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ネタ五番勝負!「かもめんたるvsジャルジャル」備忘録(2024/06/18)

表題のライブを見に行ったので、備忘録として書き残す。


よしもとライブ公式サイトから借用

●前置き

双方とも、好きなコンビである。ジャルジャルを最初に知ったのはめちゃイケで、その時はなんか好きじゃなかった。同じような人もたくさんいたのでは。それから、ネタ番組にM-1、キングオブコントでどんどんと好きになった。

かもめんたるは、キングオブコントで知った。これまた当時は面白いと思わなかったが、その後ふたたびキングオブコント決勝に出てきたときのネタや、あらためて「白い靴下」や「言葉売り」「コンタクトレンズ」を見返すとめちゃくちゃ面白いのでハマった。

さて、そんな中で今回のライブは、タイトルの通り双方がネタ5本を引っ提げて勝負するイベントである。お題は「5分コント」「6分漫才」「ショートコント5本」「全暗転コント」「10分コント」。MCはトンツカタン森本、審査員は「しずる」村上、「ザ・ギース」尾関、「や団」本間キッド。どんなチョイスなのか。

そして会場は日経ホール。これまたどういうチョイスなのか。と思ったら今度バイきんぐが単独やるらしい。以前もAマッソとかラランドが単独やってたらしい。客は満員、即完とのこと。運良く抽選に当たって良かった。

●1本目:5分コント

さて、まず最初の勝負は5分コント。ほぼキングオブコントの尺である。

事前抽選の末、先攻はジャルジャル。5月の単独でやったネタらしい。タイトルはおそらく「ゆうべのぬくもり 日陰の優しさ ロンドン支社とミラノ支社 御社はどこなの we&bee」。なんのこっちゃ、である。

明転して、パイプ椅子という名前の漫才コンビと思しき2人がネタ合わせ。ショートコントをブリッジでつないでいくネタで、ショートコントは一言でいえばしょうもないもの。あまりにもしょうもなさすぎて忘れてしまった。

しかしネタはショートコントではなくブリッジが主題。「パイプ椅子です」つって空気椅子みたいに座るような動きなのだが、これとともにコンビ名がダサいので変えたいと福徳が言い出して、あまりにも突飛なコンビ名と動きなので、後藤が翻弄される。ブリッジの動きが複雑すぎるので後藤が覚えられずに福徳が切れる。

おろおろする後藤に「相方なんて誰でもいい」みたいな捨て台詞を吐き、後藤は一人で練習をする羽目に。そのうち福徳が寝てしまい、起きてネタ合わせをすると後藤がさらにエキセントリックなブリッジを完成させており、今度は福徳が翻弄される、という流れ。やっぱり人が翻弄されるのは面白い。そして今までほくそ笑んでいた奴が立場変わって貶められるのも面白い。

一方のかもめんたるはおそらく「マッサージ(エグいやつ)」というネタ。街のマッサージ店を、う大が客として訪問する。この客がヤバい奴で、マッサージを受けるからにはと数日間にわたり、非常階段で寝て体を仕上げてきたという。その結果、全身の筋肉が凝って、普段より体が縮こまっているといい、「本当はもっと巨漢なんです」という台詞にまずぐっと掴まれた。面白過ぎる。

そこからもう大の放つ台詞がいちいちキツかったり、指圧してほしい場所が分かりやすいように刺青をしていたりと、細かい部分が全て面白い。それとともに声の張りや伏線回収のしかたなど、総合力が非常に高いコントだと思った。

審査員票はジャルジャルだったが、自分はかもめんたるの方が好きだった。

●2本目:6分漫才

打って変わって次の勝負は6分漫才。これはザ・セカンドの尺である。
今回、先攻は確かかもめんたる。子ども人気が低いことを憂うう大が、人気を得ようと画策して持ち出したのが「おじさんになったら、おばさんが可愛く見えるのか」という論題。目の付け所がさすがすぎる。今後勝負ネタとしてあっためたいらしいので、細かくは書かないでおこう。別に自分のnoteがそんなに影響力あるわけではないけど。「おばさんは情報量が多い」「宝探しのレベルが上がる」などのワードがバチっとハマっていた。

ジャルジャルは後藤と福徳、どっちの方がかっこいい苗字か。シンプル。そして言い争うのではなく、ただただお互いが自分の苗字の方がかっこいいと譲らない、というのがまたすごい。挙句の果てには自分たちではジャッジできるはずもないから、第三者になり切ってジャッジしようという話になり、和田と山下(だっけ?)とか、全然関係ない奴らがお互いの苗字のどっちがかっこいいかを争うという展開に。ネタはもちろん面白いが、それだけでなくM-1の舞台で着ていたスーツを生で見られたのが何か嬉しかった。

