行われます。

裁判を支援するための署名を実施中です。

 7月7日に大分地裁に提出した署名は5153ひつです。
 昨年5月13日に39536ひつ提出していますので、合わせて44689ひつになります。
 署名活動は継続して行いますので、ご協力をお願いいたします。
 報告を終わります。
         ・・・・大林正孝(JR駅無人化反対訴訟を支援する会 )

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