蝙蝠の嘘
鳥と動物との戦争があった。
「おい、蝙蝠」
「なんでしょう」
「お前、鳥の大将の鳳凰と一緒にいたな。鳳凰の居場所を言え。言わないとどうなるか、わかってるな」
「鳳凰の居場所? 知りません」
「噓を吐くな」
「嘘じゃありません、第一、私は鳥じゃなくて動物です。こんなに毛が生えてるんですから」
「おい、蝙蝠」
「なんでしょう」
「お前、動物の大将の獅子と一緒にいたな。獅子の居場所を言え。言わないとどうなるか、わかってるな」
「獅子の居場所? 知りません」
「嘘を吐くな」
「嘘じゃありません、第一、私は動物じゃなくて鳥です。ほら、ここにちゃんと羽が生えているじゃありませんか」
鳥と動物の戦争を止めさせるために、神様は鳥たちと動物たちとを集めた。しかし、鳳凰も獅子もその場に来なかった。
「蝙蝠よ」
「なんでしょう」
「お前、鳳凰の居場所も獅子の居場所も知ってるね。教えなさい」
「どっちの居場所も知りません。私は鳥でも動物でもありませんから」
神様はため息を吐いた。
「蝙蝠よ。私はあれらの居場所は分からないけれど、お前が嘘を吐いていることはわかるのだよ。お前は鳥にも動物にも嘘を吐いたね。これで3度目だ。今に後悔するよ」
蝙蝠は一瞬躊躇した。他の鳥も動物たちもみんな蝙蝠を見ている。
「いえ、私は、わかりません、知りません」
「そうか。帰りなさい」
「それで、蝙蝠は他の鳥も動物も寝ている夜にしか出てこられなくなったのだよ」
「神様がなんでもおできになるのなら、なんで蝙蝠の心を良くしなかったの?」
「それはできないんだよ」
それができないということの意味がわからなかった。今はそれができないことも、神様がいないことも、わかる。辛い。
third/3度目の
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