会場審査はかもめんたる、自分もかもめんたるが面白かった。

●3本目:ショートコント5本

この戦いはめちゃくちゃだった。全新ネタで挑んだかもめんたるだったが、審査員評でもあったように、まさに玉石混交。出色は「柱を運ぶバイト」みたいなネタ。「古い棒」も自分は好きだった。あとは「行方不明」「にらめっこ」「ワニ」だっけ。

一方のジャルジャルはさすが。「タマ裏」だけでひたすら攻める5本。分かっていても笑ってしまうばかばかしさとタマ裏の威力。5本勝負、という点では圧倒的にジャルジャル勝利だった。瞬間最大風速では「柱を運ぶバイト」が良かった。

●4本目:全暗転コント

まず全暗転コントとは何なのかという話だが、舞台は暗転マストで、小道具を使って照らすのはOKという縛り。
先攻はジャルジャル。エレベーターの中に閉じ込められるネタ。福徳は建物内のオフィスに勤めている設定で、スマホを忘れてきたため照らせない。一方の後藤は、初めて来た人。福徳が「スマホ持ってないですか」と聞いても全く話がかみ合わない。さらに「旧来の友人のふりをして話すゲームをしよう」とかいう意味不明な持ちかけをしてくる始末。

架空なのだから適当に話をしていけばいいのに、いちいち福徳の話した内容に後藤が「それよりこっちの方がいい」と棹をさしてくる。挙句の果てに「毎回面白くない方に行く」とキレてくる始末。最後はお約束的に、お互いの顔を照らしていじるのだが、わざとなのかそうじゃないのか、顔が見えなくて無念。

かもめんたるは、くしゃみが光るという特技を持ったう大が、くしゃみを出そうとする、というネタ。おそらく面接か何かなのだろうか。うんうんうなっているところから始まり、光るくしゃみを出そうとしているというバラシでまずドカン。その後は槙尾が主体となって展開していく。くしゃみじゃなくて屁が出たり、照らすと槙尾が上裸だったりと結構お約束系の展開だったけど面白かった。

会場審査はジャルジャル、自分はかもめんたる派だった。

●5本目:10分コント

最後は比較的長尺のコント。先攻はかもめんたる。公園で子どもとサッカーボールで遊んでいる槙尾。すると、下手からサッカー日本代表のユニフォームを来て、「元日本代表・野々村」を名乗るう大が飛び出してくる。平穏無事な世界が一気に音を立てて崩れていく。何でサッカーユニフォームを着るだけでこの人はこんなに面白いんだろう。哀愁も漂っている。

どうやら野々村は、サッカー未経験のくせに子どもに対して偉そうにする大人を成敗するためにやってきた人間ではない存在らしい。空が緑で、ヤシの木からサッカーボールが生る異空間に転送された槙尾は、野々村のシュートを5本受けて、そのうち1本でもキャッチできないと、世界のどこかで誰かがサッカーボールを蹴る音になってしまう。

話を聞くと、野々村はサッカーを見たこともやったこともない、ただサッカーを愛しているだけとのこと。それでも野々村のシュートはとんでもないスピードで空を駆け巡り、宙に浮かぶ無数のゴールをいくつもいくつも突き破っていく。

そんなシュート、当然槙尾はつかめない。「1回目は絶対に取れない、だから実質これは4回しかないんだ」とか、まだ4回目なのに5回目と嘯いたらキレた槙尾に「これは毎回お約束でやってる」とか、いちいち面白いし残忍な野々村の性格。

槙尾は生き残るために必死で野々村をなだめようとする。シュート能力がすごいからサッカー選手、日本代表になれるはずだとか。それでも野々村は「代表のユニフォームが自分のと同じか分からない」「もしやってみて面白くなかったら解説者になれたりするんだろうか」とかうじうじ悩む。つまるところ、こいつはサッカーが好きなのではなくただの処刑人なのである。

ジャルジャルのネタは、ベテラン女優とアイドル俳優のやり取り。失礼なアイドル俳優都のやり取りの中で「髪切れ」「口拭くな」「この人が言ってますみたいにするな」「感情を言うな」といったワードが出てきて、それをリズムゲームのように繰り返していくというネタ。要素は非常にシンプルなのかもしれないが、間と構成で何十分でも見ていられる内容に感じた。

会場審査はかもめんたる、自分はジャルジャルの方が良かった。もちろんかもめんたるも面白かったが、ちょっとファンタジーすぎた。う大のすごさって絶妙に「世の中にいそう」「いや、こんなやつはいない」の境界を突いてくるキャラクター造形の強度と、そこからめちゃくちゃな飛躍だと思うんだけど、ファンタジー過ぎて足掛かりの強度が足りなかったと思う。その点でなんかフワフワしている気がした。

二組の感じ的に次回もありそうな雰囲気だったので、ぜひ期待したい。定例開催してほしい。


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