AKQゲームでポーカーを理解する
みなさんこんにちは、自分のブラフキャッチとブラフベットはどちらも失敗して相手にチップを貢ぐきつまるです。
最近2-7SD(※1)を勉強してた時、改めて表題のAKQゲームの理解が必要だなと感じて、本記事を書くことにしました。
2-7SDに限ったことではなくポーカーというゲーム全般に通用することですので、もし初めて聞くとか、聞いたことあるけどうろ覚えだったという方は、ぜひブレイク中の暇つぶしにでも読んでみてください。
※1:mixゲームの1種です。2-7SDに関しての記事はまた書きたいと思います。
AKQゲームとは
AKQゲームとは、ポーカーの本質をかなりついてるゲームです。これを学ぶとかなりポーカーの理解度も深まるし、プレイの改善にも繋がると思います。
ルール説明
AKQゲームのルールを説明します。みなさんも一緒に考えながら自分なりの答えを出してみてください。
<ルール>
A、K、Qの3枚だけを使ってHU(ヘッズアップ)で戦います(カードの強さはポーカー同様、A>K>Qです)
お互いAnte1点を払い、それぞれランダムに1枚ずつ配られます(ポット額は2点です)
BB側(OOP)のアクションはチェックコール or チェックフォールドしかできないとします。
BTN側(IP)のアクションはベット or チェックしかできないとします。
この時、読者のみなさんはBTN側(IP)だとすると、どのカードでベットしてどのカードでチェックすることが一番利益的でしょうか?
配られるカードの場合分けをして考えてみましょう。
BTN側でAが配られた時
自分がAを持ってるということは、相手はKかQを持ってるはずなので絶対に勝ってますね。なので絶対ベットした方が良さそうです。
BTN側でKが配られた時
自分がKを持ってるということは、相手はAかQを持ってるはずなので、2回に1回は勝ってますね。なのでたまにベットしてたまにチェックでしょうか。
BTN側でQが配られた時
自分がQを持ってるということは、相手はAかKを持ってるはずなので、絶対に負けてますね。負けがわかってるのでチェックして損失を抑えた方が良さそうですね。
読者の中には、こう考えた方いらっしゃるのではないでしょうか?
きつまるもポーカー始めたての頃は上記のように考えてました。
でも、実際はこれは利益的なプレイではありません!
ではどこが違うのでしょうか。
これはBB側の気持ちになれば答えがわかります。
BB側でAが配られた時
自分がAを持ってるということは、相手はKかQを持ってるはずなので絶対に勝ってますね。なので相手のベットには100%コールします。
BB側でKが配られた時
自分がKを持ってるということは、相手はAかQを持ってるはずなので、2回に1回は勝ってますね。ただ相手のQはチェックしてるので、相手がベットしてきてるのはAですね。つまり相手のベットには負けているので、フォールドします。
BB側でQが配られた時
自分がQを持ってるということは、相手はAかKを持ってるはずなので、絶対に負けてますね。相手のベットにはもちろんフォールドします。
ここでみなさん、上記BTN側のプレイの間違いに気づいたでしょうか?
注目して欲しいのは、BTN側でKを持っている時のアクションです。
BTN側がKの時、たまにベットしてたまにチェックと記載しましたが、この時のBB側のアクションは、Aを持ってる時はコール。Qを持ってる時はフォールドします。
みなさん気がつきましたか?
自分が負けてる時(= BB側がAを持っている時)にはコールをされて、自分が勝っている時(= BB側がQを持っている時)にはフォールドされてしまいます。ただ相手にチップを貢いでるだけです。
こう冷静に見ると意味も持たないやばいベットだと感じてもらえると思うのですが、実践の場ではこのK側でベットをしてるプレイヤーはとても多く見受けられます(偉そうに書いてますが、きつまるもたくさんミスするときがあります)
では正解は何か。
BTN側のKは「100%チェック」が正しいプレイです。
言い換えるならば、BTNのKはSDV(ショーダウンバリュー)があると言います。まさに勝ってる時も負けてる時もありそうな時に、ショーダウンして勝ってる可能性があるからチェックという事になります。
なので、上記例でBTN側のK側のプレイを修正すると
・A持っている時はベット
・K持っている時は100%チェック
・Q持ってる時はチェック
となります。
この時の期待値EVを表にしたらこうなります。
表の見方は、左のBTN(IP)がどのハンドを持っているときに、相手がどのハンドを持っているかによって獲得点数がいくらかを表しています。
例えばKを持ってる時は、相手がAなら最初支払ったAnte1点が-1になりますし、Qの場合は相手のAnte1点が獲得できるので+1になるというような見方です。
あれ…?
これだとEVが±0でただただ平和で終わりますね🕊️
それだと意味ありません。では、BTN側が勝つための利益的なプレイはどうすれば良いのでしょうか。
ブラフベットをする意味
答えは「Qでブラフベットを打つ」です。
絶対負けてるとわかるのになぜ打つのでしょうか…?
