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権利を勝ち取る訴訟報告。      駅無人化反対裁判への支援を!。

第56回障害者の生活と権利を守るオンライン全国集会・中央行動。

権利を勝ち取る訴訟報告。
駅無人化反対裁判への支援を!。


・・・大林正孝(JR駅無人化反対訴訟を支援する会 )。

 

7月7日。 第6回口頭弁論。報告。


 多くの皆様が傍聴するなか、新たな裁判長・裁判官に対して原告と弁護団の意見陳述が行われました。

 原告の宮西きみよさんは、「駅員さんがいなくなって予約が必要になり、自由な移動の権利を奪われた。公共交通機関であるべきJRが時代に逆行して、交通弱者を切り捨てている」と、裁判が行われているなかで無人化や窓口廃止を拡大するJR九州のあり方を批判しました。

 森脇弁護士は「障がいを有する方々の『移動の権利』は、憲法によって保障された極めて重要な権利」と判例を踏まえて主張しました。

 松尾弁護士は「JR九州は3877億円の税金と多くの優遇を受け、国会で『不採算部門を切り捨てない』『安全性を第一にする』と約束している。責任を持って約束を守るべき」と弁論しました。

 報告会には約60人を超える人が参加。
 徳田弁護士は「多くの方が参加してくださったことで、この裁判が障がい者と身近にいる人たちにとってどんなに大事な裁判かを新たな裁判官に伝えることができた」と意義を話しました。
 
 東京から駆けつけた視覚障がい者の鷹林さんは、「視覚障がい者は月に数人がホームから転落している」というデータを紹介し、命に関わる問題として東京でも駅無人化反対の取り組みを行っていることを伝えました。

吉田春美さんの遺志を受け継いで。


 9月14日、原告の中心的な存在だった吉田春美さんががんで亡くなりました。享年69歳でした。吉田さんが私たちに残した最後の言葉は「み・ん・な」でした。その後は文字盤の文字を指すことができませんでしたが、吉田さんの思いはみんなの思いになっています。私たちは、JRに乗ることが大好きだった吉田さんの思いを受け継いで、原告・弁護団の皆さんを先頭に「みんなのためのJR」を実現するために、裁判の勝利をめざして頑張り抜きたいと思います。

 

9月15日に第2次提訴を行いました。


徳田弁護士、平松弁護士、新たに原告になる福山陽子さんらが大分地方裁判所を訪れて訴状を提出しました。新たに原告になったのは大分市、別府市、日出町に在住し車椅子を使用して生活をしている3名です。

 訴状では、今年3月12日にJR九州が駅の無人化を拡大したために事前の予約が必要になり、自由にJRを利用することができなくなったことから、駅無人化が障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」の不提供にあたると主張しています。

 提訴後の記者説明で徳田弁護士は、「鉄道部門は赤字と言いながら、全体では数百億の利益を上げ、高額の配当を続けていることが明らかになった。それにもかかわらず無人化の範囲を広げた」とJR九州の姿勢を批判しました。
 原告の福山さんは「JRに乗るといろんな人に出会え、お話しできるので大好きです。駅が無人化されると出かけにくくなり、行動範囲が狭まってしまうので無人化にはしてほしくないなと思います。いろんな方がJRを使いやすくなるようにしてほしい」と話しました。

 

第7回口頭弁論は9月29日に大分地方裁判所で行われました。


 徳田弁護士は、JR九州が「公的に多額の援助を受けている」ことを認めたことを指摘し、「バブル崩壊により減収したという反論にもかかわらず赤字補填額を上回る運用収益を上げてきた」ことを示して、「被告の反論は意味をなしていない」と主張しました。

 さらにJR九州が上場後も莫大な利益を計上して「高額な株主に対する配当(今年度146億円の予定)を行い、役員報酬も3億7900万円支払われている」ことを指摘しました。

  また、JR九州が提出した国土交通省資料に記載されている「不採算路線も含めた鉄道ネットワークの維持と、サービスの向上、バリアフリー化の推進、防災対策の強化の鉄道ネットワークの更なる発展を進めていく。また、鉄道事業者にとって最も重視されるべきは、安全性の確保である。」という記述について、

 徳田弁護士は「この記述は原告らが主張してきた内容そのもの」であり、「駅無人化は、障がいを有するものにとっては、鉄道ネットワークの廃止や縮小であり、また、安全の低下です」と主張しました。

 続いて、JR九州から「無人駅を利用するお客様に対して安全性と利便性を考慮した対応を行っている」として、「拠点駅となる箇所から係員が無人駅に赴き、お手伝いが必要なお客様の対応を行うことは『不当な差別的取り扱い』ではなく、『合理的配慮』としても十分である」と主張しました。

 終了後、徳田弁護士は「JRは社員の減少を理由に挙げたが、応募がないのではなくJRが社員を減らしてきただけ。人を減らし無人駅を大幅に増やすと当日の急な対応はますます難しくなる」など、JR九州の主張の矛盾を指摘し、「亡くなった吉田春美さんの遺志を継いでこれからもっと頑張ろう」と呼びかけました。

 なお、第8回口頭弁論は2022年12月28日(水曜日)に決まりました。

  日時 12月28日(水)午前11時から
  場所 大分地方裁判所
  (当日は入廷行動を9時50分から行う予定です。傍聴券の配布は10時頃からと想定しています。確定しましたら再度ご案内いたします)

 今回の口頭弁論では、9月15日に行った第2次提訴が併合されて、訴状の陳述と新原告による意見陳述が行われる予定です。
 「駅が無人化されると利用が困難になる」「安心して乗れなくなる」という声を無視し、鉄道部門の赤字を強調してさらに“効率化”(駅無人化拡大、自治体への負担転嫁等)を押しつけてくるJR九州に対して、公共交通の要としての役割を果たすよう主張していく場になります。
 ぜひご参加ください。
 

障大協。九州運輸局への令和5年度。交通権保障に関する要望書。


JR九州は、私たちの声を聞いてほしい。
1.障がい者や高齢者などの交通弱者が公共交通機関を安心して利用するためにはやはり人の支えが不可欠。無人駅に駅員を常駐してほしい。
 2.JRが大好きでほんとによく利用するが、帰ったときに『よかった。私は今日も無事だった』と思う。駅員さんがいてもそうなのにいなくなったらどうなるでしょう 。無人駅に駅員さんを常駐して誘導してほしい。(視覚障がい)
 3.JR九州は駅のトイレを廃止、券売機を撤去、乗降の安全確認もなくなるなど徹底した合理化を進めている。無人駅に社員を常駐してトイレ、券売機を存続してほしい。
 4.地域として意見を聞かせてもらおうとしたが、JRさんは我々の前に出てこない。出てこられ意見を聞いてほしい。

 7月7日に大分地裁に提出した署名は5153ひつです。
 昨年と、合わせて44689ひつになります。

 

署名活動は継続して行いますので、ご協力をお願いいたします。


 報告を終わります。

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