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Vectorがドルフロディビジョンコラボに出てきたから存分に狂う(前編)

ご注意

 この記事を読む際は正気をかなぐり捨てて「人の数だけドールズフロントライン」と1000回念じてね!
 あと、すばらしきこのせかいのネタバレを含むので、困る人はアニメが終わるまで読まないようにしよう。もしくはゲームをやれ、今すぐにだ、スマホでもスイッチでもできるぞ。

汝推しを崇めよ

 よい子のみんなー! 今日も推しに狂ってるかー! 推しの顔の良さに目が潰れてるかー! 私はいつも推しに正気を失ってる。そうでなけりゃpixivに40件くらい推しの小説を投稿しないし鈍器みたいな同人誌を出さない。
 正確に何件かカウントするのは今度にしたい。自分の業の深さを見つめ直して頭を抱えるのにはまだ早い。目を逸らさせて。

 普段は推しがちょこっと出てきたりするだけで夜も眠れないくらい喜ぶ私だが、今回ついにVectorが崩壊コラボの悲しみを乗り越えてディビジョンコラボで主役をやったので、喜びで正気を保てない。もう一生こんないいことないかもしれないと思うくらい。
 どうしたらいい? とTwitterのフォロワー軍団に聞いたところ、クソnoteを書けとお達しをいただいたので思う存分書き殴ろう。みんな責任とって読んでくれ。
 あわよくばVectorを好きになってくれ。

Vector史を紐解く

 まーたこいつVectorを学問にしやがって、と呆れるかもしれないけど呆れながら付き合ってくれ。ただ最初に興味を引くことを言うと読んでもらえるらしいので最初に私の主張を伝えておく。
 Vectorはドールズフロントラインの主人公の一人である。

 
ドールズフロントラインといえばみんなは何を想像するだろうか。戦う美少女、お世話してくださいね指揮官様♡、首絞めオープニング、口が悪い、硝煙と鉄屑、崩壊している世界、裏切り、因縁、復讐、逃れられぬ運命、やたら強い指揮官、IDWだニャー。色々あると思うがアンドロイドもののSFとして捉えた時、Vectorはその主役に躍り出る。
 Vectorは人形たちの中でもかなりアンドロイドとしての苦悩を体現し、さらに時間の経過と共に成長する様子を見せている。しかも公式で。私の妄想じゃないんだよこれ、やばない?
 またVectorの設定に関わることはドールズフロントラインの根幹にも関わっていると思われる。

 崩壊コラボが開催された際にシナリオライターが応じたインタビュー記事(本文のURLなくしたから私のガバガバ翻訳メモをここに置いておくね)によると、戦術人形には初期の性格が設定されており、そこから周囲の環境に合わせて変化していく。彼女たちは職場に適応していくのだ。
 例えばUMP45が元々は気弱な性格だったところ、UMP40との離別を経て抜け目のない性格になったように、控えめで自信がなかったM4A1がAR小隊の崩壊を経て脊髄引っこ抜きレディになったように、戦術人形とは変化していく様子は本編でも語られている。いやM4は変わりすぎだけども。
 ところがVectorは崩壊コラボまでその環境による変化の機会を得られぬままであった。インタビュー記事で語られたVectorの初期設定は以下の通りだ。
・皮肉屋
・孤独を愛しているわけではないが団体行動は好まない
・仕事に対しては真面目でプライドがある
・自己反省的
・傷ついているところを他人に見せない
 この人形を作ったエンジニアは変態だな。
 彼女の性格には元ネタがある。SF小説銀河ヒッチハイクガイドに出てくる「鬱病ロボット」のマーヴィン、ゲームのすばらしきこのせかいに出てくるネクがその元ネタだ。銀河ヒッチハイクガイドは映画が、すばらしきこのせかいは近いうちにアニメをやるから気になる人はそれで摂取しよう。
 以上の性格は副官をVectorに据えてタップしまくるとわかるだろう。
「今日の秘書はあたしだけど、失望した?」
 というお出迎えの台詞からも分かるように、Vectorは自分を他人に指摘されるまでもなく偏屈で嫌われ者だと思っている。
 そんなVectorを変えた存在がいる。PP-90か? いや、まずきっかけを与えたのはWA2000だ。

お化け屋敷での問答

 にゃんこヴェクタースキンのカフェテキストについて話そう。
 このテキストは時系列的に崩壊コラボの前、つまりVectorが変化する直前である。PP-90が「次の任務で初めて副官をする」という話をしている下りがあるが、その次の任務というのが崩壊コラボにあたると思われる。


 この物語でお化け屋敷のスタッフをするVector、既にPP-90からはViviと親しげに呼ばれており、PP-90は一緒に仕事をするVectorに親しく接しようと試みている様子がうかがえる。しかしVectorはそれに対して頑なだ。親しげに呼ばれることにも抵抗を感じている。
 Vectorはお化け屋敷の脅かし役を勤めることを任務だと認識しているが、指揮官はそれに加えて彼女に「楽しむ」ように助言している。Vectorはこれに対して疑問を抱く。なぜならVectorは自分に感情があることに対して否定的だ。
 順調に進むと思われたお化け屋敷だったが、突然停電してしまう。その中をおっかなびっくり歩いてきたのがWA2000だ。WA2000といえばドールズフロントラインの中でも感情の起伏が激しい部類だ。わーちゃんは暗闇の中で微動だにせず佇むVectorに悲鳴を上げる。
 一緒に停電を直しに向かったVectorとWA2000、配電盤の前でVectorはWA2000にこう漏らす。
「人形が感情をもつなんて、初めから間違っているのよ……」
 それにWA2000はこう答えた。
「私たちはただの兵器だけど……でもこの感情は、自分がーー」
「生きてると思わせてくれる?」


