そろそろ「シーザリオ一族」と呼ばれる時期に来ている

すっかりnoteでの競馬記事もご無沙汰になりました。

21世紀の日本競馬は、兎にも角にも牝馬が強い時代です。
世界を見回してもエネイブルやウィンクス等の牝馬が顕著な活躍をしてきました。
牝馬が牡馬に負けずに活躍しているのは、各々の馬の適性を的確に判断するよう努めてきた関係者の尽力も大きいでしょう。
先日行われたG1天皇賞(秋)で、アーモンドアイが日本競馬史上初となる芝コースのG1レース8勝目を挙げましたが、父が短距離で活躍したロードカナロアでありながら、母のフサイチパンドラから受け継がれたスタミナによって、1600mから2400mの距離にも対応できることも、大偉業を果たす原動力になったのかもしれません。
牝馬がレースで活躍し、繁殖に上がってからも、その仔たちが活躍して繁殖入りし、そこから子孫の代へと繋がって血統を後世に残していくという循環こそ、競馬の醍醐味のひとつなのです。

21世紀の日本に生まれ、母親としても顕著な活躍をしている牝馬の代表格といえば、シーザリオを連想する者も多いでしょう。
2002年に父のスペシャルウィーク、母のキロフプリミエールの仔としてノーザンファームで生まれたシーザリオは、2005年に日本とアメリカのオークスを優勝する活躍を見せ、故障で早々に引退し、ノーザンファームに帰って繁殖入りします。
そこから母親としての大活躍が始まっていきます。

​2010年にシンボリクリスエスとの間に3番仔として生まれたエピファネイアは、2013年にG1菊花賞、2014年にG1ジャパンカップを優勝するなど、主にスタミナが問われる長い距離で活躍しました。
種牡馬入りしてからは、今年2020年に無敗で牝馬3冠を達成したデアリングタクトを輩出しています。

2013年にキングカメハメハとの間に生まれたリオンディーズは、2015年にキャリア2走目ながらG1朝日杯フューチュリティステークスを優勝します。
G1制覇はこのひとつだけとなりましたが、種牡馬入りして2018年生まれの世代が初年度産駒として続々デビューしています。

2016年にロードカナロアとの間に生まれたサートゥルナーリアは、2018年にG1ホープフルステークス、2019年にG1皐月賞を無敗で優勝しました。

また、2011年に4番仔として生まれたロザリンドは、今年2020年にG2青葉賞とG2アルゼンチン共和国杯を優勝したオーソリティ(父オルフェーヴル)を産んでいます。

こうして書いていくと、シーザリオが繁殖牝馬としても顕著な活躍をしていることが改めてよくわかりますね。

日本競馬において、優秀な牝系(ファミリーライン)を「〇〇一族」と呼ぶことがあります。
代表的なものとして例示すると、
・ハギノトップレディに代表される「華麗なる一族」
・ローザネイから連なり、馬名に薔薇に因んだ名称が付けられることが多い「薔薇一族」
・スカーレットインクから連なり、ダイワメジャーやダイワスカーレットの兄妹やヴァーミリアン等へと派生していく「スカーレット一族」
・1986年のオークス馬のダイナカールから連なり、エアグルーヴやその仔のアドマイヤグルーヴにルーラーシップ、更にはドゥラメンテへと派生していく「ダイナカール一族」または「エアグルーヴ一族」

いずれも錚々たる一族ばかりですね。
(※エアグルーヴの血脈については、以前にnoteで記事にしています)

最近わたしは、今後数年もしない内にそろそろ「シーザリオ一族」と呼ばれる時が必ず来るだろうと思うようになりました。
そう呼ばれるに相応しいと思われるためにも、シーザリオの仔たちが今後も一層活躍してくれることを願わずにいられません。

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