2024 天皇賞春 回顧 テーオーロイヤル

 今回の天皇賞の勝ち馬がテーオーロイヤルで、3着がデイープボンドだ。そして、2年前の天皇賞の2着がディープボンドで、3着がテーオーロイヤルだ。2頭の力関係はこの2年間でそれぞれの進化・衰退によって入れ替わったものと見られる。2頭は両方とも2年前にタイトルホルダーに簡単にひねられた6歳馬・7歳馬だ。この2頭にダービー馬・菊花賞馬が揃って敗退した今年の4歳世代の評価は完全に確定しただろう。

 これはすでに前から言われていたことだとは思うが、どの時点でそれを見破れていたかによって、その人の馬券成績は違ったものとなっただろう。タスティエーラはもうG1で人気を背負ってはくれない。

 古い話で恐縮だが、昔藤沢和厩舎にゼンノロブロイという良駒がいた。ネオユニヴァースが2冠達成したダービーの2着馬で秋以降は相当に活躍が期待され人気も集め続けたがなかなか煮え切らないレースが続いた。初めてのG1制覇となったのが4歳秋の天皇賞。私は2000こそこの馬のベストではないかという理由で、トリッキーな東京2000でやや外目の13番枠からの出走が多少不安だったが、本命にして馬券を買っていた。
 このレースのゼンノロブロイの鞍上がペリエだった。レースは13番枠からあっさりと内に入れ距離ロスの少ない内目をキープし続けたゼンノロブロイが完勝した。2000m云々よりも、あんなに勝ちきれなかったロブロイがペリエが乗っただけで(とは言わないまでも、まあそんな印象で)これまでにない強さを見せる。「好騎乗」という言葉で私が想起するレースの一つとなっている。

 去年のダービーでタステイエーラに乗ったレーンもほぼ完璧な騎乗、展開もバッチリハマっていたと思う。私はペリエの騎乗を思い出していた。それがあんなに後続に迫られての接戦のゴールでしかも勝ちタイム2分25秒2は平成前半のダービーの勝ちタイムだ。レーンの好騎乗がなかったら勝てていなかったと言っても過言ではない。「これは、大したことない」私は同世代の対決の菊花賞でさえこのダービー馬を有力視できなかった。

 世代レベルは、確実にある。特にG1の舞台では、馬券にも直結する有力指標だと思う。問題は、どの段階で、どのようにそれを見極められるかだ。話はいつも2023世代ほど簡単ではない。

2024.4.30
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?