車違い
仕事が思ったより遅くまでかかり、宿までの足が無くなってしまった。こちらは車で来るわけにいかなかった現場だし、なのに今いるのは一家に一台ではなく一人に一台持たないと二進も三進も行かないところだから困っていたら、そこの内の一台を貸してくれることになって、ありがたい。
Google Mapsによると宿から現場までは38分あるらしい。深夜運転するのだから気をつけなければ、と思いながら車の鍵を渡された。
「車わかりますか?」
「いえ、どれでしょう」
「あっこの奥にあるヴェルファイアです」
「え? 大丈夫ですか?」
「明日まず軽の方を使わないといけないんで、すいませんけど」
と言って行ってしまった。こんなでかい車初めてなので戸惑う。暗くて手元が見えないから鍵のボタンを闇雲に押してどうにか扉が開いたと思ったらまだ閉まっているのを繰り返してからようやく乗り込んだ。サイドブレーキがない。足元…のどこだ。ラパンなら大丈夫なのに。勝手が違うのは大変だ。
matey/相棒の
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