それは表にしてみたらわかります。
※BB側のストラテジーは全く同じと考えます。
こうすると、BTN側がQでベットした時に、相手がAの場合はコールされてしまうので最初のAnte1点とベット1点を合わせて-2点となってしまいますが、相手がKの場合は降ろせるので、相手のAnte1点がプラスになります。
そうすると、EV = +1となります。
負けてるとわかってるQでベットすると、もちろんAの時には損失を大きくしてしまうのですが、長期的にみたら利益的なプレイになります。
じゃあ毎回ブラフしたら良いじゃんと思うのですが、もちろんそううまくはいきません。
BTNがQを持ってる時に毎回ブラフすることで利益的なプレイになることをBB側も知ってたら、BB側はどうするでしょうか?
Aは当然コールしますが、Kでもコールを検討しますよね。つまりこれがブラフキャッチです。
もしQの毎回ブラフベット戦略を気付かれて、もしBB側のKが毎回コールしてくると期待値はどうなるでしょうか。
この時、BTN側のAはKにもコールもらえるので+2点になります。しかし、Q側のベットは毎回コールされるので、-2点になります。
そうすると、EV = -1になります。
毎回BB側のK側がコール、つまりブラフキャッチをしてくるとQでブラフ打ち続けたら長期的に期待値マイナスのプレイになります。
BTN側のQは、毎回チェックしすぎても毎回ブラフしすぎてもだめということになります。
じゃあどうすれば良いでしょうか。
最適なブラフ頻度
答えは、
「BB側の相手が毎回Kでフォールドするプレイヤーの時にはBTNのQはブラフベット、毎回Kでコールしてくるプレイヤーの時にはBTNのQはチェック」という戦略をとる。つまり、適切な頻度でブラフする。
となります。
が、実戦では相手がK側でコールするかフォールドするか判断つきませんよねw
では、Qの最適なブラフ頻度はどの程度でしょうか。
結論から言うと、Q側は「3回に1回ブラフベットをする」が最も利益的なプレイになります。
ブラフの最適な頻度は、
ブラフ必要勝率 = リスク/リターン = 1 / (2 + 1) = 1/3
となるので、3回に1回ブラフするが最も最適な頻度であると求まります。
逆に考えると、BB側のKは3回に2回ブラフキャッチする頻度が最適になります。
この場合の期待値を見てみると
となります。
※表の補足
①IPがA、OOPがKの時
期待値 = 2/3(Kのコール頻度) * 2点(Kがコールした時の獲得点数) + 1/3(Kのフォールド頻度)*1点(Kがフォールドした時の獲得点数) = 4/3 + 1/3 = 5/3
②IPがQ、OOPがAの時
期待値 = 1/3(Qでブラフする頻度) * -2点(Qでブラフした時の失点数) + 2/3(Qでチェックする頻度) * -1点(Qでチェックした時の失点数)=(-2/3) +(-2/3)=-4/3
③IPがQ、OOPがKの時
起こり得る現象としては
a)QがブラフしてKがコールする = 1/3 * 2/3 = 2/9
b)QがブラフしてKがフォールドする1/3 * 1/3 = 1/9
c)Qがチェックする = 2/3
期待値 = 2/9* -2点(aパターン) + 1/9 * 1点(bパターン) + 2/3 * -1点(cパターン)=(-2/9) +(-1/9)+(-2/3)= -1
まとめ
以上のことから、BTN側の戦略は
・Aを持ってる時:bet
・Kを持ってる時:チェック
・Qを持ってる時:相手の戦略に合わせてブラフ頻度を調整してブラフする
という戦略が一番最適解だと言えます。
ここでいう最適とは、今回AKQゲームでBB側のKがコールするかフォールドするか、どちらのアクションを取ってきたとしてもBTN側が搾取されないための戦略、つまりGTO戦略としての最適解なります。
そのため、BB側のKで全然コールしない人に対してはBTN側のブラフ頻度を上げた方が利益的ですし、毎回コールしてくるような人相手にはこちらのブラフ頻度は下げた方が利益的になります。
そうするとバランスが崩れてしまうのでは?と気にされる方もいるかもですが、元々相手のコール頻度がバランス崩れてるので、別に良いのです。
むしろ相手のプレイヤーに合わせてGTO戦略から外れてプレイすることがエクスプロイトにつながります。
実戦では、自分が今AKQ側のどのカードに値するのか、そしてブラフベットする場合の頻度は相手のプレイヤーがどの程度ブラフキャッチしてくるのか、そもそも自分のブラフは(バリューハンドの)ストーリーがあるかどうか。そんなことを考えながら、プレイしていきましょう。
筆者きつまるはポーカーをしてる時に常にこれを意識して、自分がK側の時のコール頻度やQ側の時のブラフ頻度を相手に合わせて変えていますが、しっかり相手にチップを貢いでます。
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