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あたらしい憲法のはなし 3 ありがとうのかんそう

✱注:ネタバレだらけ(これから配信を観る方は読まないでください!)10/1-10/31オンデマンド配信を是が非でも御覧下さい。詳細はHPにて

https://l-tike.com/play/mevent/?mid=600335

3日間の公演の12日(ソワレ)13日(千穐楽)と2公演観させて頂きました。息子の初舞台で12日は知恵熱が出て入場できなくなるのでは、と思うくらい緊張してしまいました。そして、8月1日チケット発売日10時きっかりにとったおかげで、劇場の中心(前後、左右からも全てベスポジ)に位置し、初舞台に真っ向から向き合うこととなりました。初回、まともに観ようと努めましたが、やはり息子の動きや発声などに注視してしまい、ゆったりとストーリーに入ることが出来ませんでした。けれども初見の印象は大切にしたいので、一生懸命メモをとりながら観劇しました。
最初のどんよりとした国会の場面。松の廊下、殿中でござるを思わせるスーツの裾と袖の長い年老いた国会議員達…その中の全身タイツのスーツの若々しいQ…出世魚のように1人煌めいています。憲法改正草案採決。そして場面は変わり、甘い飴の世界に引きずり込まれていく少女。甘過ぎる空気の中で様々な個性的なキャラクターと遭遇し、安住の地を創るために模索する若者3人。ひとつずつ丁寧に決め事を決めていきますが、なんとなく決め事が決まるにつれ、窮屈になる自分がいました。そこで流れを変えてくれたのは、外国人と希望絆未来愛とボクサーでした。彼らの強い意志が窮屈を解き放ってくれました。何故窮屈に感じたのか…様々な人物(事象)と出会い、その度に不均衡になりながらも安心安全な世界を作り上げて行こうと慌てふためく若者たちの姿を自分は蔑んだのか…と嫌な気持ちにもなりました。保証しますよ。その言葉がずっと頭に残りました。思想と良心の自由。尊厳。自分で守りたいと思いました。誰かに保証しますよと言われたくないと思ってしまいました。それくらい国家アレルギーの自分に気づきました(政治不信と)。最後、胡散臭いQの登場と、それを懲らしめた団結と、戦争はなかった言い張る若者たちと戦争はありましたと叫ぶQと共に争いなから沈んでいきます…。初見では息子が沈んでいく…にしか見えませんでしたが(すみません。観に来てくれた演劇好きのお友達ママは涙したと話していました)次の日はそのシーンで自然と涙が溢れました。何故か…それは戦争はしていません。必死に叫び沈んでいく若者たちを観て、ああそうなのか…そうだよなと…(今の若者たちに敗戦国としての戦後の日本の実感はないだろうなと)いう共感の涙でした。そして沈みながら虚辞を連ね、戦争の責任をとらなければなりませんと叫ぶQ、そのために私は復活しましたと…。ナルニア物語のアスランの復活は嬉しかったし、キリストの復活になぞらえられていた事に感動しましたが、Qには軽々しく復活という言葉を使って欲しくないという嫌悪感。けれども、彼は彼の嘘にまみれた真実を生き抜こうとしています。どちらも正しくないままに、でも正しいと自分に言い聞かせ共に沈んでいく運命を最後に観ながら、今朝もワイドショーで憲法改正、憲法改正とがなる議員の姿が生々しく頭に浮かびました。これからの日本はどうなっていくんだろう、しっかりしなければならないと思い、日本の事を、国家を想う自分に気づけました。今の大学生が真剣に憲法に向き合い、国家を考えて、真剣に伝えようとする想いが伝わってきました。それは今の若い彼らにしかできない表現でありこの舞台の空気感であり、何もかもわからないままわかったふりをして大人になり、薄ら笑いを浮かべながら、政治不信の沼から抜け出せなくなっている自分とは違うという未来も感じました。ありがとうございます。またこのメンバーで3年5年後再演したら全然違う空気感になるのだろうなと思いました。そして今は今がベストだと感じました。これからも演大連の公演を楽しみにしています。そして、そこに愛のある…演出家の西さんの更なるご活躍を期待します。舞台に立った演大連の皆さんには演技をあらゆる方面から大学で身体技術と表現をしっかりと学び、大事なことを伝えられる(観る人に感じさせる)役者となることを祈ります。
衣装も舞台美術(八百屋舞台など)こだわり一つ一つが素晴らしかったです。熱い2日間をありがとうございました。今も熱いです。配信はまだこれからなので配信で観ると(モニターの画角で観ると)どう受け取れるのか、どう違いがあるのか楽しみに観てみたいと思います。

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