 WA2000が言いよどんだ続きをVectorが引き受ける形で答えたところで停電は直り、この話は終わりになった。
 このやりとりはVector目線のシナリオにはあるものの、WA2000目線のシナリオには登場しない。私は気合いでわーちゃんのスキンを当てて自分の目で確認した。ここから読み取れるのはVectorにとってこのやりとりが記録するに足るほど重要であったということだ。
 VectorがWA2000の言葉に何かしら感じるところがあったのは事実だといって過言ではない。しかしこれがあったからといって即座に感情に対して肯定的になれるほどでもない。ほんの小さなきっかけを与えている
 次はいよいよPP-90の出番だ。

崩壊コラボによる変化

 日本鯖でやってないイベントの話をするなと怒らないでいただきたい。この話をしなければ進まない。
 私のTwitterのフォロワーであればスノーボールさんが翻訳してくださった崩壊コラボの記事を読んでいるに違いないと思うが、まだだよという人はこの先に進む前に読んできてほしい。私はありがたすぎてスノーボールさんに足を向けて寝れない。

 このシナリオでVectorはPP-90と拒絶と歩み寄りを繰り返しながら、最終的に相棒としてお互いに手を取り合う。
 ぶつかり合いの主な原因はVectorがPP-90の歩み寄りを、本心ではなく人形として初期に設定されている性格によるものだと考えていたことだ。PP-90はそれを諦めない歩み寄りとビンタによって否定し、真心からVectorを思いやっていると証明した。
 本シナリオでVectorが遂げた変化は「PP-90という親友」と「苦悩を抱えている存在に対しての共感」である。前者はPP-90の功績によるものだが、後者はシナリオライターのインタビューによればVectorが外的要因により獲得する性格の内の一つらしい。
 このことから、これらの変化はVectorが変化することを許容した結果生じたものと考えられる。インタビュー記事ではVectorは今まで変化のきっかけを得られなかったとされているが、これは私の誤訳であり、変化のきっかけを拒絶し続けた結果なのではと思われる。

 さて、ここからすばらしきこのせかいのネタバレを開始する。Vectorのモデルになっている主人公のネクもまた同様に他者との関わりを拒絶し続けていたが、相棒になったシキという少女によって心を開くことになる。これもシキによる真摯な歩み寄りの結果だ。
 また物語の序盤では自分の考えを他人に言わずに行動することで周囲との不和を生じていたネクだが、物語が進むにつれて考えや心情を吐露するようになっていく。
 この様子はVectorにも見られており、崩壊コラボシナリオ冒頭では延々と独り言を繰り返しているVectorは心の内を他人に伝えるようになる。ディビジョンコラボで自分の考えている作戦を筋道立ててR93とK5に伝えていたのは、このときの成長によるものだ。私は成長しすぎてて泣いた。
 このようにすばらしきこのせかいはVectorについて考察する際にかなり有用だと思われる。参考文献ととらえておいてほしい。すばらしきこのせかいを根拠にした考察はこのあともう一つ出す予定だ。

 崩壊コラボでの出来事でVectorは変化を許容し始めた。しかしまだPP-90以外に心を開いているわけではなく、また抱えている葛藤もある。

チャペルでの撮影会における微妙な距離感

 盲信者スキンの話に移ろう。スキン解放日はVector村キャンプファイヤーが開催され、村人は自ら火に飛び込み踊り狂っていた。いい祭だったね。

 Vectorはこのシナリオで「本物」と「偽物」に対して並々ならぬ思い入れを見せる。曰わく、偽物には意味がない、と。そんな彼女が着せられたウェディングドレスと化粧や髪のセットは皮肉なことに本物の花嫁向けと同じであった。
 またVectorは幸福の象徴を背負わされたウェディングドレスに対して「意義を持たされてかわいそう。まるであたしたちみたいに」と同情的だ。

 なかなか前向きに撮影会に臨めないVectorだが、最後はこの瞬間だけと限定的ながら楽しむことを受け入れる。このあたりの指揮官との微妙なやり取りはなかなか見ものだ。

 「本物」と「偽物」についてはかなり重要な要素が含まれているので後ほど触れる。今回は周囲との関係性について述べよう。
 他のキャラクターの撮影会シナリオでは、最後に参加した人形達で集まって写真を吟味するシーンがある。みんなしてあーだこーだする姿は楽しそうなのだが、そこにVectorはいない。Vectorだけが不参加だ。「書かない」ということでそのキャラクター性を表現するのは見事としか言いようがないし私も気づいた瞬間転げ回った。
 このシナリオがどの時間軸に当たるのかは不明だ。にゃんこヴェクターの時のように判断材料が何もない。わからん、もしかしたら他の人形のテキストから見つけられるかもしれないけどそこまで掘り下げてないし、多分出てこない。だがVectorはこのシナリオで最終的に状況を楽しむことを飲み込んだ。
 これを感情を受け入れたとするならば、時系列的にはにゃんこヴェクターよりあと、さらに崩壊コラボよりもあとのように思える。よってこの時点でのVectorはPP-90と友人だと仮定する。
 PP-90とVectorは確かに絆を深めたが、ほかの人形とはその限りではないことがこのシナリオからうかがえる。Vectorは撮影会後に写真を吟味する場に訪れていないし、ほかの人形もそれについて言及しない。おそらくお互いにそういうものだと認識しているのだろう。Vectorは成長し始めたとは言うもののまだ距離の取り方について四苦八苦している。
 彼女がもう一歩先に進むためには大きなきっかけが必要なのだろう。

 この次はやっとディビジョンコラボの話になるのだが、書きながら重大な発見をしてしまったためここで前後編に分けることとする。
 私の狂気にもうしばらくお付き合い願いたい。



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