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これから家が燃える人向けnote~そして復興へ…~

今まさに家が鎮火した忙しい人向け今北産業

  • 失火の場合は火元に対して責任を問うことはできない

  • 火災保険では生活の立て直しのために買ったものにも出るので領収書は全部とっとけ

  • 持ち家じゃなかったら引っ越そう

かけよう、火災保険

 聡明なる読者諸君は超大人気ボードゲーム「人生ゲーム」を遊んだことがあるだろうか? 私は幼い頃に両親が持っていた人生ゲームロイヤルを妹弟とキャッキャ遊んで車にえのきみたいな子供をギッチギチに乗せて楽しんでいた。その人生ゲームロイヤルでゲーム開始時に購入するのが火災保険である。火災保険は大事だ、必ずかけよう。ゲームでもそう言っている。
 保険をかける時に「いやそんな万が一のことなんて起きないだろ常識的に考えて」となるかもしれないが、私自身もまさか避難用リュックの中身を減らすことが起きるとは思わなかった。転んだあとに杖はつけない。転ぶ前につくしかない。
 火災保険は火事だけではなく水害、風害、地震の被害にも効果を発揮する。ただでさえ地震に遭う可能性のある日本に住んでいるのならかけておかない理由はない。
 なんで保険頼みなんだ? 火元の家に賠償させないのか? と思う人もいるだろう、が、基本的に失火の場合は責任を問うことはできないと法律で決まっている。なので保険を頼ろう。

 火災保険で保障されるものは、罹災証明書に書かれているもの申請して保険屋さんの査定で認められたもの(この時に罹災証明書の提出を求められることもあるので罹災証明書.pdfの用意をしておこう)(申請するのにも家財道具リストは必要になるのでリストを作っておこう)、と、生活の立て直しのために購入したもの(これもオプションである場合があるので自分の保険の内容を見ておこう)、である。
 生活の立て直しのために購入したものは、例えば服とか、調理器具とか、食器とか、寝具とか、洗面用具とか、カーテンとか、電源タップとか、家電のレンタルとか、子供のおむつとか、生活に関連するものは大体出ると思ってひたすらに領収書を集めてファイルにぶち込んでおこう。
 その結果、本当に消耗品も含めてほぼ全部出た。出なかったものは化粧品と子供のおもちゃだけだが、このあたりは生活に必須かと言われると、うーん、となるのでそんなもんだろう。(保険屋さんの裁定によるものなので弾かれたものが生活必需品かどうかの話はしないものとする、そういう記事ではないので。まぁ化粧品は「弾かれるかもなー」と思って特段理由がなければ安いものを購入しておくのがいいだろう)
 領収書の宛名や提出方法は保険屋さんによって違うので保険屋さんに聞いてみよう。というかわかんないことは何でも保険屋さんに聞こう。保険屋さんはあなたの味方です。

可能なら引っ越せ

 片付けが終わり、保険がおり、さてここからやっと復興が始められる。もし住んでいたところが持ち家でないのなら引っ越すのがいいだろう。当分建物は煤けてて煙くさいし、何しろ今まで通りの人間関係を保つのは無理だろう。
 うちには説明すれば理解しようとしてくれるクッソ声のデカい幼児がいるのだが、

「大事な話があります。あなたのおうちは火事になって真っ黒けになってしまいました。でもお巡りさんと消防士さんが助けてくれたのでだーれも怪我してません。おうちには住めなくなっちゃったからしばらく別のところに住むけど、お父さんとお母さんは一緒にいるから大丈夫?」
「だいじょうぶ! おまわりさんとしょうぼうしゃどこ?」
「もう帰っちゃったけどよろしくねって言われたよ」

