見守りロボはいつでも安心

「いや、クリスマスいや!」
スーパーの通路で息子がしゃがみ込んでいる。
「今それ買うならクリスマスにサンタさん来ません!」
「サンタさんいや!」
「約束したでしょ、ヤクルト買うならお菓子買いません」
「ヤクルトいや!」
その場にいても埒があかないのが今は画面越しだからどうにもできない。

昼過ぎに娘の「明日これいる」が発動し、妻も私も無理だから仕方なく見守りロボを買い物に出した。必然的に息子も外に出ることになる。一緒に買い物モードがあるから油断してスーパーで他の用事も指示してしまったのが過ちで、ロボットから緊急連絡があって職場で泡を食って接続したら息子が駄々をこねていた。

「きょうちゃん、それ、置きます!」
フロア全体が聞いているのがわかるけれど画面がデスクに固定だから外に出られない。そうだ、映像流して気を逸らしてその間にロボにお菓子取り上げさせよう。映像は…。
「桐谷くん」
「はいっ!」
部長に声をかけられて跳び上がった瞬間にヘッドセットが外れた。

「『そうだ嬉しいんだ生きる喜び』」
「いや、いや!」
「桐谷くん」
「ロボ音止めて!」
「オンセイ ニンショウ デキマセン」
「いや!」
「ああああこれで」
「マイク ニンショウ シマシタ」
「桐谷くん」
「オンセイ ニンショウ デキマセン」
「ちょっとすいません静かに」

音声が認証されアンパンマンが飛び息子がポカンとしロボがお菓子を取り上げしかし間違えてカートに入れてしまいどうしようもないからレジに進ませた。
「桐谷くん」
「すいませんでした」
息子はケロッとしてロボと歩いている。通信を終了するコマンドを出した。
「コンカイノ パフォーマンス ハ イカガ デシタカ?」

carry/運ぶ

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