 といった話をしたところ、わかってもらえたようで、あっちこっちで

「○○ちゃんのおうちまっくろけになっちゃったの!」

 とクソでかい声で言うので、周りからの哀れみの目が超痛い。私は静かに暮らしたい派なので。自転車に乗りながら「○○ちゃんのおうちまっくろけになっちゃったの!!!!!!」された時にはすれ違ったおじいちゃんおばあちゃんみんなに振り返られて心臓がバクバクだった。
 被害者だからって肩身狭く感じる必要はない、とかそういう話ではない。ただただ私は目立ちたくないだけなのだ。でもこうなってしまったら目立たない生活は無理だ。商店街のおばちゃんに「あぁあそこの」って言われるのは妙な心地である。みんなが私の家で何があったか知っている。そんなのは御免被りたい。
 子供に罪はない。知ってることだから嬉しくなって声も大きくなるし、私も子供だったらそうするだろう。この子にとっておうちがまっくろけになっちゃたことが「なんかちょっと特別で大きい声で言いたくなっちゃうこと」であってくれればそれでいい。
 そういうわけなので、引っ越そう! 引っ越し先の心当たりがなかったら借りた時の不動産屋さんに聞いてみるとどこかいいところを紹介してくれる。

もし持ち家だったら?

 人間関係の修復に努めよう。間違った情報が伝わらないように話して、きちんと向き合えばそのうち「あぁそんなこともありましたね」になっていくだろう。
 自分が火元になってしまったのなら、きちんと謝ろう。法律で責任を問わないことになっているということは、自分で自分の後始末をつけろということだ。がんばろう。

それからどうしたの?

 こうして引っ越した我々家族は、子供の言い方だと「ひろいおうち」で一生懸命届いた家具を開封している。子供は元気に廊下を走って叱られている。生活の立て直しができたのだが、私一人では絶対にできなかっただろう。
 もし、火事のあった日に旦那さんが家にいなかったら、もし、子供が保育園に行っていなかったら、もし、火事があったのが夜だったら、もし、家族の誰かが怪我をしていたら、もし、罹災証明書の作成で心が折れていたら、もし、片付けの時に全部投げ出したくなっていたら、こうならなかったんだろう。なんなら私が死んでた可能性は大分ある。なにせ旦那さんに声をかけられるまで火事に気付かず仕事をしていたので。
 燃えてしまったものには大切なものもあったと思う。学生の頃から使っていたもの、新婚旅行の記念で買ったもの、子供のために編んだセーター、友達から誕生日にもらったもの。片付けの時に黒焦げになって何の写真だったのかわからなかったものが、生まれたばかりの子供を初めて旦那さんの実家に連れて行ったときのものだったとこに気付いた時には、

「あぁ」

 しか言えることがなかった。
 とはいえ、家族の誰も怪我をしていないし、子供は火を見たり怖い思いをしたわけでもないし、また楽しく思い出を積み重ねていけばいい。新しい家には、旦那さんが一生懸命ケースの煤汚れを落としてくれた結婚式のブーケのドライフラワーを飾った。完全に汚れは落とせなかったけど、いいんじゃない、これで?

次回はさすがに

 と言っていてもやってくる可能性があるのが次回だ。なので、防災リュックの中身を確認、補充しようと思う。今まで地震のことしか考慮していなかったので、これを機に火災のことも考えよう。
 あと、大切な書類をお菓子の缶に入れておこう。実はお菓子の缶の中に入れてあったものは汚れ、臭いの被害をまったく受けなかったのだ。さすが金属、強いぞ金属。鳩サブレーが44枚入る大きい缶が書類をファイルに入れたまま保存できるのでいい感じ。
 ビニール袋は臭いの被害を受けるので重ねるもしくはアルミの貼ってある袋に変えるといいかもしれない。マスクが煙くさくて辛かったからね。

 さて、火災に遭っても今までの予定通り旅行に行ったり遊んだりすることは精神を健全に保つために必要なことだ。私達は火災の一週間後に旦那さんの友達と一緒に予定通り旅行へ出かけ、予定通りの昼食を取った。

上手に焼けました!

 夕食はバーベキューだったしマシュマロも焚き火で焼きましたとさ。めでたしめでたし!

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